(この記事は、第130号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「ピアノ教室の出来事」は、お子様の公開レッスンのお話です。

お子様のピアノの個人レッスンは、通常一人の先生が担当になり、毎週レッスンを行う形式がほとんどだと思います。そして、引越しでの退会や、進学や塾などでレッスンの時間や曜日が合わなくなった場合、ピアノの先生が何らかの都合で辞める場合を除けば、基本的にずっと同じ先生からレッスンは受けることになります。

そのため、保育園・幼稚園生からピアノを習い始めた生徒さんが、気が付いたら中学生になっていたり、小学生だった生徒さんが大学を卒業されて社会人になったり、その後結婚されてお子様が生まれたという事もあります。

学校の先生よりも生徒さんとのお付き合いが長くなる事が多く、生徒さんの成長ぶりを、ずっと近くで見られる事は、ピアノ講師の醍醐味と言っても過言ではありません。

生徒さんの立場に立ってみますと、ずっと同じ先生にピアノを習う事は、信頼関係も深まり、安心してレッスンが受けられるメリットがあると思います。自分のペースを理解してもらえて、レッスンの進み具合も調整してもらえたり、毎週同じようにレッスンを受けますので、緊張する事も少ないかもしれません。

しかし、先日、オーディションに合格した生徒さんの公開レッスンがありました。

この公開レッスンでは、普段私がレッスンを担当している生徒さんが他の先生のレッスンを受け、他の先生が担当している生徒さんのレッスンを私が行います。

自分の生徒さんがレッスンを受けている場面を客観的に見るのは、ちょっと不思議な感じもしますが、どんな表情で、どんな様子でレッスンを受けているのかがわかり、とても良い機会でした。

先生が変わっても、生徒さんの素晴らしい面を引き出し、魅力ある演奏になってほしいという思いは同じなわけですが、どこから手を付けるのかという優先順位の考え方や、アプローチの仕方、どこまで出来て OK とするのかなど、やり方や基準は千差万別です。

また、同じ様な進め方でも、言葉の選び方や説明の仕方は様々で、教える立場からしますと、「なるほど、そういう説明の仕方もあるな」「こういう練習の方法を教えてあげるのは、とてもいいな」など勉強になることも多々あります。

そして、レッスンの中で上達していく生徒さんの姿が見えるので、嬉しい気分にもなります。

生徒さんも、最初はいつもと違う先生のレッスンに緊張していましたが、だんだん慣れて笑顔になり、自分の意見が言えるようにもなっていました。

普段とは雰囲気が違うレッスンですが、普段のレッスンと同じ箇所を別の先生から指摘されると「やはり、気を付けた方がいいな」と思えたり、これまで意識しなかった箇所を指摘されると、「そのような捉え方もあるんだな」と新たな発見があり、とてもよい刺激になったのではないかと思います。

他の先生の生徒さんをレッスンする際は、初めは多少落ち着かない気分にもなりますが、レッスンに入りますと、普段のレッスンと同じような雰囲気で進めることが出来ました。

初対面なので、どのような性格の生徒さんなのか、どのような説明の仕方だと納得してもらえるのかなど、考えながら、また生徒さんの表情を見てチェックしながら進めていきます。

限られた時間ではありますが、少しでも上達のヒントを掴んでもらえればと思いました。

今度は、公開レッスンで指摘された内容を普段のレッスンの中で消化して行けるようにフォローしながら、合格者コンサートに臨めるようにしたいと思っています。

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(この記事は、第129号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「ピアノ教室の出来事」は、お子様の夏の発表会の結果についてお話します。

お子様の夏の発表会は、毎回 自分の生徒さんだけで単独で行ってきましたが、今回は他の先生と合同で行いました。

発表会の本番を迎えるまでには、生徒さんが演奏する曲を決めて、そのレッスンを行うわけですが、それ以外にも様々な作業が必要になります。

例えば、生徒さんの演奏する順番を決めたり、プログラムの原稿を用意して、出来上がった原稿の校正もします。発表会当日は、各生徒さんが演奏する前に、生徒さん自身が書いたコメントを読み上げるのですが、その原稿を生徒さんから頂いて目を通してアナウンスのイメージを掴むようにもします。そして、私自身も講師演奏をしますので、自分が弾く曲目を決めて練習をします。

共同開催ですと、作業を分担できるので負担が軽減されるように思えますが、実際には作業が増えることの方が多いのです。

例えば、演奏する順番にしても、基本的には年齢順にしていますが、同年齢(同学年)の生徒さんが複数人いることが多いので、私一人で開催する場合には、お教室に入会した順などで決めています。しかし、他の先生と共同開催の場合には、そのようにはいかずご相談となります。

また、年齢だけでなく、演奏曲目や曲の雰囲気がぶつからないように配慮しながら演奏順を決めていきますので、この作業だけでも時間がかかります。

プログラムの構成や記述についても、生徒さんの名前と曲目だけという定番の形式もありますが、曲のジャンルなどからテーマを決めて、それらを書き込むなど様々が形式が考えられますので、その調整を行います。

講師演奏も、それぞれがソロで弾くのか連弾にするのか、またソロの場合には、作曲者や曲の雰囲気が被らないようにする必要があります。

当日の衣装も、ゴージャスなドレスを着る先生もいれば、カジュアルな装いの先生もいます。あまりにバラバラにならないようにしつつ、似た色合いにならないようにすることも必要です。

そして、発表会当日の進め方も、先生によって大きく異なります。

これらの擦り合わせをしていくことになりますが、普段のレッスン会場が異なる先生ですと直接お会いする機会はなく、すべてのやり取りをメールと一部電話で行うことになります。

そのため、なかなか大変でしたが、発表会の進め方などで面白いアイディアが出てきたり、当日は他の生徒さんの演奏も聴けたりと、いつもとはまた違った有意義な発表会となりました。

私の生徒さん方ですが、今年は難しい曲を選んだ生徒さん方もいましたが、全員とても良い状態で本番を迎えられました。

しかし、何が起こるかわからないのが発表会です。

難しい曲をコツコツと地道に練習してきた生徒さんは、これまでピアノ教室全体の代表として、大きなホールで演奏をした経験もある方ですが、今回は、レッスンで一回も間違えたことの無い箇所でミスをしていまい、それをきっかけに、少しペースを乱してしまいました。それでも後半は、いつものような演奏が出来たので、立て直せたのは良かったと思います。

その一方で、普段のレッスンでは音階部分のテンポが不安定だったり、暗譜が一部曖昧になっていた生徒さんは、小さいながらも堂々とした姿で、普段以上の力を発揮していました。

これまで何回も発表会を行ってきましたが、本番で全員が満足できる演奏というのは、なかなか難しいものだと改めて感じました。

それでもまた来年は、生徒さん全員が満足する演奏ができることを目指していきたいと思います。

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(この記事は、第128号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「ピアノ教室の出来事」は、お子様の夏の発表会のお話です。

7月も半ばを過ぎ、毎年恒例となっている お子様の発表会が直前に迫ってきました。どの曜日の生徒さんも、あと1回レッスンを行うと、次は発表会本番を迎えることになります。

7月に入ってからは、レッスンの度に挨拶もそこそこに、「ちょっとカレンダーを見てくれるかな? 今日は何月何日かしら?」と聞いています。

「7月○日」と生徒さんが答えますと、

「そうよね、今日はここよね。あと○回レッスンをしたら、もう発表会だからね」とお話して、本番までのレッスン回数と、残りの日数を意識しやすくしています。

レッスンで色々な年代の生徒さんと接していますと、お子様と大人とでは、時間の経過の感じ方が違うような気がしています。

お子様は、大人に比べて、1日の時間を長く感じているようなのです。

例えば、「この前ね・・・」と話し始めた時、お子様の場合は、昨日の事だったり、数日前の事を指しているのですが、大人の生徒さんが同じ言葉で話し始めますと、それは1か月前の事だったりするのです。

発表会までの日にちについても、大人の生徒さんは、「あと1ヶ月しかない」と残り時間が短いことを意識しますが、お子様の生徒さんは、発表会が開催される7月に入っても、あまりピンときていない事があり、「本番っていつだっけ?」と言われて、私の方がビックリしてしまうこともありました。

プレッシャーをかけるとか、焦らせる訳ではないのですが、本番までの時間を意識して、残りの時間で、どれだけ曲の完成度を上げられるのかという事も、人前でピアノを弾く時に必要な力ですし、大切な経験になると思っています。

今年は、先日のレッスンで「暗譜で弾いてみましょうね」とお話をしたら、「本番って暗譜なの?」という答えが返ってきて、ドキッとしたことがありました。

しかし、その小学校1年生の生徒さんも、次の週には完璧に暗譜をしてきました。

中学生の生徒さんは、「暗譜の練習はどうかしら?」と聞くと「もう全部出来た~」と元気よく答えてくれました。

小学校高学年から中学生くらいになりますと、私がお話をしなくても、自主的に暗譜の練習もしてきてくれる生徒さんが殆どです。

何回も本番を経験していますと、練習の進め方も理解していますし、次は何をすればよいのか、わかっているので、自主的に練習の計画も立てられるようです。

先週からは、発表会のプログラムも配り始めました。プログラムを見ますと、いよいよ本番が近づいてきたという実感が湧きますし、今年は何番目に弾くのかとか、他の人はどんな曲を弾くのか見ることも楽しみのようです。

いよいよ本番まで、残り1回のレッスンですが、生徒さんの力を最大限に引き出し、本番でその力を発揮できるようなレッスンができればと思っています。

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