(この記事は、第200号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、夏の発表会に向けた、生徒さんの様子です。
梅雨に入り湿気が多い季節ですが、最近はぐっと気温が上がり、初夏の様な陽気も感じられます。
夏が近づくと、ピアノ教室では、お子様の発表会が近づくという事になります。
今年は例年より少し早い開催となり、プログラムのチェックも既に終わり、記念品選びも終わりました。
お子様の発表会では、参加された生徒さんに記念品をお渡ししていますが、事前に、いくつかの選択肢の中から生徒さん本人に欲しいものを選んでもらっています。
生徒さんによって、記念品の好みが違ったり、描かれているキャラクターの好き嫌いもあるので、他の先生方でも生徒さん本人に選ばせている方が多いようです。
昔は、口頭で説明して、イメージを膨らませながら選んでもらっていましたが、最近は、スマホで写真を撮り、それを見てもらって選んでいます。生徒さんも、よりわかりやすく、好みのものが選べるようになったと思います。
さて、発表会に向けたレッスンの方は、6月に入った頃から、既にカウントダウン状態になっています。
いつも、私の方から「本番まで、あと○回しかレッスンが無いからね!」と、あえて少しプレッシャーをかけ、ラストスパートに向かうように話をしてきましたが、今年は、既に何回も発表会を経験した生徒さんばかりなので、自ら「あとレッスン何回?」と聞かれるようになりました。
それでも、私が残りの回数を答えますと、「ああ~っ・・・」と、思ったよりも回数が少ないことを実感する表情を浮かべたり、「うわ~、もうそんなに回数がないのか・・・、その前に期末テストもあるし」と、少し浮足立った様子を見せる生徒さんもいました。
しかし、今年は、生徒さんそれぞれが、これまでより、あまり背伸びをしない曲を選んだので、練習は順調に進んでおり、本番に間に合わないという事はなさそうです。
発表会の曲選びは、もう何十回も経験していますが、それでも悩みは尽きません。おそらく、他の先生方も同じだと思います。
発表会では、曲を「ある程度」きっちりと仕上げて、本番に臨むわけですが、その「ある程度」をどのレベルに設定するのかは、曲選びと直結しています。
生徒さんの中には、難しい曲にチャレンジしたい方もいて、私個人としては、その願いをなるべく叶えてあげたいと思っていますが、その場合には、少し完成度が緩めになる事もあります。事前に、その旨を了承して頂いてから、練習に入ることになります。
今回は、全員が結構しっかりと仕上げて、本番に臨めそうですが、今の段階で生徒さん自身が大丈夫そうだと思ってしまうと、成長が止まったり、既に完成していると誤解する可能性もあるので、あくまでも私の中だけに留めています。
本番1ヶ月前は、最もレッスンの集中度が高まり、自宅での練習も積極的になり、伸びる時期なので、この時期を有効に活用しなければなりません。
小さな生徒さんにとっては、ご家族の協力も大切なので、ご家族にもレッスンの様子や自宅での練習についてお話をして、ご協力を頂いています。
残り少なくなったレッスンを、毎回濃密なものにして、来月の本番では、生徒さんそれぞれが、思ったような演奏ができる様に願っています。
(この記事は、第194号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、最近ピアノ教室に入られた生徒さんのお話です。
先日もお話しましたが、日本の景気が上向いたからなのか、単なる偶然なのかは定かではありませんが、今年は新しい生徒さんとの出会いがたくさんあります。
まず、1人目は、中学生の生徒さんです。
他のクラスでピアノのレッスンを受けていましたが、時間が合わなくなり、私が担当することになりました。色々な楽器に興味を持っていて、現在はサックスとピアノを習っています。
ピアノ教室の生徒さんは、ピアノだけでなく、他の楽器に興味を持たれている生徒さんも少なくありません。お子様の場合、ピアノのレッスンをきっかけに他の楽器に興味を持つようになり、中学に進学して部活動を選ぶ際に、吹奏楽部に入部するという流れです。
新しい楽器を使いこなすのは容易ではありませんが、楽譜は読めますから、あっという間に溶け込んで楽しく活動をしているようです。
大人の方の場合、学生時代に他の楽器をやっていて、社会人になってからピアノを始めた方を何人も見かけます。例えば、フォークソングが流行っていた世代では、その時にギターをやっていたなどです。
今回の中学生の生徒さんは、ギターにしようかサックスにしようかと、色々な楽器を習ってみたい気持ちが強く、悩んだ末にサックスを習うことになり、その後ピアノも習うようになったそうです。
また、少し面白いのですが、ピアノで弾いてみたい曲を聞いたところ、「昭和の歌謡曲」という答えが返ってきました。
後日、楽譜屋さんに行って、そのような曲集を探して、レッスンの時にお渡ししたところ、とても喜ばれました。
目次のタイトルを見ただけで、「ああ~・・・」とすぐにメロディーが思い浮かぶようで、テンションが上がってきたのか、「どれを始めに弾こうかなあ~」と悩んでいたくらいです。
そして、2人目と3人目は、共に大学生の生徒さんです。
経緯は全く異なり、お一人は大学進学を機に上京された大学1年生の生徒さんで、もう一人はこれから就職活動をされる大学4年生の生徒さんです。
大学1年生の生徒さんは、小さい頃からピアノを習っていて、コンクールなどにも出ていた生徒さんです。
ショパンの練習曲も弾けそうな所まで進んでいますが、初めての一人暮らしと学生生活が始まってまだ落ち着いていない事もあり、しばらくは少し加減しながらレッスンを行う事になりました。
大学4年生の生徒さんは、幼稚園の教諭を目指しているそうで、学校のピアノの課題が進まず、遅れを取っているということで、レッスンに来るようになりました。
小さい頃からピアノを弾いている場合、幼稚園の教諭に必要なピアノの技術は、難しいものではありませんが、大学生になってから幼稚園の教諭を目指すことになり、それからピアノを始める場合、なかなか苦労されることも多いようです。
体験レッスンでは、さっそく学校の課題曲を弾いてもらい、練習のアドバイスや弾き方、椅子の座り方なども改めて確認しました。
幼稚園では、単にピアノを弾くというよりも、歌の伴奏を弾く事が多いので、童謡などの曲を練習することも多くなります。
今後のレッスンでは、そのような曲もレッスンしますが、まずは、遅れている課題の曲を弾けるようになって、大学の先生から合格を頂く事が最優先という事になりました。
このように、色々な経緯でピアノ教室にいらっしゃる方がいて、私も大いに刺激を受けています。
ピアノや音楽への興味をさらに深めたり、ピアノの技術を強化したり、生徒さんの要望をくみ取って、有意義なレッスンを行えるように頑張りたいと思います。
(この記事は、第194号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、ピアノのグレード試験のお話です。
先日、小学生の生徒さんが、ピアノのグレード試験を受験しました。
英検や漢検(漢字検定)など、世の中にはいろいろな検定がありますが、音楽やピアノにも検定があります。以前お話ししました、クラシックソムリエ検定も、その1つです。
ピアノの検定では、ヤマハグレード(音楽能力検定試験)やピティナステップなどが有名ですが、今回、ヤマハが最近新しく始めたグレードを生徒さんが受験することになりました。
「ピアノ コンサート グレード」というグレードです。
このグレードでは、課題曲と自由曲の2曲を演奏します。
課題曲は、かなり多くの曲が指定されていて、その中から自由に1つ選ぶことができるので、他の出演者と曲が被ってしまう確率は低いように思います。
グレード試験は、小さいサロンで行われました。会場は、公開されており、舞台上のお花の有無や受験者の服装を除けば、ピアノの発表会さながらという感じでした。
開始時間近くに会場に入りますと、思った以上に多くの観客で満席状態となっていて、たいへん驚きました。よく見ますと、週末という事もあるのか、受験される方のお父様も多くいらしていました。
グレードは、合否や演奏の出来栄えを評価するスコアがつけられる場なのですが、妙な緊張感はなく、暖かい雰囲気なのが意外でした。
おそらく、コンクールのように参加者をどんどん絞って落とす事が目的でないところが、会場の雰囲気に現れているのでしょう。
演奏前に生徒さんにお会いしましたが、通常のレッスンの時と何も変わらない様子でした。どちらかというとクールなタイプの生徒さんなので、緊張があまり表に出ていないだけかもしれませんが。
そして、演奏です。司会者が、演奏者の名前や受験するグレード、本人のコメントを代読してから演奏が始まります。
1曲目の課題曲では、最初から曲の雰囲気をよく表現できていて、メロディーラインもきれいに出せていたと思いました。
2曲目の自由曲では、軽やかな曲想に乗ってテンポよく弾けていましたが、同じ音を連続して弾く連打で音が抜けてしまったり、強弱が少々平たんになってしまったり、ペダルが若干長かった所があったりと、細かいミスがあったのが惜しいところです。
演奏後に生徒さんに感想を聞きますと、やはり連打で音が抜けてしまった所を悔しがっていました。
これまでのレッスンでは、殆ど音が抜けていなかったので、珍しいと思いながら聴いていたのですが、生徒さんに聞いてみますと「ピアノの鍵盤が重くて、弾きにくかった」との事でした。
確かに、鍵盤が重いと、連打は結構苦労しますので、生徒さんの気持ちがよくわかります。
ピアノは、自分の楽器を持ち運ぶことができないので、その場に置いてあるピアノを使用することになります。
発表会では、場合によってリハーサルがある事もありますが、グレード試験やコンクールなどでは一切ありませんので、本番に弾いてみて、初めてピアノの鍵盤の重さや弾きやすさ、またペダルの重さや深さがわかることになります。そして、弾いてみると、想像よりかなり違うことも少なくありません。
その違いに動揺することなく、上手に楽器に合わせて演奏することも本番では求められますし、大切なことになってきます。
生徒さんは、かなり良いスコアで合格することが出来ましたが、審査員の先生方の講評では、やはり連打の所の指摘がありました。
良い結果に終わりましたが、今後の課題も見えてきましたので、夏の発表会に生かしていければと思いました。
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