(この記事は、第225号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、発表会に向けた生徒さんの様子についてです。
お子様の発表会まで、2カ月を切りました。生徒さん方に切羽詰まった感じはまだありませんが、着々と練習を積んでいるようです。
普段からコツコツと練習をするタイプの生徒さんは、今回思ったよりも曲の上達がゆっくりで、少し不思議に思っていました。
発表会で弾く曲は、8分音符の伴奏から急に3連符の伴奏に変わったり、3連符の伴奏に合わせて右手は8分音符の連続のメロディーが出てきたり、急に曲想が変わったりと変化に富んだ曲なので、なかなか難しい曲ではあります。
しかし、それを差し引いても、進度が気になったので、生徒さんに自宅での練習について聞いてみました。
すると、既に練習の大半を、全体を通した練習に費やしていると言うのです。
直ぐに練習内容を見直して、全体を通す練習をかなり減らし、その分を部分練習に充てる事を理解してもらいました。また、曲の構成を見て、各部分をどのように弾いていくのかも、もう一度見直しました。
もともと、真面目に練習する生徒さんなので、すぐに成果が表れてきました。以前よりも、着実にテクニックが磨かれ、曲想の変化もよく捉えられた丁寧な演奏に変化してきたのです。
難しいテクニックの所は、まだ完成しているわけではないので、今後も同じ練習を続ける必要がありますが、発表会には間に合いそうです。
発表会に限ったことではありませんが、曲がだんだん弾けるようになってくると、練習が楽しくなって気持ちも乗ってきてしまい、つい全体を通す練習ばかりになってしまったり、曲をイメージ通りのテンポで弾いてみたくなるものです。
そのような練習は、気分良くピアノが弾けるので、とても楽しいものですし、もちろん否定するつもりはありません。ストレス解消のためにも良いでしょう。
しかし、曲を練習して行くそれぞれの過程で気を付ける事や優先すべき点を理解しながら進めないと、進度だけでなく、曲の仕上がりにも影響が出てきます。
頭では分かっていても、実践するのは難しいものですが、少しずつ意識しながら効率よく練習を進めていきたいものです。
今年、初めて発表会に参加する小学1年生の生徒さんは、だいたい暗譜で弾けるようになってきました。レッスンでは、少しずつ舞台上での動きについても説明しながら練習をしています。
この生徒さんは、以前も書きましたが、保育園を卒業して小学生になり、生活がガラッと変わったことで、少し精神的に不安定になり、小学校生活も習い事も、後ろ向きな感じになってしまっています。
無理せずに今の生活ペースに慣れて、また以前の様な元気いっぱいの姿に戻る事を祈りつつ、発表会も楽しく参加できればと思っています。
大人の生徒さんの発表会は、秋にありますが、今の時期に、参加の意思確認と曲目を決めます。今年は、既に曲を決めて練習を始めている生徒さんが何人もいます。
なかなかの大曲に挑んでいる生徒さんは、「難しい」「難しい」と連呼しながら、それでも頑張って練習をされています。段々と、曲の拍子やリズムが整ってきました。
先日入会されたばかりの大学生の生徒さんも、秋の発表会に参加することになりました。
曲選びでは、ショパンの2つのワルツで迷っているとの事で、それぞれの曲について、特長や難易度についてお話をしました。そして、最終的に難しい方の曲にチャレンジすることになりました。
なかなか長い曲で、しかもテンポが速く、大変だとは思いますが、それでもやってみたいという積極的な姿勢は素晴らしいと思います。
70代の生徒さんも、まだ決まったわけではありませんが、発表会に初参加する方向に気持ちが傾いています。
「こんな おばあちゃんが、発表会に出るなんてねえ~」とお話されていましたが、「でも、そういうのに出ると上達しますしね」ともお話をされていましたので、次回のレッスンでは、前向きな決断をされるのではないかと思っています。
生徒さんそれぞれが、ご自分のペースで、ピアノと向き合っている様子が感じられますが、それぞれの方に適切なレッスンが出来るように、私も頑張りたいと思っています。
(この記事は、第221号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、最近のレッスンの様子についてです。
4月に入りますと、毎年恒例になっているレッスンのタイムテーブルの調整があります。これまでの曜日や時間帯ではレッスンに来られなくなる生徒さんを、他の曜日や時間帯に移動して頂く調整です。
時間帯が合わなくなるのは、生徒さんが新しい学校に入学するタイミングが一番多いのですが、塾に通うようになったり、大学生でも合わなくなることが多々あります。
大学生のレッスン時間を変更することが多いのは、意外に感じるかもしれませんが、前期と後期で授業科目が変わったり、学科によっては実習が始まりますと、スケジュールが大きく変動するのです。
レッスンのタイムテーブルの調整は、大した事が無いように見えて、これがなかなか簡単に決まらない事が多いのものです。
元々レッスンのスケジュールが詰まっている上に、生徒さんごとに、通うことが可能な時間帯が決まっています。例えば、お仕事をされている方は、午前中から夕方までは不可能ですし、小さいお子様の場合、幼稚園/保育園や学校が終わってからの時間帯で、更に夜間は不可能です。
今年も、小学校に入学された生徒さんが、これまでの時間帯では来られなくなり、もう少し遅い時間帯を希望されました。レッスンのスケジュールを見ますと、空きがほとんど無かったのですが、移動可能な生徒さんがいらしたので、事情をお話しして快諾して頂けました。すんなりと決まって、むしろ驚いたくらいです。
先日、その小学生になったばかりの生徒さんのレッスンがありましたが、これまでの元気よく通っている姿と異なり、レッスン室前の椅子にもたれかかって、疲れている様子でした。
お母様がおっしゃるには、小学校に入学してから、精神的に少し不安定になっていて、落ち着きがなかったり、習い事に行きたくないと言っているというのです。
この日も「眠い、眠い」と連発していて、なんだか可哀想になったのですが、それでもいざレッスンが始まりますと、大好きなリズム打ちで気分が少し上向き、ピアノ演奏では、2曲も仕上がって丸になり、帰る時には笑顔で手を振って帰っていきました。
新しい生活環境になったので、今はなかなか大変な時期ですが、少しずつ慣れて、お友達もたくさんできたらいいなあと思っています。
ご高齢の大人の生徒さんは、レッスン時間の移動もなく、同じ曜日の同じ時間で来られる方がほとんどです。
10年以上通われている方も少なくありませんので、ピアノ教室に親近感を持っていただけているように感じます。プライベートな事もいろいろとお話され、幼少期の事から学生時代の事、結婚した時のこと、嫁姑問題、入院して手術した時のこと、息子さん家族の事まで話題に挙がります。
先日は、いつもポジティブで明るくお元気な80代の生徒さんがレッスンに来られましたが、少しだけいつものお元気な様子ではありませんでした。
お話を伺いますと、これからの生き方について不安を持っているようでした。
息子さんが結婚された時に、全部の費用をその方が出して2世帯住宅を建てられましたが、息子さん夫婦はすぐに引越しをしてしまい、今は大きなお家に一人で住んおられ、お庭の手入れも大変な事、アパート経営をされていますが、最近空き部屋が出てしまい埋まるかどうか心配な事、全部売ってしまって新しい高層マンションにでも引っ越そうかとも考えたそうですが、本当に大丈夫なのか心配な事などをお話されていました。
少し前から、息子さんが平日は寝泊りをされているそうですが、夜の早い時間に就寝して早朝にはお仕事に行かれる生活のようで、同じ家に住んでいるのに一緒に過ごす時間があまり無く、少し寂しいのかなあと感じました。
大好きな曲をたくさん弾いて、元気を取り戻して帰っていかれたのは幸いでしたが、少し考えさせられました。
他にも、クラス替えで仲の良いお友達と違うクラスになって少し落ち込んでいる小学生や、成績優秀者だけのクラスに入ることになり嬉しい反面、不安を抱える中学生、「今のクラスは最低!」と言っている中学生、お母様と上手くいっていない大学生など、悩みを抱えている方々が多い、というより、ほとんどの方が悩みを抱えて日々生活をし、そしてピアノのレッスンに通われているのかもしれません。
ピアノを教える身としては、ピアノのレッスンを行う事が最も重要な事ではありますが、生徒さん方のお話を聞いて、悩みを解決することは出来なくても、少しでも軽減できたり、前向きになり元気を取り戻せたら嬉しいものです。
ピアノ教室は、なんでも安心して話せる場でもありたいと思っています。
(この記事は、第220号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、この春に新しく迎えた生徒さん方のお話です。
ピアノ教室では、一年中新しい生徒さんをお迎えしていますが、やはり春は「ピアノをやってみよう」と思う季節のようです。3月、4月で既に3人の新しい生徒さんを担当させていただくことになりました。すべて大人の生徒さんです。
1人目の生徒さんは、かつてとても人気のあった映画で使われていた曲が気に入り、曲のタイトルを調べて楽譜を買ってみたものの、思ったよりも難しく全然弾けないという事で、体験レッスンにいらっしゃいました。小さい頃から20歳くらいまでピアノのレッスンを続けていて、その後も、ご自分で好きな曲を少し弾いていたそうです。
体験レッスンでは、今弾いている曲や楽譜のお話をして、テンポ等を少し修正しました。
その後1週間ほどして、レッスンを始めたいというお話があり、通われることになりました。
弾いている曲は、装飾音が大変多い曲で、しかも普段あまり弾く機会が無いような装飾音が出てきます。また、楽譜に装飾記号で書かれているので、「このマークだと、このように弾く」というように覚えておかないと弾けない事になります。しかし、それではなかなか難しいので、装飾音を、通常の音符のように全て記入した楽譜を作り、生徒さんにお渡ししました。
レッスンでは、生徒さんの技術に合わせた装飾音の弾き方も提案し、一緒に練習しました。レッスンの最後の方では、質問も飛び出し、生徒さんも少し慣れて下さったようです。細かい装飾音の練習で、なかなかハードなレッスンだったと思いますが、理解して頂けたようで、少しすっきりした表情をされていました。
最初のページの譜読みが出来れば、その後は極端に装飾音が少なくなるので、だいぶ楽になりますからと生徒さんを励ましてレッスンを終えました。
2人目の生徒さんは、2,30代の生徒さんです。小学生の時に、4年間ほどピアノのレッスンに通っていたそうです。その頃は、ピアノを楽しむという感じではなく、バイエル下巻の途中で難しくなり辞めてしまったそうです。
しかし、大人になって、YouTube を見ていてピアノの演奏に魅力を感じ、またやってみたくなり、昨年電子ピアノを購入してご自分で弾いていたそうです。
体験レッスンでは、ご自身で「これなら弾けそうかな」と思ったバッハの楽譜を持参されていましたので、右手のメロディー部分を弾いてみました。
元の楽譜には、指番号が一切書かれていないので、ご自分で考えた指番号がびっしりと記入されていました。熱心に取り組んでいる様子は伺えましたが、その指番号では綺麗に弾くことが難しく、またテンポを速くした場合に弾けなくなってしまう可能性が高いため、大幅に指番号を修正していきました。そして、何か所かご一緒に練習をして、体験レッスンを終えました。
体験レッスンを申し込んだ時から、既にピアノを習うつもりだったようで、すぐに入会手続きをなさり、先日第1回目のレッスンを行いました。
その時には、先日修正した指番号で、しかも両手で全部弾けるようになっていてビックリしました。指番号を変えて、とても弾きやすくなったそうです。また、自分自身の演奏の気になる所も指摘されていて、客観的に演奏を捉えられているのにも驚きました。
今後は、安定感を高めて強弱などをつけて、音楽の表情を付けていく練習になります。
3人目の生徒さんは、現在私が担当させていただいている生徒さんの中では最高齢の84歳の方です。
お姉様が小学校入学と同時に、ピアノを習うためにご両親がピアノを購入され、この生徒さんが生まれた時には、既に家にピアノがあったそうです。学生時代はピアノを習っていましたが、集団疎開でピアノから遠ざかってしまったとのことです。
昨年秋に、ご夫婦で老人ホームに入居され、お食事や洗濯など家事の大部分を老人ホームのスタッフさんがやってくれるようになりましたが、時間がたくさんあり、しかも毎日が単調に感じていたので、「何かやってみたい」と思い体験レッスンにいらっしゃいました。
昔弾いていた曲を途中までお弾きになりましたが、だいぶスラスラと弾いていて、弾き慣れているのには驚きました。
老人ホームで、毎日お食事を一緒にされている友人の方達のために、お誕生日にハッピーバースデーの曲と、その方の思い出の曲を演奏したいとお話されていて、まずは、「ハッピーバースデー」の曲と、6月にお誕生日を迎える方のために、「荒城の月」を弾けるようになりたいそうです。
それから、今弾いている曲が、途中までしか弾けないので、最後まで弾けるようになりたい、そして、ショパンの「別れの曲」や、「慕情」も弾いてみたいとおっしゃっていました。
ご自分で弾いてみたい曲を積極的に考えている事に驚きますが、これらの曲だけでなく、SMAPの「世界に一つだけの花」も弾いてみたいとおっしゃっていました。その理由は、「あの(?!)中居君が弾いているのだから、私も弾けるんじゃないかと思った」とのことです。(笑)
ご高齢でも、ここまでバイタリティ溢れる方がいらっしゃる事に、本当にビックリしました。
来月から早速レッスンがスタートしますが、どんなレッスンになるのか、今から楽しみです。
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