(この記事は、第152号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、お子様のピアノ発表会がもうすぐなので、あがり症の克服について書いてみました。

発表会やコンサート、オーディションにコンクールなど、普段とは違い人前でピアノを弾く時、人は大抵緊張するものです。これまで多くの生徒さんを見てきましたが、全く緊張しないという方は殆どおりません。

普段のレッスンでさえ、自宅とは環境やピアノが違うので、少し緊張される方がおられるほどです。

私自身も、入学試験やオーディションなど演奏に点数が付く場面での演奏や、権威ある先生のレッスン、コンサートなど、数多くの本番を体験していますが、緊張することも多いものです。

「先生も緊張しているの? え~、全然そういう風に見えな~い!」と小さい生徒さんに言われたこともありますが、発表会など、生徒さんの前で、まさか私が青ざめた表情でいるわけにもいかないですしね。

「先生は、本番に慣れているから緊張しない」と思っているのかもしれませんが、そういう事はありません。ただ、本番への臨み方を少しは心得ているので、対処の仕方が多少上手かもしれません。

その対処には、色々な方法があると思いますが、そのいくつかを挙げてみます。

(1) 体をほぐす

本番前の生徒さんの様子を見ていると、極度のあがり症という方は殆ど見られないのですが、神妙な顔をしている方が多いようです。緊張すると顔が固くなるので、緩ませることが重要です。

私も、出番前の生徒さんのうち、直前以外の生徒さんについては、様子を見ながら笑顔で話しかけて緊張をほぐすようにしています。そうしますと、生徒さんも少し顔がほころんできます。

あがり症の方を数多く克服させてきた専門家の先生も、「一瞬で緊張をほぐす方法」として、顔の緊張をほぐす事を話されています。

変な顔をして、一瞬顔に力を入れてから、抜くという方法のようです。本番前に、お手洗いなどで実践してみてもよいかもしれません。

緊張すると、顔のこわばりと同じく体も硬くなってきます。そのため、私も、出番前には前屈をしたり、肩や腕を回して体を緩ませています。

日頃から、1日1分くらい左右交互に背中で握手すると柔軟性が高まるので、いざという時に体の硬直を防ぐことができるそうです。普段から、ピアノの練習とともに実践してみてはいかがでしょうか。

(2) 他人の演奏に惑わされない

発表会の本番前は、楽屋や舞台袖に何人も待っていて、舞台上での演奏が聞こえてくるわけですが、「今、弾いてる人、とっても上手!」などと思って、余計に緊張してしまうことも多いようです。

他の方の演奏に惑わされないように、対処することも重要ですね。

ヘッドホン等をつけて、聞こえないようにするとか、出番直前まで、その場から離れることも良いと思います。また逆に、「この曲、ステキな曲よね~」と観客として音楽を楽しんでしまうスゴ技もあります。

(3) 自分が演奏する曲の事ばかりを考えない

本番前に、自分が演奏する曲の事ばかり、ずっと考えてしまうのは、あまりオススメ出来ません。集中する方法は人によって違うのですが、直前に考えすぎると、かえってわからなくなったり、迷いが出てきてしまうことがあるからです。

特に、心配なところを気にしすぎるのは、避けたいものです。

普段の練習で、不安なく弾けるように準備をしておき、本番前には、「今まで練習してきたから大丈夫」「なんとかなる」とポジティブに思うようにしましょう。

本番前に、「なんか、間違えそうな気がする」「暗譜を忘れちゃいそう」等と思ったり、言葉にすると、脳が思い込んでしまうのでご法度です。

演奏する曲の技術面ではなく、「音楽全体でどこがステキなのか」「どのような事を伝えたいのか」という事に意識を向けるようにするといいですね。

生徒さんにも、「この曲って本当にステキだから聴いてね、という気持ちで弾いてね」「あなたの演奏を聴いたお客さんが、ああ、いい曲だなあと思ってもらえたら、大成功よ」とお話をしています。

緊張に負けず、本番で実力が発揮できるように、参考にしてみてください。

ピアノ発表会:本番で力を発揮する方法も、ご覧ください。

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(この記事は、第151号のメールマガジンに掲載されたものです)

お子様の夏の発表会が近づいてきました。

本番まで1ヶ月を切り、毎回のレッスンでは、カレンダーを見せながら、「本番はいつだっけ? 今日は何日かな? 本番まで、あと○回しかレッスンがないからね」と、残りの日にちやレッスンの回数を強調して、お話をしています。

以前も書きましたが、大人と子供では時間に対する感覚が違うようで、大人の方は、本番まで1ヶ月を切りますと「いよいよ近づいてきた」と感じて、「あと○回しかレッスンがない」と焦りを覚える方が多いのですが、お子様の場合、1ヶ月という時間はまだまだ先と感じるようで、「まだ○回も、レッスンがあるんだ」と思うようです。

この事に気付いてからは、お子様には、良い意味で少しプレッシャーをかけ、最後のひと頑張りができるように促しています。

しかし、今回お話させていただく小学校6年生の生徒さんは、珍しく「もう、それしかレッスンがないの!?」と感じるタイプのお子様です。

今回の発表会では、日本人の作曲家の作品を選びました。

幻想的なメロディーながら、強い音がたくさん出てくる、とても華やかな音楽です。この生徒さんは、比較的体格に恵まれている事もあり、強い音が出せるので、その曲をお勧めしました。

練習を始めてしばらくは、なかなか間違った音が直せなかったりと苦戦していたようですが、普段以上にコツコツと練習を重ねてきました。

その成果もあって最近は弾けるようになりましたが、しかし、音楽の間の取り方やテンポを動かすところなどが、まだしっかりと決まっておらず、なんとなく不完全燃焼のような演奏になっていました。

その状態でのレッスンです。

「ここから弾いてくれる? 私が横で色々と合図をしたり、一緒に弾くからね。間違えてもいいから、頑張って付いてきてね。こんな感じかなぁ~ という雰囲気を掴む練習だからね。」

そして、生徒さんが弾いている間、たっぷりと間を取りたいところでは、手を掴んで次の音が弾けないようにして、速く弾くところでは、肩を叩いて拍子を感じられるようにしたり、徐々に加速させるところでは一緒に弾いたりしました。

弾き終わった瞬間、生徒さんはパッと笑顔になり、次の瞬間顔を見合わせて大爆笑になりました。

「えぇ~っ!! こんなに(色々と)やるの??」(曲に様々な表現を付けるという意味)

「そうよ、このくらいは、やってくれないと。オーバーに感じるかもしれないけど、でも、弾いていて面白いでしょ?」

「うんっ!」

「この曲は、とても華やかな曲でしょ。だから思い切って色々とやらないとね。恥ずかしいと思っちゃうと、中途半端になって、この曲の良さが伝わらなくなっちゃうから。○○ちゃんの場合、華やかに弾くというよりも、派手に弾くと言った方がピッタリかもね。」

楽譜には、「とにかく派手に弾く!」と書き、ここでも生徒さんと2人で大爆笑でした。これだけレッスン中に笑いが出るのは、なかなか無いかも知れないという程です。

クラシック音楽では、楽譜に忠実に弾く事が特に大切で、オーバーに弾くことは避けるべきですが、それ以外の音楽では、より雰囲気や華やかさを出すために、ややオーバー気味に表現した方が、その音楽の魅力が伝わりやすい事もあると思います。

少し恥ずかしがり屋さんの生徒さんですが、本番でその殻を破って、思い切った演奏ができればと思っています。

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(この記事は、第149号のメールマガジンに掲載されたものです)

お子様のピアノ発表会の本番まで2ヶ月を切り、プログラムのチェックなどが始まっています。

今年は、色々な先生方とご一緒に発表会をするのですが、生徒さんの曲目がかぶっていないので、まずは「ほっと」しています。

この時期に、同じ曲を弾く人がいることがわかっても、「じゃあ替えよう」と簡単にはいきません。

そのため曲を選ぶ段階で、「この曲は、もしかしたらかぶる可能性がある」ことをお話しておき、もし曲が重なってしまった場合には、プログラム順を工夫し、例えば前半と後半に離すくらいしか出来ないのです。

そのため、同じ曲目がなかったのには、安心しました。

生徒さんをたくさん見ていますと、色々なタイプの方がいます。

・ 良い意味で要領が良く、割と「パッ」とコツを掴むタイプ
・ どちらかと言うと不器用なタイプ
・ 難しいものにチャレンジしたいタイプ
・ 失敗したくない慎重派タイプ

などなどです。

私自身と同じタイプの方もいれば、真逆のタイプの方もいます。そこで共感を生んだり、羨ましく感じたり、いろいろ思うわけですが、それがピアノの講師をしていて面白いと思う瞬間でもあります。

では、そんな生徒さんの中で、どんなタイプの方が、最終的に上手になるのか?

それは…

・ コツコツと練習ができるタイプ
・ 集中力が高いタイプ

です。

「やっぱり…」ですが、ここに尽きます。

不器用よりも器用の方がよいのかもしれませんが、しかし、コツコツ練習を継続できる生徒さんは確実に進みますから、最終的には上手になるものです。

このコツコツ練習が出来る生徒さんを見ていますと、小学校低学年でも、自ら練習を黙々とする自己コントロールが高い生徒さんもいますし、お母様がいつも練習を見守っているタイプもいます。

今回の発表会で、かなり難しい曲を選んだお子様が何人かいて、「大丈夫かなぁ?」と少々心配をしていましたが、着々と譜読みを進められ、最近は「これなら大丈夫!」と手ごたえを感じるようになりました。

生徒さん本人に聞きますと、「かなり頑張った」そうです。

この頑張りが本番まで続くことを願いつつ、それぞれの生徒さんがステキな演奏が出来るように、レッスンを進めていきたいと思っています。

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