(この記事は、第253号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回の「たのしい音楽小話」は、百田尚樹さんのクラシック名曲エッセイ集のお話です。
百田さんは、「永遠の0」や「カエルの楽園」「海賊とよばれた男」などの本がいずれも大ヒットしている人気作家で、今では執筆活動以外にも多方面でご活躍されています。
インターネットのニュース番組などにコメンテーターとして出演されている百田さんをご存知の方も多いかもしれませんが、私は初めて見たとき、やたらと早口で関西弁を話す毒舌キャラの面白いおじさんという感じで、以前「カエルの楽園」を読んだ時には、そのような雰囲気は感じられなかったので、まるで別人のようで、興味深い作家だなあと思っていました。
そんな百田さんは、40年以上のクラシック音楽ファンでもあります。ご自宅には、執筆の仕事場を兼ねた防音のリスニングルームがあり、一日中クラシック音楽を聴いていることもあるそうです。
クラシック音楽の本も書かれていて、「至高の音楽 クラシック 永遠の名曲」「この名曲が凄すぎる」が出版されていますが、その完結編として今年6月に出版された「クラシック 天才たちの到達点」を読んでみました。
「クラシック 天才たちの到達点」は2部構成になっていて、第1部では、作曲家の青年期・壮年期の作品14曲、第2部では作曲家の晩年の作品11曲が紹介されています。
モーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」、ベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第5番 皇帝」、ドヴォルジャークの「新世界より」、スメタナの「モルダウ」など、いずれも名曲ぞろいです。第1部、第2部共に取り上げられている作曲家もいるので、作曲家の足跡をたどることもできます。
1曲ずつ曲目解説はもちろん、作曲家の生きた時代背景や人柄、考え方、作曲スタイル、曲にまつわる百田さんのエピソードなど様々な話が紹介されています。やさしくわかりやすい語り口調と、1曲につき見開き4ページという長さが、とても手頃で読みやすいと思います。
そして、何と言ってもこの本の特徴は、百田ワールドでのクラシック音楽の解説です。最初の見開き1ページこそ、良い意味でごく普通に読んでいましたが、ページをめくると百田さんの世界が表れてきます。
最初は、ショパンの作品を取り上げているのですが、「実は、私はショパンの熱烈なファンではない」「好きな曲もあるけれど、すべてがお気に入りというわけではない」「ワルツ、マズルカ、ノクターン、バラード等は、好きな曲の方が少ないくらいだ」と、バッサリと切り捨てたような言葉が飛び出し、まあそこまで言わなくても…という感じです。
その他にも、ドヴォルジャークの作品を、「親しみやすいポピュラーな名曲と思われているが、少しもそんな風に見ていない。むしろ謎に満ちた不気味な曲」、「マーラーの交響曲はあまり惹かれない。『復活』以外は、どれも退屈な曲」など、取り上げている作品に自由な意見が書かれていて、始めはかなり戸惑いましたが、読み進めていきますと、称賛ばかりではないところに、むしろ好感が持てました。
細かいところでは、「イタリア・オペラは苦手で、やたらと大仰に愛を叫ぶのが、いまひとつぴんとこない」とか、「この部分を聴くといつもぞっとする」とか、「この部分になぜ1回だけシンバルを、しかも弱い音で入れるのか、私にはわからない」とか、「恐怖映画のオープニングのようで、怪物か何かがやってくるような旋律」、「喜怒哀楽の様々な感情がでたらめにぶち込まれているように感じる。全体的には、野蛮な雰囲気に支配されているように聴こえる」など、毒舌キャラが止まりませんが、そのくらい音楽は自由に捉えていいのだと改めて感じました。
もちろん批判的な内容だけでなく、シュトラウスの音楽について「軽い音楽として、一段下げた見方をされるが、そうは思わない。とても一筋縄ではいかず、芸術的・哲学的な内容を持っている」、フォーレの「レクイエム」について、「死をテーマにした音楽というよりも、天国の楽園か何かを描いているような音楽に聞こえる」というように、率直に独自の見解を書かれているところも多くありました。
クラシックの作曲家の解説本やエッセイ集などは、本当にたくさん出版されていますが、解説本はその分野の研究者が書きますし、エッセイ集も演奏家などクラシックの専門家が書いているものが多くなります。
解説本は、かなり詳しい話が書かれているのが魅力ですが、真面目で難しい内容のものも多く、学校の教科書のような感じで、気軽に読めるような感じではありません。エッセイ集は、気軽さはありますが、演奏家は基本的に全ての作曲家に敬意を持っていますから、なんとなく表面的にきれいに整ってしまっていて、本当はどうなんだろうか?と思ってしまうことも少なくありません。
その点、この本は、実にズバズバと思った事をストレートに書いていますので、なるほどと面白さを感じるところもあれば、なかなか個性が強いなあと思うところもあり、読む人によって賛否両論ありそうですが、いずれにしてもこれまでになかった新しいクラシック音楽の本と言えるのではないでしょうか。
取り上げられた音楽については、百田さんのおすすめCDがたくさん紹介されていますし、お試しサンプルまで付いていますので、「何を聴いたらよいのだろう?」「どの演奏家のものを聴いたらよいのだろう?」と迷う方には、一つの参考になると思います。
(この記事は、第251号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回の「たのしい音楽小話」は、フジコ・ヘミングさんのお話です。
先日、ピアニストのフジコ・ヘミングさんを取り上げた映画を観てきました。雨が降る平日の朝一番の時間帯でしたが、ネット予約ができない映画館だったので、かなり早く着くように家を出ましたが、チケット売り場の前には既に10人くらい並んでいました。
ゲオルギー・ヘミング・イングリット・フジコさんといえば、独特の雰囲気を持つピアニストですが、以前、大ブレイクのきっかけとなった半生を紹介したテレビ番組を偶然に見て、大変衝撃を受けました。あれから月日が経ち、映画化されるということで興味を持ったわけです。
ピアニストをしていたフジコさんのお母様は、東京芸術大学の前身である東京音楽学校の出身です。当時は、「荒城の月」で有名な滝廉太郎などが教鞭をとっていた時代です。その後、留学先のドイツでスウェーデン人のデザイナーと出会って結婚し、フジコさんが生まれました。
映画は、14歳の時に書いていた絵日記の回想シーンとともに、現在の日常生活に密着したドキュメンタリー映画となっていました。
御年80歳を超えるピアニストですが、現在でもマネージャーを付けずに自らスケジュール管理をしながら年間60ものコンサートをこなし、アメリカやヨーロッパ、アフリカ大陸にもコンサートに出かけているそうです。
密着シーンでは、相当ハードはスケジュールで、お疲れモードの姿も見えつつ、それでも、毎日4時間のピアノの練習を欠かさない姿が映し出されていました。
古いシャンデリアが優しく照らし出すパリの自宅の中は、フジコさんがコンサートなどで着ている衣装のような世界観の内装が施され、そこに、ラグのかかった小さ目のグランドピアノと伴奏者が使用するためのアップライトピアノが置かれ、壁一面にある大きな本棚には古本がびっしりと並べられていました。時代や国を超えた独特の雰囲気の自宅で、大好きな猫も3匹くつろいでいました。
それでも、キッチンには招き猫などの柄の生地が飾られていたり、日本の食器を使っているところが面白いです。
フジコさんは、パリだけでなく日本や他の国にも自宅を持っていますが、日本の家は、パリの家とは全く異なり驚くほど伝統的な日本の家屋でした。昔の職人が手をかけて作ったものに、味わいを感じているのでしょう。
フジコさんは、大の動物好きでもあり、日本に住んでいた時には、30匹ほどの猫と一緒に暮らしていたこともあったようです。
パリでは、猫の他に小犬も一緒に住んでいて、コンサートなどで自宅を離れる時には、友人に預けているそうです。コンサート後に、6時間かけて電車に乗って愛犬を迎えに行くシーンが流れていました。フジコさんの姿と声を聞いた犬が、遠くから全力疾走で駆けつけ、体をくねくねさせて尻尾を思いっきり振りながら、何回も何回もフジコさんに飛びかかるシーンでは、映画館の中で、あちこちから笑いと歓声が起こっていました。
街中で出会ったお散歩中の犬をずっと見ているシーンがあったり、動物愛護のためのコンサートを開催しているシーンもあり、動物への愛情が伝わってきました。
絵日記の回想シーンでは、当時の生活ぶりが紹介されていました。
フジコさんの独特の世界観は絵にも表れていますが、小さい頃からお母様の厳しいピアノの指導を受けつつ、食べ物の配給を取りに行ったり、家事の手伝いをして大忙しの日々を送っていた様子が描かれていました。ハーフであることで差別を受けた辛さも、インタビューの中で語っていました。
当時習っていた世界的に有名なレオニード・クロイツァーについても、絵と共に日記に書かれていました。クロイツァーは、ロシア出身のピアニスト兼指揮者で、ベルリン音楽大学の教授や、日本でも芸大の教授を務め、多くの日本人ピアニストを育てて日本の音楽界に大きな貢献をしました。現在でもクロイツァーとゆかりの深い芸大、国立音大、武蔵野音大の大学院ピアノ科を主席卒業した学生には、クロイツァーの功績を記念した賞が授与されています。
クロイツァーは来日した時、既に世界的に有名だったわけですが、当時10歳だったフジコさんのピアノを聴いて「これは凄い」と喜び、無償でピアノのレッスンを受けられるようになりました。既に相当な腕前だったのですね。
フジコさんがクロイツァーのレッスンについて語っていて、常に人が歌っているように弾くことを指導されていたそうです。機械的に指を動かす練習をさせられなくてラッキーだったとも話していました。
16歳の時に、中耳炎をこじらせて右耳の聴力を失いましたが、芸大に進学し、卒業後には、かねてより希望していたベルリン留学をすべくパスポート申請をするのですが、そこで国籍が無いことが発覚します。元々スウェーデン国籍を持っていたらしいのですが、一度も行ったことがなく抹消されてしまったようです。日本人パスポートもなかなか取得できず、28歳の時にようやく難民としてドイツに渡り、ベルリンに留学します。
指揮者のカラヤンやバーンスタイン、ピアニストのサンソン・フランソワやパウル・バドゥーラ=スコダにも認めら、いよいよ大きな舞台でのリサイタルに漕ぎつける目前で、風邪をこじらせて聴力を失うという不幸が起こります。致命的な出来事によって世界デビューが白紙となり、耳の治療をしながらピアノ指導者としての日々を送りました。
その後、左耳の聴力は40%くらい回復したものの、16歳の時に失った右耳の聴力はもちろん失ったままです。
お母様の死をきっかけに日本に帰国して、月日が流れ、そして、私がテレビで見たフジコさんの半生を紹介したテレビ番組に繋がるのです。この番組をきっかけに、CDデビューを果たし数百万枚の売り上げを達成して数々の賞も受賞し、カーネギーホールでのリサイタルも果たしました。現在では、コンサートのチケットが入手困難なほど、世界的にも大ブレイクしています。
フジコさんのこれまでの軌跡を知るだけでも、波乱万丈で驚くばかりですが、映画の中ではいろいろなシーンでフジコさんのピアノ演奏が流れるのも魅力的でした。バッハからモーツァルト、ベートーヴェン、ショパン、ドビュッシーまで、様々な作曲家のピアノ曲を聴くことができますが、やはりフジコさんの代名詞とも言えるリスト作曲の「ラ・カンパネラ」がほぼ全曲流れていたのは印象的でした。
リストの作品は、音楽的な内容よりも超人的なテクニックの方に目が行きがちですが、「魂を込めて弾いている」と言うフジコさんの言葉通り、激動の半生を過ごしてきたからこそ奏でられる、奥深く味わい深い演奏に、とても引き付けられました。
生徒さんにも、この映画をお勧めしたいと思いました。
(この記事は、第250号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回の「たのしい音楽小話」は、ロシアのピアニズムとブルグミュラーのお話です。
先日、ピアノのセミナーに参加しました。ロシアのピアニズムからブルグミュラー25の練習曲をより魅力的に演奏するというテーマのセミナーでした。
ブルグミュラー25の練習曲は、ピアノを弾いている方にとっては大変よく知られた作品です。ピアノを始めて最初の基本的なテクニックを学んだ後、次のステップとしてよく使われる教材で、一曲一曲にタイトルが付いているので、練習曲ではありますが、1つのピアノ作品を弾いているような感じがするものです。
半ページから見開き1ページという手頃な長さですし、美しい音楽作品なので、お子様から大人の方まで、年代を問わず楽しめるピアノ曲だと思います。
セミナーの講師は、奈良井巳城さんで、名前を聞いたことがあると思っていましたが、なんと大学時代の同級生でした。
必修科目のクラスや習っていた先生が違うので面識はないのですが、ピアノ科の男子学生は少ないので印象に残っていました。大学4年生の卒業試験で、ロシア5人組のバラキレフ作曲「イスラメイ」を弾いて、同じ曲を弾いたもう一人の同級生と同点で主席卒業となり、友人と「凄いねぇ」と話していたことを覚えています。
卒業後のことは知りませんでしたが、経歴を見ますと、卒業後ロシアのモスクワ音楽院に留学して研鑽を積み、帰国後は自らピアノ教室を開き、ショパンコンクール in ASIA やピティナピアノコンペティションなどの審査員、セミナー講師などで活躍されているようです。
学生時代は、どちらかというと大人しそうでクールな印象でしたが、セミナーが始まりますと、だいぶ親しみやすく、2時間のセミナーでも話し足りないくらの話し好きな感じで、だいぶ印象が違いました。
セミナーの前半は、ロシアピアニズムのお話でした。
ロシアというと、クラシック音楽の中では、バレエ音楽で有名なチャイコフスキーや、圧倒的なスケールと迫力があるピアノ協奏曲が有名なラフマニノフ、そしてモスクワ音楽院が思い浮かびます。また、リヒテルやギレリス、アシュケナージなど、ロシア出身の演奏家も数多く挙げられます。
ロシアピアニズムは、簡単に言い表せるものではないそうですが、4つの流派に分かれていて、テクニシャンな演奏や哲学的な演奏など流派によってだいぶ違いがあるそうです。
ブーニンの祖父であるゲンリフ・ネイガウスの流派を継ぐネイガウス派からは、ピアノの巨匠と呼ばれたリヒテルやギレリスが活躍をしました。今回のセミナーでも、リヒテルのエピソードの話がありました。
リヒテルは、毎日手帳に謎の数字を書き込んでいて、身の回りのお世話をしていた人が、何を書いているのかと聞くと、毎日の練習時間を書き込んでいたのです。師匠であるネイガウスが、弟子であるリヒテルを天才だと言っていたほどですが、毎日手帳に練習時間を記入し、まだまだ練習が足りないと自ら戒めていたそうなのです。天才と呼ばれた人も、こうして日々努力を重ねていたのですね。
ネイガウス派の他には、哲学的な演奏をするレオニード・ニコラーエフの流派を継ぐニコラーエフ派から、ショスターコービチが活躍し、スクリャービンと仲良しだったアレクサンドル・ゴリデンヴェイゼルの流派を継ぐゴリデンヴェイゼル派からは、バッハコンクールで優勝したタチアナ・ニコラーエワやカバレフスキーが活躍し、ラフマニノフやスクリャービンと同じ先生に習っていて、テクニシャンな演奏をするコンスタンチン・イグムノフの流派を継ぐイグムノフ派からは、アシュケナージらが現在も活躍しています。
クレメンティがロシアにピアノを持ち込んでから、ロシア語のオペラを作り「ロシア音楽の父」と呼ばれたグリンカが活躍をして、ルービンシュタイン兄弟がサンクトペテルブルク音楽院やモスクワ音楽院を創設し、先ほどの4つの流派に繋がって、現在のピアニストに受け継がれているのです。
ちなみに、講師の奈良井さんはネイガウス派の流れを受け継いでいますが、モスクワ音楽院で自ら受けたレッスンや聴講したレッスンのエピソードをいろいろと話していました。
自分なりの考えやイメージを持って音を出していなかったり、前回のレッスンで指摘されたことだけを直して次のレッスンに行くと、弾いたとたんに楽譜を閉じられてレッスンが終了してしまうという厳しさや、奈良井さんが習っていた女性の先生が、柔らかいタッチで弾くことを指導するために、お弟子さんに自らの体を触るように命じて、聴講していた学生がみんなで驚いたことも話していて、セミナーの会場中が大笑いになりました。現在では、逆セクハラで大問題になると思いますが、そのくらい熱心に指導されていたということなのですね。
セミナーの後半は、ブルグミュラー25の練習曲の話になりました。
この練習曲は、ブルグミュラーが46歳の時にパリで作曲した作品で、ピアノの初期の段階から曲想や情緒を育てられるように作曲されているそうです。
練習曲の最初は、3オクターブの音域で弾けるように作曲され、段々と音域が広がり、最後は5オクターブまで使って弾くようになっています。子供の肩幅に合わせてあるそうで、無理なく弾けるように工夫されています。そのため、基本的には最初から順番通りに練習するのがおススメとのことです。
ブルグミュラー25の練習曲は、色々な出版社から楽譜が出ていますが、楽譜によって曲のタイトルが異なることも話していました。例えば、最後の25番目の曲は、昔ピアノを習った方は「貴婦人の乗馬」という曲名で覚えていると思いますが、現在の楽譜では、「貴婦人の乗馬」以外に「乗馬」「令嬢の乗馬」「お嬢様の乗馬」「お姫様の乗馬」と様々なタイトルが付けられています。
第4番目の曲も、「子供の集会」「小さな集会」「小さな集まり」「子どもたちのつどい」「子供のパーティー」となっていたり、第14番目の曲は、「スティリアンヌ」「スティリエンヌ」「シュタイヤーのおどり」「シュタイヤ地方の踊り(アルプスのおどり)」「シュタイヤー舞曲」「スティリアの女」「シシリアのワルツ」など、出版社によってタイトルが異なります。
1つの楽譜だけに頼ってしまうと、曲のイメージ作りも狭くなってしまうので、いろいろな楽譜を見比べることも大切なのでしょう。
また、曲の構成がしっかりと把握できるようになったり、暗譜もできるようになるために、楽譜マッピングを作ることや、同じ言葉でもその後に続く言葉によって話し方が変わってくるという「調音結合」と呼ばれるものの話も出てきました。
例えば、「お」という字は、「おにぎり」と言おうとして発音する時と、「おはよう」と言おうとして発音する時とでは、言い方が異なってきます。これをピアノ演奏のフレーズを弾くときにも、応用しようということなのです。
確かに、そのフレーズがどこを目指しているのか(フレーズの中心となる部分や、音の高さ、強さなど)によって、フレーズの始まりの弾き方が異なってくるはずです。わかりやすくて、なるほどと思いました。
セミナーの最後の方では、奈良井さんが実際にピアノを弾きながら、それぞれの曲の弾き方のアドヴァイスがありました。
現在の楽譜に書かれている指番号では弾きにくいが、初版の楽譜の指番号だと子供でも無理なく弾けるところや、楽譜に書かれている指番号の意味や演奏の実践的な話もありました。
ちなみに、ピアノを弾くときに手首の柔らかな動きが必要で、手首の回転運動を上手に行うことで、ドソミソ、ドソミソ・・・というような伴奏系や2つの音を交互に速く弾くトレモロというテクニックが身に付きます。そのための練習には、最近、小学生の中で流行っているスクイーズというおもちゃを使うのがよいそうです。
スクイーズは、低反発のスポンジのような素材で、手で握ると柔らかくて気持ち良い感じがします。このドーナツ型(大人の場合はパンケーキ型)を、指先だけで握り、そのまま鍵盤に乗せて交互にくるくると回して音を出すのだそうです。これは、小さいお子様も喜んで練習しそうですね。
「ピアノを弾くときは手首を柔らかく」ということは、よく聞いたり言われたりしますが、頭ではわかっていても実際にはぴんと来なかったり、実際にどうやって弾くのか、なかなかわかりにくいものですが、とてもよいレッスンの参考になると思います。
スクイーズは、100円ショップでも販売されているようなので、興味のある方はお試してみてもよいかと思います。
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