(この記事は、第133号のメールマガジンに掲載されたものです)
10月も半ばになり、暦の上ではすっかり秋になりました。八百屋さんやスーパーには、ぶどうや栗、茄子など、秋の味覚が並んでいます。
秋の味覚の代表でもある松茸は今年豊作だそうで、高級食材ではありますが、例年に比べますと少し手が届きやすくなっているようです。
その一方で、昼間はまだ汗ばむ陽気の時もあり、体調を崩されている方も少なくないようです。体調管理には気をつけたいものです。
秋は食べ物だけでなく、スポーツのシーズンでもあります。
つい先日は、フィギュアスケートの大会が放映されていました。フィギュアスケートは、個人的に好きなスポーツですが、ピアノの生徒さんの中にも好きな方が多いようです。
ステキな衣装を着て、華やかな音楽に合わせて、氷の上で優雅に踊っているかのように見える競技なので、特に女性の方にはたまらないでしょうね。
私が小さい頃は、フィギュアスケートの音楽はクラシックというイメージでしたが、今ではもっと幅広いジャンルの音楽が使われるようになりました。
先日の大会では、浅田真央選手はショパン作曲のノクターンとラフマニノフ作曲のピアノ協奏曲第2番、高橋大輔選手は、ビートルズ・メドレーに合わせて演技をしていました。
別の大会では、安藤美姫選手が My Way とストラヴィンスキー作曲の火の鳥を使用していました。
ショパンのノクターンは、よくご存じの方も多いと思いますが、ショパンを代表するピアノ曲です。
何曲もありますが概ねショパンの曲の中では比較的弾きやすく、長さも手頃なので、ショパンの作品を弾いてみたいという時にチャレンジしやすい作品だと思います。
ショパン独特の哀愁漂う優雅さも魅力の一つなので、フィギュアスケートの滑らかな滑りにも合うのでしょう。
ラフマニノフ作曲のピアノ協奏曲第2番やストラヴィンスキー作曲の火の鳥は、オーケストラが演奏する作品です。(ピアノ協奏曲では、もちろんピアノも使用します。)
たくさんの種類の楽器が一斉に音を出す迫力や、壮大なスケールがとても魅力的ですね。
ゴージャスという言葉がピッタリな音楽なので、一人で滑っていても、とても存在感が大きく感じられます。
ラフマニノフもストラヴィンスキーも、共にロシアを代表する作曲家です。
来年 2014年には、ロシアのソチで冬季オリンピックが行われますが、それを意識しての選曲かもしれません。
ロシアには他にもチャイコフスキーやムソルグスキー、ショスタコーヴィチ、リムスキー=コルサコフなど、たくさん有名な作曲家がいます。
フィギュアスケートの大会がこれから続々と開催されますが、ロシアの作曲家の音楽なのかという視点でも注目してみたいと思います。
(この記事は、第132号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回の「たのしい音楽小話」は、独自のヴァイオリン教育で有名な鈴木メソードのコンサートのお話しです。
日本のヴァイオリン界に大きく貢献し桐朋学園の学長でもあった江藤俊哉さんや、「情熱大陸」で有名な葉加瀬太郎さん、さだまさしさん、久石譲さん等、クラシック音楽だけでなく、あらゆる音楽ジャンルで活躍する有名人を数多く輩出している鈴木メソードの生徒さんによるチルドレンコンサートを聴きに行ってみました。
国内では約2万人、世界46ヵ国に約40万人もの生徒さんが学んでいるそうで、「母語教育法」という考え方に基づいてレッスンをされているそうです。
今回のコンサートは、いくつかのお教室が集まって合同で行われました。
オープニングの合奏に始まり、ピアノ演奏、ヴァイオリンやフルート、チェロの合奏、全部の科のアンサンブルもありました。
鈴木メソードは、創立者がヴァイオリニストで、ヴァイオリンの教育から始まったので、ヴァイオリンのイメージがとても強いのですが、ピアノやチェロ、フルートのレッスンも行われています。
私自身の専門がピアノという事もあり、ピアノの生徒さんの演奏も楽しく聴きましたが、他の楽器の発表会もあまり聴く機会が無いので興味深く聴かせていただきました。
ピアノの生徒さんの演奏は、ソロの他に、連弾や2台ピアノもありました。
小さい生徒さんにとって、他の人と合わせて演奏する事は、ソロとはまた違った大変さや緊張感もあると思いますが、なかなか息の合った演奏を披露していました。
2台ピアノの演奏を経験した方はご存じと思いますが、連弾と違って1人1台なので体がぶつかる心配もなく、伸び伸び弾けそうなイメージなのですが、相手の音が意外と遠くから聴こえてきますので合わせにくいものです。
特にホールは音がよく響くので、なおさら合わせにくくなります。相手の音を聴かないと揃いませんし、あまり聴き入ってしまうと、音が自分の耳に届くまで少し時間がかかるので、自分の演奏が遅れてしまうのです。
このように2台ピアノの演奏は慣れないと難しいのですが、よく合わせて弾いていたので驚きました。
楽器を習い始めた生徒さんのコーナーでは、ヴァイオリン、フルート、チェロの生徒さんが、合同でキラキラ星を演奏していました。
チェロの生徒さん用の椅子が舞台に登場した時点で、「うわ~、小さい」と思いましたが、登場してきた生徒さん方が本当に小さい生徒さん方ばかりで、とてもかわいらしかったです。
チェロが、大人用のヴァイオリンくらいの大きさに見えますし、ヴァイオリンもまるでウクレレのようで、フルートもピッコロくらいのサイズに見えました。
それでも演奏の準備では、しっかりと構えの姿勢が出来ていて、バッチリ決まっていました。
後半、少々テンポが走ってしまいましたが、それもご愛嬌と言う感じで、頑張っている姿がなんとも言えず微笑ましく感じました。
それぞれの楽器のグループ演奏では、始めたばかりの生徒さんから、高校生くらいの生徒さんまで、一緒に演奏をしていました。
小さな生徒さんにとっては、身近なお手本であり目標になると思いますし、大きい生徒さんにとっては、自分が始めたばかりの事を思い出して初心を忘れないきっかけにもなりそうで、お互いによい刺激になるように思いました。
コンサートというタイトルなので、発表会とは違うのかもしれませんが、よくあるピアノの発表会とは全く異なるので、とても楽しく学ぶことも多くありました。
(この記事は、第126号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回の「たのしい音楽小話」は、モーツァルトが愛していた食べ物のお話です。
モーツァルトは、神童とも呼ばれ、その腕前を披露するために、幼い頃から演奏旅行をしていたことで有名です。短くても数カ月、長いときには何年もかけて世界各国を回っていました。
当時は舗装もされていない道を、馬車に揺られて移動するのですから、楽しいだけではなく、とても過酷な旅行だったのかもしれません。
旅行にはお金がかかりますから、食費を切り詰めていたこともあったようですが、旅先では貴族などから夕食をご馳走になっていたこともあったようです。
現地の食材を使った料理を食べたり、初めて出会った味も色々とあった様なので、なかなかのグルメだったのかもしれません。
そんなモーツァルトが好んで食べていたものの一つが、なんと「牛タン」です。
ウィーンに滞在していた時には、故郷のザルツブルクから、お父さんが牛タンを送ってくれていたそうです。そのお礼の手紙が残されています。
牛タンは、日本でも仙台の名物ですし、焼き肉屋さんへ行くと定番のメニューですね。
薄くスライスした牛タンに、塩だれや刻んだねぎを合わせて、網の上で焼いて食べたり、厚切りにして味噌だれに合わせて食べたりすると思います。
また、デミグラスソースと一緒に煮込んで、牛タンシチューというメニューもありますね。
モーツァルトが活躍していた時代は、現在のように流通がしっかりと整備されていたわけではないので、ザルツブルクから230km離れているウィーンに荷物を送る場合、5日間ほどかかっていたそうです。
さすがに5日もかかりますと、食材が傷んでしまいますから、牛タンは塊のまま大量の塩やタイム、オレガノなどのハーブと一緒に擦りこんで、塩漬けにしていたのだそうです。
それをスライスして、ホースラディッシュというローストビーフなどに添える西洋わさびと、卵黄、サワークリームなどで作るソースをかけて食べていたそうです。このホースラディッシュソースは、ヨーロッパの伝統的なソースです。
このソースは、日本ではなかなか食べる機会がないかもしれませんが、ホースラディッシュにマヨネーズなどを合わせたソースは、輸入食材屋さんなどでも販売されています。また、ファーストフードのサブウェイでは、サンドウィッチを注文するときのドレッシングの一つにもあります。
牛タンという、同じ食材でも、時代や国が変わると、違った食べ方をしていて面白いですね。
お料理好きな方やモーツァルトファンの方は、当時の味を再現してみると、さらにモーツァルトの人となりを身近に感じられるいい機会になるかもしれません。
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