(この記事は、第167号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、「世界のオザワ」のお話です。

「世界のオザワ」と言う言葉は、ピアノを弾いたり音楽鑑賞が好きな方だけでなく、それほど音楽が身近でない方でも聞いた事があるのではないでしょうか?

指揮者の小澤征爾さんのことです。

20代にして、早くも指揮者の国際コンクールで優勝し、バーンスタインやカラヤンなど、世界一流の指揮者たちに認められた輝かしい経歴の持ち主です。

音楽の世界でプロとして活躍されている方は多いわけですが、日本だけでなく世界的に活躍されていて、しかも本当に世界のトップで活躍されている数少ない音楽家の一人です。

そんな小澤征爾さんが、先日テレビ番組に出演されていました。

これほどスゴイ指揮者ですが、見た目やテレビで答えている姿などは、とても気さくで、ごくごく普通のおじさまという雰囲気でした。気難しく近寄りがたい感じは、全くありません。

しかしながら、とてもエネルギーに満ち溢れた、気迫のようなものを感じました。ちょっとベートーヴェンに似ているとでも言うのでしょうか。

小澤さんは指揮者ですが、指揮棒を持たず手振りのスタイルです。これは 20年ほど前に、本番で指揮棒を忘れてしまった事がきっかけなのだそうです。

指揮棒はとても細いので、折れないように専用のケースを作るなど意外に気を遣うもので、また、指揮棒の長さや重さは色々あり、なかなか使いやすいものがないそうです。

もちろん、演奏中に汗で滑ってしまったり、飛んでしまわないように、注意もしなければなりません。

しかし、指揮棒無しで手振りで行う場合も危険が潜んでおり、以前、指揮中にソリストの譜面台に手がぶつかり、本番中に指を骨折してしまったのだそうです。

それでも演奏を続け、演奏が終わった頃には、かなり腫れてしまったとおっしゃっていました。

小澤さんが、番組でおっしゃっていたことで、印象深いことがいくつかあります。

まず、「指揮者は、どのような役割なのか、映画の監督のようなものなのか?」という質問に対して、音楽は、作曲家が一番大切で、紙に書かれた楽譜から作曲家が何のために、どのような思いで書いたのか気持ちを読み取り、それを演奏家に実際の音にしてもらうのが指揮者の役割だと話していました。

指揮者の練習は、実際にオーケストラなどと一緒に練習する前から始まっていて、むしろ、その前までの練習が大変だともおっしゃっていました。

病気(食道がん)をする前は、毎朝4時くらいから9時まで楽譜を読み込むという勉強をされていたそうです。

もう、長いこと世界のトップで活躍されていますから、同じ曲を演奏する事も多いと思いますが、それでもこのようなたゆまぬ努力を重ねておられるのですね。

また、チェリストなど音楽仲間と一緒に、全国でいきなりコンサートを開くという活動をされていた時に、音楽に聞き入る人を見て、「これが音楽の力なんですよ。すごいでしょ!?」と、自分たちの演奏力の高さを誇示することは全くせず、すべては音楽によるものとお話されていました。世界の巨匠なのに、とても謙虚なお考えが見えて、素晴らしいなあと思いました。

番組で、「国際コンクールなどで優勝し、バーンスタインなど当時の巨匠たちに賞賛されて、すごいですね!」というコメントに対しても、「僕は先生に恵まれた」と答えていました。

「病気から復帰して、気持ちが変わりましたか?」という問いに対して、「音楽は素晴らしい!」と答えていたところも、とても印象的です。本当に心から音楽が好きで、音楽を楽しんでいる感じが伝わってきました。

演奏活動だけでなく、指導する事もとてもお好きだと発言されていたので、これからも多くの若手音楽家を育てて行かれると思います。今後の活躍も目が離せないですね。

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(この記事は、第164号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、現在公開されている音楽を題材にした映画についてです。

先日、「アルゲリッチ 私こそ、音楽!」という映画を鑑賞してきました。この映画のホームページはこちらです。

アルゲリッチは、アルゼンチン出身で、わずか4歳でモーツァルトのソナタやショパンの子犬のワルツを人前で弾きこなし、16歳で世界屈指の2つの音楽コンクールで相次ぎ優勝して話題になりました。

その後、ショパンコンクールでも優勝したという伝説のピアニストです。

現在でも、世界の巨匠として大活躍中で、日本でも「別府アルゲリッチ音楽祭」の総監督を務めています。

「人気と実力を兼ね備え圧倒的な存在感」とは、アルゲリッチの事を示す言葉のようにも思えます。

そんなアルゲリッチは、美しい美貌からは想像できないような、圧倒的なスケールとパワフルな演奏が魅力で、とてもファンが多いのですが、舞台上だけではない日常の姿が見られる映画でした。

ずっと世界のトップで活躍しながら、結婚や離婚、3人のお嬢さんを出産、そして癌の手術など、波乱万丈の生活を送ってきたことが、末娘のお嬢さんの視点でリアルに撮影されています。

舞台の上では、迫力あるオーラを振りまいて本当に素晴らしい演奏をされますが、出番前の舞台袖では、ナーバスになっている姿があったり、老いとの戦い、それによって演奏が変わってしまうことへの恐怖なども、アルゲリッチ自身が語っていました。

どんなに上手なピアニストでも、人前で演奏する事はとても大変な事で、それは私たちと同じなのだということを教えてくれました。

また、日常生活では、日本での移動中に新幹線の中で駅弁を食べて満足そうな表情を浮かべていたり、オーケストラとの練習中に荷物から持参したバナナを取り出して、嬉しそうにほおばるお茶目な一面や、寝起きの姿まで映されていました。

お孫さんのために、ピアノでメロディーを弾きながら歌を歌っている姿は、良い意味でごくごく普通の「おばあちゃま」という感じがして、とても親近感を持ちました。

お母さんとの確執や、昔はピアノが嫌いだった事、精神的にぼろぼろになって辛かった時期があった事、お子さんを奪われてしまった事など、あまり人には言いたくないような内容まで、包み隠さず話していた姿も驚きでした。

このような事実を知ると、天才とか巨匠と呼ばれる人でも色々な問題を抱えて、苦悩しながら、それでも音楽と向きあい、人を感動させるような演奏をしているのだと感慨深くなりました。

今回鑑賞した映画以外にも、伝説のヴァイオリニスト「パガニーニ」を取り上げた映画も以前公開されましたし、今月下旬には、指揮者をテーマにした「マエストロ」も公開されます。

音楽は演奏だけではなく、その背景を知ることで、より親近感を持ったり興味を持つことができると思います。

色々な側面から音楽を楽しめたら素敵ですね。

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(この記事は、第157号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、芸術の秋にピッタリな音楽イベントのお話です。

先日、「アークヒルズ音楽週間」に行ってきました。

「アークヒルズ音楽週間」は、「サントリーホールフェスティバル」(9月20日~11月18日)期間中のうち8日間、サントリーホールと森ビルが主催して開催されるイベントです。

アークヒルズ25周年の記念に始まった音楽イベントで、今年で4年目を迎えます。

「サントリーホールフェスティバル」では、毎年、世界の一流演奏者のコンサートや、マスタークラスの公開レッスン、オーケストラの公開リハーサルなど様々な催し物が行われます。今年は、五嶋みどりさんの公開レッスンやリサイタル、ウィーンフィルのコンサートや無料の公開リハーサルなどが行なわれました。

しかし、「アークヒルズ音楽週間」は、私もつい最近知ったので、ご存知ない方も多いかもしれません。

10月4日~11日の8日間、サントリーホールの広場やロビー、近隣のビルやホテル、カフェ、チャペル、大使館などで、コンサートなどの音楽イベントが開催されます。

私は、サントリーホールのロビーで行われたオーボエとハープのコンサートを聴いてみました。

開場時間の少し前に着きましたが、すでに長い行列が出来ていてビックリしました。

小ホールの入り口前に舞台が設けられ、40席ほど椅子も用意されていましたが、私がロビーに入った時点で満席になっていて、どんどん立ち見のお客さんが増えていきました。そして、開演時間には、80~90人くらい集まっていました。

東京交響楽団のオーボエ奏者の最上峰行さんと、ハープ奏者の津野田圭さんのコンサートです。お二人の共演は初めてのようですが、とても息の合った演奏でした。

演奏の合間には、それぞれの楽器の説明やソロの演奏もあり、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」のハープ演奏は、とても興味深く聴かせていただきました。

「亜麻色の髪の乙女」は、ドビュッシーのピアノ曲の中でも特に有名な曲なので、聴いた事がある方も多いと思いますし、弾いた事がある方もおられると思います。

しかし、ハープの柔らかい音色で聴くと、ピアノとは違ったイメージになり、音楽の幅広い楽しみ方を体験する事が出来ました。

他の曜日には、弦楽四重奏やオペラなども演奏され、他の会場では、ジャズやサックス、尺八などクラシック以外のジャンルの音楽も演奏されました。

今年の「アークヒルズ音楽週間」は終わってしまいましたが、「サントリーホールフェスティバル」は、11月18日まで開催されています。

芸術の秋を、日本屈指のホールで楽しんでみてはいかがでしょうか。

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