(この記事は、第148号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回の「たのしい音楽小話」は、天才音楽家のお話です。
以前、各界のスペシャリストが、わかりやすく授業を行うバラエティ番組「世界一受けたい授業」で、「日本人が好きな天才ベスト100」というテーマがありました。
そして、その天才ベスト10 の中に、音楽家が3人も入っていたのです。さあ、誰が入っていたでしょう?
答えは、以下の3人です。
6位: ベートーヴェン
7位: モーツァルト
10位: ショパン
エジソンやレオナルド・ダ・ヴィンチ、アインシュタインなどと並んで、音楽界から3人も選ばれているとは思った以上に多く、とても嬉しく思いました。
個人的には、モーツァルトよりも、ベートーヴェンの方がランキングが上というのは少し驚きです。
作曲家の青島広志さんが、この3人の作曲家を比較しながら、演奏も交えて作曲スタイルについて解説されていました。
ベートーヴェンは、辛いことや怒りを音楽で表現し、ショパンは恋人など特定の人を思い、曲を書いていました。
しかし、モーツァルトのような古い時代には、音楽は神様に捧げるものでしたので、このようなことはありません。
時代とともに、音楽のあり方が変化してきた事になります。
このような事を知ると、音楽の聴き方や感じ方も変化してくるかもしれませんね。
そういえば以前、生徒さんと好きな作曲家について話をしていたとき、「ショパンは、もうたくさん」とお話されていた事を思い出しました。
ショパンの音楽は、様々な人間の感情が込められたロマン派の作品ですので、何か刺激が欲しい時にはぴったりですが、人間関係などでストレスを抱えているときには、天真爛漫なモーツァルトの音楽の方が、悩みを忘れられて癒されるのかもしれません。
番組の中では、人間性についても紹介されていましたが、モーツァルトの子供っぽさや幼稚さがうかがえる例として、「俺の尻を舐めろ」という変わったタイトルの音楽が紹介され、実際オペラ歌手が歌っていました。
モーツァルトの音楽は有名なものが多いわけですが、この曲をご存じの方は少ないでしょう。私自身、あまりに凄いタイトルなので知ってはいましたが、実際に聴いたのは初めてです。
原曲ではなく、青島さんの編曲ではありましたが、このタイトルをひたすら連呼するような音楽で、歌い終えた歌手の方も「恥ずかしいです」と感想をお話されていました。
YouTube の動画もご覧ください。
確かに、ピアノ曲があったとしても恥ずかしいですね。
短い人生の中で、素晴らしい音楽をたくさん生み出し、天才中の天才と言われる音楽家ですが、このような一面を知ると、生身の人間らしさが感じられて、少しホッとしてしまうのは、私だけではないと思います。
(この記事は、2014年5月12日発行の第147号 メールマガジンに掲載されたものです)
その3からの続きです。読まれていない方は、以下のページをご覧ください。
お子様の才能とスズキ・メソードについて考える その1
お子様の才能とスズキ・メソードについて考える その2
お子様の才能とスズキ・メソードについて考える その3
スズキ・メソードの創始者である鈴木鎮一さんが書かれた本『愛に生きる 才能は生まれつきではない』(講談社現代新書)を通して、「才能」について書いています。
今回が、最終回です。
前回は、10年間努力を怠らなければ、誰でもその能力を開発することができることを書きました。
しかし、10年「やり抜く」ことは大変ですね。最初は、「やるぞ!」と思っても、本当にやり抜ける人は一握りです。
逆に、成功するかどうかは、「やり抜くことができるかどうか」にかかっていると言っても過言ではありません。
「忍耐」が運命を決めるのです。そして、その忍耐は、くり返し行う練習によって作られます。
「たかが音楽」と思う人もいるかもしれませんが、その音楽のレッスンを繰り返すなかで、お子様の人生を決める「忍耐」が作られるのかもしれません。
そして、もう1つ、この本が教えてくれる重要なポイントは、「実行すること」です。
多くの人に共通する短所は、「やるべきだ」と思いながら、結局 実行には移さないことです。
「思うだけでは能力ではない。それは、思わないのと結果は同じだ。やってのけてこそ、能力なのだ」と、この本には書かれています。
行動に移すことができるかどうか、これも、人の運命を左右するほどの重大な能力です。
お子様に、「思ったら実行する習慣」を身に付けさせることは、学校の勉強以上に、お子様の将来に大きな影響を与えるかもしれません。
「思ったら実行すること」「実行したら、途中であきらめずに、最後までやり抜くこと」、そして「自分にできないことを、生まれつきと思わずに、まだ努力が足りないと思うこと」、これらを実践したらどうなるか?
その結果は、スズキ・メソードの生徒に有名人が多いことを見れば明らかでしょう。
お子様に才能があるかどうか心配するよりも、行動をおこして、それを続けることに精力を注ぐべきということですね。
(完)
参照: 子供のためのピアノ教育:お子様をピアノ教室に通わせる
(この記事は、2014年4月28日発行の第146号 メールマガジンに掲載されたものです)
その2からの続きです。読まれていない方は、以下のページをご覧ください。
お子様の才能とスズキ・メソードについて考える その1
お子様の才能とスズキ・メソードについて考える その2
スズキ・メソードの創始者である鈴木鎮一さんが書かれた本『愛に生きる 才能は生まれつきではない』(講談社現代新書)を通して、「才能」について書いています。
前回は、能力や素質は生まれつきではなく、育てられた「環境」によって作られることを書きました。
そして、その「環境」とは、基本的に「人」です。親であり、教師などの指導者です。
スズキ・メソードでは、現在でもお子様に楽器の演奏を教える際に、お子様だけでなく、親御さんにも教えていると思います。
この考え方は、正しいと思います。コン・ヴィヴァーチェの「子供のためのピアノ教育」という解説書も、この目的のために作成しました。
親御さん自身が、楽器が演奏できる方である必要はありませんが、お子様にピアノが弾けるようになってもらいたいと思っても、親御さんが音楽を理解しようとしないのでは、そのお子様が育つ「環境」が用意されていないようなものです。
前号でも書きましたが、「環境にないものは育たない」のです。
音楽教室に通わせても、週に30分や多くて1時間のレッスンでは、「育つ環境」と言えるほどの状況にはなりません。やはり、自宅でのレッスンの「環境」が重要になるのです。
そして、レッスンの基本は、「くり返しやること」です。1つのことができたら、それで終わりではなく、それを徹底的に繰り返してやるのです。
急ぐ必要はありません。しかし、あきらめずに努力を続ける必要はあります。
「急ぐべからず、休むべからず」です。
「自分には才能がない」というセリフは、人類全体に植え付けられた 努力を避けるための「いいわけ」にすぎないと、この本には書かれています。
前回、3歳までの環境が能力に与える影響は大きいと書きましたが、その期間を逃すと能力が育たないというわけではありません。より多くの努力が必要となるだけです。
その努力の目安として、「10年」という期間が示されています。10年間、努力を怠らなければ、誰でもその能力を開発することができると書かれています。
『天才! 成功する人々の法則』(マルコム・グラッドウェル著、勝間和代訳、講談社)でも同様に、10000時間の練習が非凡になるための条件として示されています。
毎日3時間の練習を休まずに続けると、約10年で 10000時間になります。
やはり、「継続は力なり」なのですね。
(お子様の才能とスズキ・メソードについて考える その4 に続きます)
最近の投稿
- 晩秋のピアノ教室
- 3か月でマスターするピアノ
- 音楽を習うのにふさわしい年齢
- クロード・ドビュッシーのお話
- ピアニストという仕事
- 晩夏のピアノ教室
- パリだからこそ生まれた名曲
- ミュージック・ヒストリオグラフィー
- 嫌われている大作曲家
- 家、ついて行ってイイですか?
カテゴリー
ブログ内検索
メールマガジン
音楽ナビ
con Vivace について
アーカイブ
- 2024年11月 (2)
- 2024年10月 (2)
- 2024年9月 (2)
- 2024年8月 (2)
- 2024年7月 (2)
- 2024年6月 (2)
- 2024年5月 (2)
- 2024年4月 (3)
- 2024年3月 (2)
- 2024年2月 (2)
- 2024年1月 (1)
- 2023年12月 (3)
- 2023年11月 (2)
- 2023年10月 (2)
- 2023年9月 (2)
- 2023年8月 (2)
- 2023年7月 (2)
- 2023年6月 (2)
- 2023年5月 (2)
- 2023年4月 (3)
- 2023年3月 (2)
- 2023年2月 (2)
- 2023年1月 (1)
- 2022年12月 (3)
- 2022年11月 (2)
- 2022年10月 (3)
- 2022年9月 (2)
- 2022年8月 (2)
- 2022年7月 (1)
- 2022年6月 (2)
- 2022年5月 (3)
- 2022年4月 (2)
- 2022年3月 (2)
- 2022年2月 (2)
- 2022年1月 (1)
- 2021年12月 (3)
- 2021年11月 (2)
- 2021年10月 (2)
- 2021年9月 (2)
- 2021年8月 (2)
- 2021年7月 (2)
- 2021年6月 (2)
- 2021年5月 (2)
- 2021年4月 (2)
- 2021年3月 (3)
- 2021年2月 (1)
- 2021年1月 (3)
- 2020年12月 (3)
- 2020年11月 (2)
- 2020年10月 (2)
- 2020年9月 (2)
- 2020年8月 (2)
- 2020年7月 (2)
- 2020年6月 (2)
- 2020年5月 (2)
- 2020年4月 (2)
- 2020年3月 (3)
- 2020年2月 (2)
- 2020年1月 (2)
- 2019年12月 (2)
- 2019年11月 (2)
- 2019年10月 (2)
- 2019年9月 (3)
- 2019年8月 (1)
- 2019年7月 (2)
- 2019年6月 (2)
- 2019年5月 (2)
- 2019年4月 (2)
- 2019年3月 (3)
- 2019年2月 (2)
- 2019年1月 (2)
- 2018年12月 (3)
- 2018年11月 (2)
- 2018年10月 (3)
- 2018年9月 (2)
- 2018年8月 (2)
- 2018年7月 (1)
- 2018年6月 (2)
- 2018年5月 (2)
- 2018年4月 (3)
- 2018年3月 (2)
- 2018年2月 (2)
- 2018年1月 (2)
- 2017年12月 (3)
- 2017年11月 (2)
- 2017年10月 (3)
- 2017年9月 (2)
- 2017年8月 (2)
- 2017年7月 (1)
- 2017年6月 (2)
- 2017年5月 (3)
- 2017年4月 (2)
- 2017年3月 (2)
- 2017年2月 (2)
- 2017年1月 (2)
- 2016年12月 (3)
- 2016年11月 (2)
- 2016年10月 (2)
- 2016年9月 (1)
- 2016年8月 (2)
- 2016年7月 (3)
- 2016年6月 (2)
- 2016年5月 (2)
- 2016年4月 (2)
- 2016年3月 (2)
- 2016年2月 (2)
- 2016年1月 (5)
- 2015年12月 (2)
- 2015年11月 (1)
- 2015年10月 (3)
- 2015年9月 (2)
- 2015年8月 (2)
- 2015年7月 (2)
- 2015年6月 (3)
- 2015年5月 (3)
- 2015年4月 (2)
- 2015年3月 (2)
- 2015年2月 (2)
- 2015年1月 (5)
- 2014年12月 (3)
- 2014年11月 (2)
- 2014年10月 (3)
- 2014年9月 (3)
- 2014年8月 (1)
- 2014年7月 (4)
- 2014年6月 (2)
- 2014年5月 (3)
- 2014年4月 (3)
- 2014年3月 (4)
- 2014年2月 (2)
- 2014年1月 (4)
- 2013年12月 (4)
- 2013年11月 (2)
- 2013年10月 (5)
- 2013年9月 (3)
- 2013年8月 (2)
- 2013年7月 (2)
- 2013年6月 (2)
- 2013年5月 (3)
- 2013年4月 (4)
- 2013年3月 (3)
- 2013年2月 (2)
- 2013年1月 (4)
- 2012年12月 (3)
- 2012年11月 (4)
- 2012年10月 (1)
- 2012年9月 (2)
- 2012年8月 (3)
- 2012年7月 (4)
- 2012年6月 (5)
- 2012年5月 (4)
- 2012年4月 (4)
- 2012年3月 (5)
- 2012年2月 (4)
- 2012年1月 (6)
- 2011年12月 (5)
- 2011年11月 (3)
- 2011年10月 (3)
- 2011年9月 (2)
- 2011年8月 (2)
- 2011年7月 (4)
- 2011年6月 (2)
- 2011年5月 (3)
- 2011年4月 (2)
- 2011年3月 (3)
- 2011年2月 (3)
- 2011年1月 (4)
- 2010年12月 (4)
- 2010年11月 (2)
- 2010年10月 (4)
- 2010年9月 (1)
- 2010年8月 (4)
- 2010年7月 (3)
- 2010年6月 (54)