(この記事は、第239号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、小さなお子様のお母様からのご相談です。
最近、幼稚園生のお母様から、相次いでご相談を頂きました。一人の方は、お子様にピアノを習わせていて、もう一人の方は、現在習わせていません。
はじめに、個人のピアノ教室に通っている幼稚園生のお母様からのご相談です。相談内容は、「ピアノの先生にグレード受験を勧められたが、必須なのか」というものでした。
グレードは、水泳や英語の「級」などにあたるもので、お子様の習いごとにはよくあるものですね。お母様は、初めてグレードを勧められたようで、何もわからず戸惑っているようでした。
グレードには、いろいろな種類があり、ピアノの演奏のみで受験できるものもあれば、演奏以外に音を聴いて何の音か当てる聴音や、数小節のメロディーをその場でアレンジして演奏する即興演奏、初めて見る楽譜をその場で即座に弾く初見演奏などが受験科目にあるものもあります。
今回勧めされたグレードは、従来からあるヤマハのグレードと、日本では「知る人ぞ知る」という認知度ですが世界的にはメジャーな英国王立音楽検定でした。
どのグレードを受けるにしても、まずはグレードの目的を理解することが重要です。
お子様がピアノ教室に通っていても、どのくらいピアノが弾けるのかは、ご家族でもなかなかわかりにくいものです。お子様が小さい頃は、お母様がレッスンに同席している事が多いので、レッスンの進度をある程度把握できていても、小学校3・4年生くらいからは送り迎えのみで、レッスン終了後に少しレッスン内容をお話しするくらいとなり、小学校高学年となりますと、お子様一人で通う事が多いので、ますますレッスンの進度や内容を把握しにくくなり、お子様の演奏技術についてもわかりにくくなります。
レッスンで行っている事が、着実に身に付いているのか、お子様が成長しているのかを客観的に把握したり、お子様のピアノの強みを見つけたり、今後の課題を明確にするためにグレードが利用されている事を、まずはお話しました。
様々なグレードの中から、特定のグレードを先生がお勧めされているのは、「このグレードは良い!」という先生なりの経験や分析があるのでしょうというお話もしました。
そして、グレードが必須なのかについては、大手の音楽教室などでピアノの先生になりたい場合は、指導者用のグレード取得が求められることが多い事や、お子様が将来、中学や高校受験などをする場合、特技としてグレードを持っている事が役に立つかもしれないという事をお伝えしました。
ただ、グレード受験をする場合、それなりの準備期間が必要で、現在使っている教材をいったん中止することもあり、教材の進度に影響する場合がある事もお話しました。
ご相談を頂いたお母様は、お子様が楽しくピアノを弾いているだけで十分というお考えでしたので、今回はグレード受験をお断りするという結論になりました。
次に、ピアノを習わせていないお母様からのご相談です。相談内容は、「お子様がピアノに興味がありそうだが、習わせようか迷っている」というものでした。
お子様と出かけた際に、電子ピアノが置いてあると、決まってジャンジャン音を出して楽しそうなのだそうです。お子様はピアノが好きそうでも、お母様ご本人は全くピアノの経験がなく、学生時代も音楽がさっぱりできなかったので、こんな状況でも習わせられるのかと思っているようでした。
これまで多くのお子様のレッスンをさせていただいていますが、お母様やお父様がピアノを弾けたり、昔ピアノを習っていた方もいますが、そうでない方も大勢いらっしゃいます。
お母様には、そのことをお伝えし、小さいお子様の場合、ピアノの個人レッスンとグループレッスンの2つの選択肢があることと、それぞれのメリットやデメリットのお話をしました。
今回の場合、お子様の性格から、「個人レッスンで、少し厳しくレッスンをしていただける先生の方が良いかも」とおっしゃっていました。
また、ピアノの発表会についての質問も出ました。「ピアノの発表会は、レッスンとは別に会費など、どのくらいかかるのか」という内容でした。
クラシックバレエだと、会費の他に先生へのお礼などがあって、5万円くらいかかるらしいという話もされていました。
クラシックバレエの発表会については、よく知りませんが、ヘアメイクや衣装などがそれなりにかかるという話は聞いたことがあるので、それをお伝えしました。
ピアノの発表会では、昔と違ってお子様のドレスがだいぶ手軽な価格で購入できることや、1回着ただけでおしまいというのはもったいないので、何回か同じドレスを着る方もいらっしゃったり、お友達同士でドレスを貸し借りする事もあるというお話、また、ワンピースなどを着て出演される方もいて、発表会後はお出かけ着として使うという話もしました。
ピアノの発表会は、教室によって毎年行う所もあれば、2年に1回などのサイクルで行う所もあり、発表会費や先生へのお礼も教室による事をお伝えしました。
お子様の発表会は全員参加が基本ですが、お子様が発表会に出ることを本当に嫌がっている場合、レッスン回数に含まれている事をご了解いただいた上で見学などの対応になる事もあるというお話もしました。
いろいろと疑問が解消されたようで、少しすっきりとした表情で、「近所のピアノ教室を探してみようかな」とおっしゃっていました。
ピアノを現在習っている方も、興味があるという方も、いろいろな場面で様々な疑問が出てくるものです。私も出来る限り相談に乗って、疑問が解消されたり、いろいろなお手伝いができればと思っています。
(この記事は、第233号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、大人の生徒さんの発表会の様子です。
先日、大人の生徒さんの発表会が行われました。台風が日本列島に近づいていて、その日の深夜には東京に最接近するという予報でしたので、発表会の開催自体を心配していましたが、予定通りに行われました。
前日、初めて発表会に参加される70代の生徒さんから、「先生とお話がしたい」と事務所に電話があったと連絡をもらいました。
この生徒さんは、数日前の最後のレッスンの時に、発表会が近づいてきた実感が湧いてきたのか、妙に緊張した面持ちでレッスンに来られ、弾いてみても、これまでスムーズに弾けていたところで何か所もミスをしていました。
これまでのレッスンでは、着実に曲をまとめてきていましたので、本来の力が発揮できれば何の問題もなく、あとはお気持ちを強く持っていただければと思い、「十分弾けていますから、大丈夫ですよ」と励ましました。
その事を思い出し、今でも緊張が続いているのかと心配して電話をいたしました。
お話を聞いてみますと、数日前から突如持病が再発して、腰が痛いとの事でした。悪化してくると、腰が曲がってしまい、まっすぐにならないらしいのです。
腰痛の時に使用するベルトを付けているようですが、一向に良くならず、台風が近づいているので、益々酷くなるかもと心配されていました。
「一生懸命練習をして、幾分か良くなってきたというのに・・・」と、ご本人も非常に残念がっていましたが、今回は不参加という事になってしまいました。
さて、発表会当日ですが、台風が近づいているという事で安全の為、前半が終わるとすぐに前半演奏した方の集合写真を撮り、前半の方が解散してから、後半を行うという進行になりました。
生徒さん方は、予定通り会場に到着していましたが、それほど緊張した感じでもなく、落ち着いた様子でした。
開演前は、生徒さん方にお声がけをしたり、舞台近くで記念写真を撮ったり、1年ぶりに再会した他のピアノの先生と近況報告をして過ごしました。
発表会は、スムーズに進行しました。
前日の連絡で持病のため不参加を決めた生徒さんが、本来は1番の演奏順でしたが、2番目の生徒さんから演奏が始まることになります。
この2番目の生徒さんには、「明日の発表会で、1番目の方が欠席になりましたので、最初に演奏することになりますので、ご承知おきください」とメールで連絡をしていたのですが、ご覧にならなかったそうで、出番前に知って、少し動揺されていました。
実際の演奏では、思わぬところでミスが出てしまい、最後の方は良かったものの、少し惜しい演奏になってしまいました。
他の難しい名曲にチャレンジした生徒さんは、レッスンで毎回録音をされていて、ご自宅でもかなり練習をされていたようで、発表会1か月半前くらいから、急にめきめきと上達をされていました。本番でもかなり健闘されていて安心しました。
今回、初めて大人の発表会に参加された大学生の生徒さんは、この日のためにインターネットでドレスを購入したのですが、サイズが合わず、ご実家から以前着ていたドレスを送ってもらったものの、そちらもサイズが合わず、急いで他のお店でドレスを購入されたとの事でした。
普段着る洋服でも、サイズをチェックしているのに、いざ着てみると合わないという事があります。
ドレスの場合、生地の伸縮性や、どのくらい裾が広がるか、肩や脇の開き具合など、実際に着てみますと、インターネットの写真のイメージとは異なる事が意外と多いものです。
この生徒さんは、ドレスのハプニングも影響せず、かなり普段通りに弾けていましたが、後のレッスンで聞いてみますと、お辞儀をして椅子に座った途端に、急に「ぶわ~っと」緊張してビックリしたと話していました。
また、靴のヒールが思ったよりも高く、気になって弾きにくかったとも話していました。
ドレスや出番のハプニングに見舞われた生徒さんがいらっしゃいましたが、なんとか発表会は無事に終えることが出来ました。
今回、不参加になってしまった生徒さんは、本当に残念でしたが、来年はハプニングもなく、みなさん全員が揃って満足感をもって発表会が行えることを願っています。
(この記事は、第231号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、発表会やコンサートの本番を控えた生徒さん方の様子です。
10月に入り、今年も残すところ3か月となりました。芸術の秋ということもあり、ピアノ教室では、生徒さんの晴れの舞台である発表会やコンサートが次々と開催されています。
まず、オーディションの合格者お披露目コンサートが、10月1日に行われます。
以前にも参加したことがある小学生の生徒さんが参加しますが、夏から本格的に塾に通う事になり、宿題と授業に追われて、なかなか大変な日々を過ごしているようです。この生活が始まってしばらくは、ピアノの練習量が少なくなり、少し進度が緩やかになりましたが、やはり本番が近づくにつれて、短い時間でも効果的に練習が行えるように工夫されているのか、本番前の最後のレッスンでは、グンと曲がまとまっていて驚きました。
このコンサートの様子は、また後日お話しできればと思います。
そして、10月下旬には、大人の生徒さんの発表会が開催されます。今年は、初参加の生徒さんも数人いらっしゃいます。
トップバッターを務めるのは、70代の生徒さんです。
この生徒さんとは、今年の年明けに再会し、その後レッスンに復帰されました。現在もピアノのサークルに所属され、ご友人方とピアノを楽しんでおられます。レッスンでは、弾きたい曲を自らおっしゃっていただき、曲が決まると、きれいに楽譜を製本して、毎回レッスンでは録音をされるほど向上心溢れる生徒さんです。
本番では、どれくらい緊張されるか未知数ですが、緊張しても力が出し切れるように、細かい所を詰めている最中です。
先日のレッスンでは、衣装についてのご質問もいただきました。少しドレッシーな装いをされる方が多いというお話をして、「是非、ドレスアップして参加されてはいかがでしょうか」とご提案もしました。
春からピアノを見させていただくことになった大学生の生徒さんも、大人の発表会は、今回が初参加です。小さい頃からピアノを習っていた生徒さんなので、発表会自体は数多くこなしているようです。
今回は、ご本人が一度は弾いてみたかったというショパンの作品を弾きます。テンポが速く、コロコロと間髪入れずに場面転換する作品なので、テクニック的にも音楽的にもなかなか難しい曲です。
練習を始めてしばらくは、「速く弾かないと」という思いから、少し焦ってしまったり、粗い感じになっていました。これは、速いテンポの曲を弾く時に起こりがちな事です。
まずは、しっかりと曲を理解して、ゆっくりなテンポで部分練習をするところからレッスンし、だいぶコントロールして弾けるようになってきたので、現在は、それぞれの場面での表情の付け方などをレッスンしています。ショパンの華やかな「動」の魅力と、憂いに満ちた哀愁漂う「静」の魅力の両方が伝わり、ショパンの奥深さを演奏で表現できたらと思います。
また、大人の発表会に何回も参加されているベテランの生徒さん方もいらっしゃいます。
だいぶ前に一度弾いたことがある曲を「もう一回、ちゃんと弾きたい」という事で、リベンジされる生徒さんもいらっしゃる一方で、難しい曲にチャレンジされている生徒さんもいらっしゃいます。いろいろな参加の仕方が出来るのも、大人の発表会ならではです。
リベンジされる生徒さんは、テクニック的にはおおよそ大丈夫なので、音楽的な表現についてレッスンをしています。
弱い音で始まる音楽なのですが、どうしても弱く弾く事を意識し過ぎて緊張してしまい、浅い感じの音になってしまうのです。しかし、1回通して弾くと調子が掴めるようで、2回目には割と良い感じで弾き始めることができます。本番は1回のみで、リハーサルもありませんので、なんとしても1回目で深さのある音で弾き始めなければなりません。残すところ2回のレッスンで、どこまで掴んでいただけるのかが大きな課題です。
難しい名曲にチャレンジされている生徒さんは、時々、弱気とも取れる発言をされることがあり、「大丈夫です!」と励ましながらレッスンをしています。とにかく細かい部分の練習ばかりしていますので、大変だと思いますが、「難しいなあ」とおっしゃりながらも、黙々とこなしています。
だいぶ流れてきましたので、この調子で本番まで着実に進めていければと思っています。
私自身も、11月のコンサートに向けて日々練習に追われています。先日練習会を行い、演奏順なども決まり、本番が近づいてきた実感が更に湧いています。
練習会では、第2楽章など、前回よりも大幅に改善できましたが、もっと大きなフレーズで弾く事や、第1・第3楽章について、全般的にフレーズの最初の音がはっきりしないというダメ出しをされてしまいました。
確かに録音を聴いてみますと、聴きづらい感じになってしまったので、改善しながら、他の部分について、もっと細かく練習をしているところです。
割とシンプルでわかりやすい音楽だからこそ、少しの曖昧さがとても目立ってしまうので、丁寧な練習の大切さを改めて感じています。
本番で力が存分に発揮できるように、生徒さん方とご一緒に成長していければと思っています。
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