(この記事は、第169号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、お子様のピアノコンクール本選のお話です。

以前、ピアノコンクールの予選のお話をしましたが、今回はその続きになります。

先日、コンクールの本選会が行われました。

お子様対象のコンクールは、それぞれ色々な規定がありますが、今回生徒さんが挑戦しているコンクールは、予選会で1曲、本選会で1曲弾くことになっています。

つまり、コンクールが始まるまでに、2曲練習しておく事になりますが、まずは予選を突破しなければなりませんので、予選会の1・2ヶ月前からは、予選の曲を重点的にレッスンする事になります。

そして、先日めでたく予選を通過できましたので、それまで忘れない程度に弾いていた本選の曲を、本格的に練習しレッスンをしてきました。

本選の演奏の出来具合で、全国大会出場が決まる正念場となります。

また、仮に、めでたく本選を通過できますと、全国大会までわずか2週間ほどしかありませんので、本選の時に、全国大会で戦えるだけの完成度が必要になります。

レッスンも週2回に増やし、生徒さんだけでなく、ご家族も一丸となって頑張ってこられました。

連日たくさん練習をされているようで、妹さんの練習時間が少なくなってしまい、教材の進みが遅くなってしまっているという想定外の事態も起こっています。

しかし、妹さんは、来年同じコンクールにチャレンジする事になっていますので、身近でその様子を見る事は、とてもよい経験になるかもしれません。

本番は、夕方から始まり、生徒さんの出番はなんと夜の7時半ごろでした。夜に本番を迎えるというのは、なかなか難しいものです。

普段の生活を思い出してみますと、大人の場合は、まだバリバリお仕事をされている方もいるでしょうし、この時間帯に習い事に通われている方もいらっしゃると思います。

しかし、小学生の場合、夕食が終わっていたり、または食べている最中の時間帯だと思います。

そのような、ほっと一息ついてリラックスしている時間帯に、高度の集中力と緊張感を持ってピアノを弾き、日ごろの練習の成果を披露して、しかも合否が付くというのは、かなり大変な事です。

生徒さんには、この時間帯に本番と同じようにピアノを弾くように、夜にピークを合わせる練習のアドバイスをしてきました。

そして本番当日、夜の本番に備えて、朝からピアノ教室のピアノで練習をするとのことで、私も気になって様子を見に行きました。

どんどん調子が上がってきて、良い状態だったので、これなら全国大会に行けるかなと、少し手ごたえを感じていました。

そして、本番の演奏ですが、なんとなく今ひとつ音楽に乗れず、後半は少し持ち直したかという演奏でした。

テクニックの面でも、これまで難なく弾けていた簡単なところで音が抜けてしまったり、ペダルが切れてしまうところもあり、緊張したのかと思いました。

後で聞いてみますと、緊張はそうでもなかったようですが、ペダルの踏み加減がちょっと慣れなかったようでした。

生徒さん自身も、満足には程遠い演奏だったようです。

本選の結果は、夜9時を回ってからの発表となり、生徒さんは、結果としてめでたく全国大会へ進めることになりました。

しかし、その後お母様とお話したところ、ご家族の中では、もうこれでコンクールは終わってしまった(本選で敗退)と思っていたと、おっしゃっていました。

上位の点数ですと、賞がいただけるのですが、そこには及ばず、本選通過者の中では、真ん中くらいの点数でした。

予選から比べますと、他の参加者も点数が下がっている方が多かったので、なかなか審査が厳しい本選会だったと思います。

審査員の先生方のコメントを見ても、「楽譜に書かれていないところで、リタルダンドをするのは良くないです」ときっぱりと書かれていて、改めて楽譜を正確に、しっかりと読み込む事の大切さを痛感しました。

本選では、通過する事が一番大切なので、まずはよい結果がいただけた事は喜ばしいことだと思います。

今度は、いよいよ全国大会です。

コンクールと言う性質上、1位を目指すという事になり、ある意味わかりやすい目標にはなりますが、もともと音楽は、他の人と比べて、どちらの演奏が上手なのかを決めるものではないと思います。

他の演奏者のあら捜しをして、私の方が勝ったとか、マイナス○点などと考えながら音楽を聴くのは、本来の楽しみ方とは大きくかけ離れるものです。

しかし、素晴らしい演奏を目指して頑張る事や、どうしたら自分の音楽を奏でる事が出来るのか、どうしたら伝えられるのかを学ぶ場としては、良いのかもしれません。

発表会とは違い、シビアな世界だからこそ、やりがいも感じるものです。

指導する立場としても、発表会以上に指導する責任の重さを感じていますし、なんとか生徒さんの頑張りを、素晴らしい結果に結びつけてあげたいと思っています。

残り少ない時間を有効に使って、悔いの残らない納得できる演奏が披露出来るように、全力でレッスンをしなければと改めて決意しました。

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(この記事は、第166号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、ピアノコンクールのお話です。

先日、ピアノのコンクールに、小学生の生徒さんが出場されました。

コンクールは性質上、気軽に生徒さんにお薦め出来るものではありませんが、以前もコンクールに参加された事がある生徒さんで、年齢や弾いている曲など、もろもろのタイミングがよかった事もありお薦めをしたところ、またチャレンジする事になったのです。

前回は、かなりよい成績を収める事ができましたが、それはあくまで前回がそうだったという事で、またゼロからのスタートになります。

生徒さんも、毎日のようにお教室に来て練習を積み、お母様はその送り迎えをされ、ご家族が一丸となって頑張ってこられました。

そして、コンクール当日を迎えたのです。

発表会が開催されるようなホールで行われましたが、当然ながら雰囲気は全く異なります。

舞台上の発表会の看板や花の飾りなどは一切なく、舞台にはグランドピアノが一台置いてあるのみです。スポットライトのような華やかな明かりもありません。

客席は、少し怖いくらいの静寂さがあり、演奏前後の拍手が無いときもありました。

アナウンスも、演奏する人の受験番号だけです。

この独特の雰囲気のなか、下は未就学児から上は大学生まで、次々と、そして淡々と演奏が行なわれます。

楽屋で順番を待つ生徒さんとお話をした後、私は、客席で演奏を聴くことにしました。

生徒さんの演奏を客席で聴くことは意外に少ないのですが、とても緊張するものです。

よく発表会で、生徒さんの親御さんから、「私の方が緊張しちゃって・・・」というお話を聞きますが、その気持ちがよくわかります。

手に汗握る心境で、祈るような気持ちで、生徒さんの出番を待ちました。

舞台に上がった生徒さんは、きりっと引き締まった顔つきをしていて、集中しているように見えました。

演奏は、普段どおりの滑り出しで、大きな失敗もなく、上手にまとめました。

でも、やはり緊張したのか、いまひとつ生き生きとした感じが少なかったかもしれません。

生徒さんのお父様も、「(前回のコンクールと同じく)今回も、こじんまりとまとめましたね」とおっしゃっていました。

演奏後、生徒さんとお話をしましたが、生徒さん本人も「まあまあ・・・」という出来だったようです。

そして、結果が発表になりました。

思った以上の点数がいただけて、見事に予選突破です。本選に進めることになりました。

生徒さんもご家族も、まずはほっとされたようでした。

生徒さんと同じ部門に出場した方々の演奏も聴きましたが、数年前の時と異なり、かなり全体のレベルがアップしていて本当に驚きました。

見事、本選に進めることになったので、まずは祝福しましたが、来月には本選が控えています。

次の本選は、これまで以上に厳しい戦いになる事、そして、これまでよく頑張ってきましたが、これまでの頑張りの3倍は頑張らないといけない事を伝えました。

小学生に、このような厳しい事を伝えるのは、どうかとも思うのですが、先を目指す以上、そのくらいの覚悟が必要なのだとも思っています。

もちろん、レッスンを行う私自身も、しっかり覚悟が必要です。

まさに、身を引き締めて、残り少ないレッスンを、有意義に行えるようにしたいと思っています。

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(この記事は、第165号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、小学生の生徒さんのコンクールに向けたレッスンのお話です。

2015年のレッスンも、すっかり普段通りの雰囲気になり落ち着いてきましたが、個人的には少し緊張感を持っています。それは、小学生の生徒さんが、コンクールを受けることになっているからです。

この生徒さんは、以前にもコンクールに参加した事があり、そのときは初参加ながらとても良い成績を挙げる事が出来ました。

あれから数年が経ち、今回またチャレンジをします。

コンクールやオーディションは、発表会と異なり、演奏が評価され点数や合否が決まります。頑張りが素晴らしい成果につながることもあれば、残念な結果となることもあります。

例えば、予選敗退という可能性もあるわけですが、「頑張ったのに報われない」ことは、大人でも相当ショックなことで、お子様なら尚の事でしょう。そのため、慎重な対応が必要になります。

前回は、とても良い結果になりましたが、今回は出場する部門が変わりますし、これまでの成績は当然ながら全く関係ありません。

そして、出場するからには、前回以上の成績を収めてもらいたいので、気を引き締めて準備するようにアドバイスしています。

生徒さんも、刻一刻と本番が近づいてきた実感があるようで、ずいぶんと練習に熱が入るようになってきました。

音楽に勢いと安定感が出てきて、グッとまとまってきた感じがしています。

この調子で、ますます磨きをかけつつ、本番1回だけの演奏で、どれだけ完成度を高く演奏できるかが勝負になります。

現在のレッスンでは、何回か弾いていると、段々と調子が出てきている感じです。

自宅で練習に使っているピアノとレッスン室のピアノでは、タッチなどが異なりますから、最初は戸惑っても段々慣れてくると調子が出てくるわけです。

これは、通常のレッスンでは当たり前のことですが、1度しか演奏できないコンクールでは通用しません。

どんな楽器でも、どんな状況でも、素晴らしい演奏をする必要があるのです。

そのためレッスンでも、1回目の演奏の完成度を上げていく事が大切になります。

先日、このようなお話をしたところ、

「タッチが気になっちゃって。本番前も緊張とかしちゃって不安になるんだけど、本番になると大丈夫なの!」と言うのです。

確かに、この生徒さんは、本番という緊張する場面で、楽しく演奏できるタイプなのです。

これまでの本番を思い返してみると、調子がいま一つなときもありましたが、それよりもはるかにステキな演奏をしている事の方が多いのです。

本番で、毎週レッスンで聴いている私が「うわ~っ」と驚くほど、大きく成長した演奏をした事もありました。

「本番に強いタイプ」とでも言うのでしょうか。

ピアノだけでなく、人の一生のなかで、1度しかないチャンスに、多少環境や状況が変わっても自分の実力を出し切る必要がある機会は、何度となく訪れるものです。

しかし、そんな本番に、自分は大丈夫と思える自信は、自分で納得できる程の練習量とこれまでの経験からくるのかもしれません。

コンクールというシビアな世界に挑戦するにあたり、とても心強く思いました。

本番まであと数週間ですが、全力投球で頑張ってくれる事と期待しながら、私も全力でレッスンをしようと思っています。

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