(この記事は、第206号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、大人の生徒さんのお話です。

先日、新しくピアノ教室に通う事になった大人の生徒さんは、20年くらい前に、ほんの少しだけピアノを弾いたことがあるくらいで、ほぼ初心者の方です。

ピアノを弾くお孫さんの影響で、ピアノを弾いてみようと思われたとのことで、少し珍しいきっかけでピアノを始められました。

初めは、体験レッスン用の曲を弾いて、指番号や簡単な楽譜の読み方を説明しましたが、その後は、少しずつ弾きたい曲のレッスンをしています。

その弾きたい曲は、シャープやフラットなど臨時記号がちょこちょこ出てきて、伴奏形も途中で変わってしまう、なかなか難易度が高い曲です。

易しいアレンジにはなっていますが、初めて弾く事を考えますとハードルが高いので、実は少し躊躇したのですが、なにしろピアノを弾いてみようと思うきっかけとなった曲なので、なんとか叶えて差し上げたいと思いました。

思い入れが強くても、難しいという事は事実なので、「けっこう難しいと思いますが、少しずつ弾いてみましょう」とお話をしますと、とても嬉しそうな顔をされていました。

レッスンで一緒に弾きながら、後はご自宅でも練習を…となるのが普通ですが、ここで少し問題が発生しました。

ご自宅にピアノが無いのです。

大人の生徒さんで、ピアノを弾き始めるきっかけの多くは、昔お子様が弾いていて、そのままピアノが置いたままになっているので…というパターンです。

しかし、この生徒さんはそうではありませんので、ピアノがありません。きっかけとなったお孫さんには、ピアノ教室に通われる時に、ピアノをプレゼントされたそうですが、お孫さんと一緒に住んでいるわけでもありません。

ご自宅にピアノが無いという事で、お教室のピアノをレンタルして、練習をしていただいています。

まずは、「3回レッスン」のコースを体験されたのですが、やはり弾いてみたい曲をレッスンできて、少しづつ弾けるようになってきているのが嬉しいようで、そのまま入会され、毎週通われることになりました。

そして、次のレッスン日に、椅子に座ると同時に、「私、ピアノ買いたいんです」といきなりお話されたので、とてもビックリしました。

「やっぱりね、ピアノが無いとね~、すぐ忘れちゃうし」とおっしゃるので、「そうですよね。ずっとお教室のレンタルというのも大変ですしね。ご自宅にピアノがあったら、思い立った時に、すぐに弾けますからね」と答えました。

お孫さんに買ってあげたピアノよりも、もう少し良いものを購入されてはと、ご家族からの助言もあったようでした。とりあえず、教室にあったピアノのカタログを持ち帰られました。

1週間後のレッスン日に、より詳しいお話を聞きますと、お孫さんに買ってあげたピアノは、実はピアノではなく、電子ピアノだったことがわかりました。

電子ピアノも、生のピアノも、あまり違いを認識されていない印象を受けましたので、構造上の違いや、レッスンで使用しているグランドピアノとアップライトピアノの違いについても、少しお話をしました。また、これまでにピアノを購入された生徒さん方の話もしました。

電子ピアノをずっと弾いていて、「ピアノは必要ない」とまで言い切っていた方が、海外のピアノの音色に惹かれて思い切って購入され、毎日ピアノを弾く事が楽しみになった生徒さんの話や、発表会前に、毎週末お爺様・お婆様のお家に通ってピアノの練習をするお子様の生徒さんのお話(自宅には電子ピアノがあるのですが、お爺様・お婆様のご自宅にはアップライトピアノがあるので、そのピアノで練習をしているお話)、初めてピアノを弾くためにアップライトピアノを購入され、1か月後には「やっぱりグランドピアノを買っておけばよかった」と後悔されていた生徒さんのお話などです。

「是非、後悔されないように、納得されて購入できると良いですね」とお話をしました。

その後、楽器店の責任者が、具体的な話をお聞きし、ショールームに足を運んでいただいて実際にピアノを見ていただいた後、購入される運びとなりました。

後日のレッスンでは、「先生、私、ピアノを買っちゃいました!」と嬉しそうにお話をされていました。

「よくぞご決断されましたね。ピアノが自宅にあるって、いいですよ~、楽しみですね」

「そうなの。今度、別の孫もピアノを始めるから、電子ピアノを買ってあげたいと思っていて。2台買うから安くしてって言ってみようかしら?」

「是非、交渉してみて下さい。そして、後日結果を教えてくださいね!」

当初、電子ピアノを購入しようと思っていたようですが、生のピアノの良さを知り、国産のアップライトピアノに決めたそうです。

「海外のピアノもとても良かったのですが、価格にちょっとびっくりしちゃって…」とおっしゃっていました。

そして、とにかく早くピアノがほしいということや(色合いや素材などによっては、少し時間がかかる)、ピアノはやはり黒というイメージがあるとのことで、黒いピアノを選ばれたそうです。

お孫さん方もピアノを弾かれていますが、電子ピアノという事なので、「ご自宅にアップライトピアノがきたら、お孫さん方も喜ばれるでしょうね」とお話をしますと、「そうね」と笑顔でお返事をされました。

ピアノが自宅に来るというワクワク感や、これから思いっきり好きな時に好きなだけ弾けるという期待、そして、お孫さん方の喜ぶ姿を想像され、ピアノが来る日を本当に楽しみにされていました。

しかし、先日、レッスン前に私の顔を見るなり、「ピアノの搬入が延期になっちゃったんです」と、とても残念そうなお顔をされていました。

ピアノを部屋に入れる際に、ドアから入れる予定が、少しドアの広さが足りなかったようで、クレーン車を使用して窓から入れることになり、少し日程が遅くなったようです。

もう、そろそろピアノがご自宅に運ばれている頃なので、次回のレッスンの時に嬉しそうなお顔が拝見できればと思っています。

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(この記事は、第204号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、夏休み真っ只中のピアノ教室のお話です。

今年は、7月上旬にピアノの発表会を終えたので、生徒さんのご家族も、ホッとされながら夏休みを過ごされているかと思います。

お盆の前に、帰省や旅行をされる方も見受けられました。新幹線は、お盆の時期に混雑しますし、飛行機の場合は、価格も高騰します。なるべく空いていて、お財布にも優しいタイミングを考えておられるのでしょう。

大学生の生徒さん方は、夏休み前に試験がありました。

先日レッスンにいらした学生さんは、幼稚園の教諭と保育士の勉強をされているのですが、ピアノの試験の話をされていました。

幼稚園の教諭や保育士は、ピアノが弾ける必要があり、バイエル修了程度の技術は身につけなくてはなりません。

ピアノを小さい頃から弾いていた場合、それほど難しいものではありませんが、この生徒さんは、この職種を目指して、大学生になってからピアノを始めたので苦戦されています。

授業の中でピアノのレッスンもありますが、わりと頻繁にピアノ実技のテストがあり、また課題も多いようで、なかなか合格がもらえないと話していました。

先日終えたピアノの試験も、ご自身では微妙な出来だったようで、結果が出るまでドキドキされていたようです。

小中学校の生徒さん方は、夏休みといってものんびり過ごせるわけではなく、普段よりもむしろ忙しくされている方が少なくありません。

中学受験真っ只中の生徒さんは、朝9時半から夕方5時過ぎまで塾の勉強があり、その後にピアノのレッスンに来ています。

普段も、ピアノのレッスンが終わると、そのまま夕食のお弁当を持って塾に通っている生活ですが、夏休み中はお昼のお弁当を持って塾に通っています。お弁当を作っているお母様方も、大変ですね。

塾帰りにレッスンに来た生徒さんの疲労の色は隠せませんが、それでも塾のお友達と会えるのが楽しいようにも見えます。

これだけ頑張っているのですから、母心ではありませんが、なんとか希望の学校に入れてあげたいと願わずにはいられません。

先日レッスンに来た中学生の生徒さんは、「(夏休み中) まあ、色々とあって忙しい」と連発されていました。含みのある言葉で、なんだろうと思い、よくよく聞いてみますと、旅行に行くとの事なのです。

「あら~、いいわね~。それで、どこに行くの?」

「う~ん・・・。ハワイ。」

「ハワイ? へえ~、いいねえ~!」

と、私は少しテンション高めで答えたわけですが、当の生徒さんは私とは逆で、かなり気が乗らない様子なのです。

「あれっ? なんだかあまり嬉しそうじゃないわね」と言うと、即座に「うん」と答えるので、私はますます不思議に思いました。

「あ~、もしかして、日本大好きなのかな?」

「そう、そう。ハワイは行っちゃえばいいんだけど、飛行機がイヤだし、そんなに長い時間かけて行かなくてもいいし。だって、飛行機って落ちるじゃないですか? まあ、電車とかよりも安全だっていうのは知っているけれど。船も沈没するからイヤだけど。」

「まぁねえ~。絶対安全と言うのは難しいけれどね。」

「お母さんはパソコンを見ていると、いっつもハワイの事ばっかり見ているし。ハワイより、福岡に行きたい。」

「え~? 福岡? まあ良いところだけどね。」

小中学生くらいのお子様がいらっしゃるご家庭は、「夏休みに、子供をどこか旅行にでも連れて行かなくては」と、ある種 義務感のようなものを感じる事もあるかと思いますが、レッスンで多くのお子様と接していますと、どうも、お子様自身はそうでもないようです。

近所の公共施設のプールが、結局一番楽しかったという事も少なくないようです。

また、今年中にグレード(認定資格)を受ける事を決め、新たな目標に向けて歩み始めた生徒さんもいます。このような生徒さんには、「夏休み中、とにかく早く譜読みを進めてね」とお話をしています。

夏休みは、それぞれ思い思いの過ごし方をされますが、ピアノのレッスンを行っている立場としては、楽しく過ごして頂きつつ、ぜひピアノの練習も忘れないでねと思っています。

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(この記事は、第202号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、お子様のピアノ発表会のお話です。

例年、お子様の発表会は夏休み期間に行っていましたが、今年は少し早く、先日開催しました。

当日は、あいにくの悪天候でした。これまで多くの発表会や演奏会を体験してきましたが、傘を差し、レインコートを着て、レインブーツを履いて会場に向かうのは、これまで記憶にありません。

それでも、多くのお客様が会場にいらしていて、かなり座席が埋まっている状況でした。

今年出演する生徒さんは、チャレンジする曲よりも、弾きこなせる曲を選ばれた方が多く、発表会に間に合わないという状況は無かったので、本番まで「たくさん練習してね」とハッパをかけることもなく、順調に準備を重ねてきました。

後は、無事に本番を迎えるのみと思っていたのですが、そういう時にもアクシデントは起こるもので、最後のレッスンに体調不良で欠席された生徒さんがいました。

演奏の方は、それほど心配はしていなかったのですが、発表会が2日後なのに食事が全くとれない状況とのことで、はたして参加できるのか、とても心配していました。

次の日に連絡しても、やはり体調が戻っていないとの事でした。

発表会に向けて、生徒さんは頑張って練習をしてきましたし、ご家族の皆様も、晴れの舞台をドキドキしながら、それでも楽しみにしていると思います。

過去には、高熱にも関わらず、舞台ではそのような素振りを一切見せずに演奏して、本番後に舞台袖で、座っていられず寝込んでしまった生徒さんがいました。お子様といっても、本番への思いはとても強いものがあります。

無理はさせたくないし、でも本番でこれまでの成果を披露してほしいし。

私以上に、生徒さん、生徒さんのご家族は、複雑な思いをされていたに違いありません。

他のクラスの発表会で飛び入り参加できる日がないかも、探し始めていました。

そして、発表会当日です。

朝、連絡してみますと、「少し食べられるようになったので、発表会に参加します」とのお返事を頂きました。生徒さんの発表会本番への気持ちの強さを改めて感じました。

会場でお会いすると、すっきりとはしていませんが、笑顔が見られ、少し安心しました。

そして、数日間、全く練習が出来なかったとのことですが、なんとか無事に演奏を終えることが出来ました。

他の生徒さんも、けっこう良い感じで弾けていて、練習の成果を発揮できたと思います。

今回は珍しく、比較的ゆっくりと客席で聴く事が出来ましたが、他の先生の生徒さんも含めて、色々と気付くことがありました。

まずは、衣装です。もちろん自由なので、お好きなものを着て良いと思いますが、発表会の衣装として相応しいかは、ある程度意識した方が良いようです。

例えば、アシンメトリーやフィッシュテール、ロングテールスカートなど、色々な呼び方をされる前部分よりも後ろが長いドレスは、椅子に座る時にドレスの裾の扱いが難しくなります。

また、ドレスに合わせる靴も、5cmはありそうな細いヒールの靴を履いている生徒さんや、厚底のサンダルを履いている生徒さんがいました。

大丈夫かなあと見ていましたが、やはり、かかとが不安定になり足がグラグラと揺れ、ペダリングがスムーズにいかずに音が濁ってしまっていました。

長くピアノを弾いている私でも、底が薄いもので、ヒールの低い靴でないと、ペダリングは相当難しく、音が濁らずに演奏することは至難の業となります。

また、小さい生徒さんで、発表会に慣れていない生徒さんの場合、お辞儀の練習は必須だと思いました。体はお辞儀をしていても、顔を下に向けていないと、顔が前に突き出ている体勢になり不自然に見えます。

きっと、ご家族の事が気になって、じっと見ているのだろうと、少しほほえましくも思いますが、舞台上での立ち振る舞いとしては、きれいではないので、きちんとしたお辞儀は指導する必要があると改めて感じました。

他にも、演奏を聴く事の指導も必要と思いました。

出番が終わって、疲れてしまうのでしょうが、他の方の演奏を聴く事は、今後の演奏の勉強にもなります。自分よりも少し年上のお兄さん、お姉さんの演奏は、一番身近な目標になるものです。

また、お客様としてコンサートを聴くという、演奏会でのマナーのよい体験にも繋がります。

来年の発表会では、今回の反省も踏まえて、より良い発表の場と学びの場にしていきたいと思いました。

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