(この記事は、第94号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「ピアノ教室の出来事」は、先日行われた「リトルピアニスト」というコンサートのお話です。

「リトルピアニスト」は、ヤマハ主催の小学生によるピアノコンサートで、3日間で全9ステージのコンサートが行われました。

関東甲信越の33の楽器店から推薦された小学生たちが、ピアノソロや連弾を披露しました。会場は、銀座にあるヤマハホールで、小ホールの規模ながら2階席まであり、かなり天井が高いホールです。

同じ音楽教室でも、他のクラスの生徒さんの演奏を聴く機会は少ないのですが、今回のコンサートのように他の音楽教室の生徒さんとなりますと、ますます聴く機会は少なく、そのような意味でも貴重な体験でした。

曲目なども、とてもバリエーションに富んでいて、コンサートを聴く前から興味が湧いていました。

ギロックや湯山昭、平吉毅洲さんの小品やブルグミュラー25の練習曲、ソナチネアルバムなど定番の曲目もあれば、ショスターコーヴィッチやグラナドス、ガーシュイン、シャブリエ、バルトークなど、少し珍しい作曲家の作品も並んでいました。

また、このコンサートは、最年長でも小学6年生になりますが、モーツァルトやベートーヴェンのソナタ、ショパンのワルツや幻想即興曲など、難しい曲も並んでいるのにはビックリしました。

それだけではなく、さらに難曲であるショパンの練習曲やリストの練習曲(3つの演奏会用練習曲、2つの演奏会用練習曲)までもが並んでいるので、驚きを通り越してしまったくらいです。

演奏する立場から見ますと、天井が高いホールは、音がよく響きますので、響きに耳が慣れると弾きやすいのですが、会場の大きさに圧倒されてしまうものです。

ましてや、銀座のヤマハホールとなりますと、国内外で活躍している演奏家も利用するトップクラスのコンサートホールですので、そのようなホールで弾く機会があるのは素晴らしいと思う反面、プレッシャーに感じる部分もあると思います。

それでもコンサートを聴きますと、緊張はしていても、深刻そうな顔や雰囲気の生徒さんはおらず、なかなかすごいなあと思いました。

どの生徒さんも、かなりしっかりとまとめてきている感じの演奏で、完成度は高かったと思います。後日、出演した生徒さんとお母様に感想を聞いたところ、「他の生徒さん方が、すごく上手で、ビックリしました」とおっしゃっていたくらいです。

演奏を聴いていますと、生徒さんの個性が演奏に表れると共に、教えている先生の指導方針や個性もよく表れていました。

きっちりと音楽の構成やリズムなどを教えていて、「楽譜に書かれていることを、しっかりと教えているんだなあ」と好感を持つ事もあれば、逆にやりすぎてしまっていて、少しオーバーに感じたり、クセがあるように感じてしまう事もありました。

クラシック音楽の場合、楽譜に忠実に弾くことが大前提ですので、しっかりと守って弾くのですが、いかにも「このように習いました」という演奏では、面白みがなく感動する演奏にはなりません。しかし、個性ある演奏と勝手気ままな演奏を混同してしまうことも避けなければならないのです。

基本を守りつつ、いかに生徒さんの個性を引き出す演奏にしていくのか、とても難しいテーマですが、改めて考えさせられたコンサートでした。

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(この記事は、第92号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回の「ピアノ教室の出来事」は、今年受験だった中学生の生徒さんのお話です。

この生徒さんは、小学校低学年生の時に、他の先生から引き継いでレッスンを担当させていただいている生徒さんです。

男の子なのですが、きゃしゃで大人しく、少し気の小さいところがあるような生徒さんで、デリケートに対応しないといけないと、引き継いだ初めてのレッスンの時に思ったことを覚えています。

それなりに練習はしているようなのですが、どちらかというと譜読みに時間がかかるタイプで、要領よくテキパキとこなせる感じではない気がします。

この生徒さんにとって、前の先生は相当厳しかったようで、しばらくは何となくビクビクした様子でレッスンを受けていました。しかし、徐々にレッスンにも慣れて、笑顔が見られるようになった時には、やっと本来の姿が見られるようになったと嬉しく感じたものです。

そうなりますと、どんどんと本音も話してくれるようになり、小学校高学年辺りからは「お母さんが、しょっちゅうピアノの練習をしろって、うるさい」などと、お家での愚痴まで飛び出してくるようになりました。

「お母様はね、○○君に、ピアノが上手になってほしいのよ。だからそう言うのよ」

と話しますと、

「でもさあ、せっかく練習しようと思っている時に言われるとさぁ、やる気なくすんだよね」

「ああっ、ちょっとタイミングが合わなかったのね。まあ、そういう時もあるわよ。」

と、生徒さんの気持ちを理解していることをアピールしつつ、ご家族の思いも伝わるようにフォローしていました。

ご家族も深夜までお仕事をされている多忙な生活なのですが、まめにお教室に顔を出していただいたり、発表会前には「うちの子、大丈夫なのでしょうか?」と、少し心配そうにお話をされることもありました。

また、中学校に進学した時には、「中学の部活で、急に陸上部に入っちゃって・・・。なんでいきなり陸上部に入っちゃったのかわからなくて」と、ピアノ以外のお話もされていました。

確かに、運動系の部活に入るとは、私も想像すらしていなかったので、びっくりしたのですが、レッスンを始めた頃のことを思うと、「たくましくなったなあ」と嬉しくも感じました。

学校内の合唱コンクールでも、何回かピアノ伴奏をやっていました。

その生徒さんが、先日、高校受験で、見事に第1志望の高校に合格しました。

受験する学校や受験日も知っていたので、受験後のレッスンでは、結果がとても気になりつつ、でも万が一にも良い結果でなかったらと思うと、あまり軽々しく聞くことも出来ないしと悶々とレッスンを進めていたのですが、受かったという報告が聞けました。

「うわ~、おめでとう!よかったわね~。お家の方も喜んでらっしゃるでしょ」と聞きますと

「発表の後ね、前に受けた模試の結果が来て、受験しようか迷っていた公立がAランクだったんだよね。だからちょっと、お母さんが残念そうだった」

「あらそうなの。でも、クラスのお友達より一足早く高校が決まって、嬉しいしホッとするでしょ」

「うん、なんかやる気なくってさ」

「受験が終わってまだ数日だもの。それは当然よ。まあ今週はゆっくり休むといいかもね。でも本当によかったわね。」

ピアノのレッスンをしていますと、生徒さんのピアノが上達していく姿が見られるのがなにより嬉しいですし、レッスンの最大の目的でもあるのですが、それだけではなく、生徒さんの体格や内面も、日々成長していく姿を見られることや、考えていること・感じていることも共有できることが、とても貴重に感じられます。

この生徒さんは、将来ゲーム音楽に携わる仕事をしたいと話していましたので、音楽を仕事としていくことになるかもしれません。ますます、将来が楽しみです。

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(この記事は、第91号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回の「ピアノ教室の出来事」は、お正月休み明けのピアノ教室のお話です。

お正月休みも終わり、ピアノ教室はすっかり以前のペースに戻っています。

お子様の生徒さん方も、学校が始まっていますが、始めの1週間はなかなか大変だったようで、レッスンに来るなり、挨拶のあとに「うわぁ~、疲れた~」と言うのです。

「学校が始まって、またお友達とも会えて、楽しいでしょう?」

と聞きますと、「そうなんだけどね~」と言いつつ「1時間目から体育があって、すっごく寒くて3枚も着たけど寒くて。それで縄跳びをいっぱいした」と答えていました。

お正月の時期は寒いこともあって、あまり外へ出ず、体力が落ちていて、今までなんともなかった体育の授業が、少し辛く感じるのかもしれません。

そんな生徒さんもいましたが、大半はニコニコと笑顔でレッスンに来ています。

生徒さん方にお正月の過ごし方を聞いてみますと、大半は帰省です。

祖父母のお家へ行く事が多く、「○日はお父さんの方のおばあちゃん家に行って、次の日はお母さんの方のおばあちゃん家に行って」というスタイルです。

おじいさん、おばあさんに会えることも嬉しいのですが、お年玉が貰えることも、とても楽しみなようです。

小学校低学年の生徒さんに、「たくさんお年玉もらったの?」と聞くと「うん!」と答えるのですが、「よかったわね!、貰ったお年玉は何に使うの?」と聞きますと「わからない」という生徒さんが意外に多くて驚きました。

まだ小さいので、お金の価値や自分の欲しいものが、いまひとつピンと来ていないのかもしれません。また、ご両親が預かって貯金をしているケースもあるので、もしかしたら貰ったこと自体も、よく理解できていないのかもしれません。

これが小学校高学年になりますと、「半分は貯金して、残りの半分は服を買う」という答えが返ってきます。堅実さとお楽しみの部分もあり、上手な使い方だなあと感心してしまいました。

また高校生は、「特にコレというものは買わないけど、お友達と遊ぶ時に使う」という答えもありました。

大人になりますと、あげる立場ですから、羨ましいなあと思ってしまいますが、こうして有効に使ってもらえるなら、あげる甲斐もあるかもしれません。

大人の生徒さん方にお正月の過ごし方を聞いてみても、やはり帰省が殆どです。ただ、お子様のように「お正月が楽しかった」という感想ではなく、「大変でした!」「忙しかったです」「疲れました」という言葉が次々と出てきます。

お正月も、おせち料理を作ったとおっしゃる生徒さんが多く、ご高齢の生徒さんになりますと、お子様のご家族が来るという事で、10人分くらいのおせち料理を作った方もいらっしゃいました。

「(おせち料理を)買えば?と息子に言われたけど、10人分のおせち料理なんてないでしょ? 同じものを3・4セットも買わなきゃいけないからイヤよね?」とお話されていました。

「黒豆、なます、田作りとか色々と作って、漆のお盆に南天の実や葉を飾って。もちろんお雑煮も作ってね。」

「それはすごいですね。漆のお盆に飾りなどもして、それを全員分するんですよね。テーブルコーディネートですよね」

「そう、だから大変なの。それで孫たちが来るでしょ。おばあちゃんの作ったおせち料理は美味しいねって言って、おだてられちゃって」

おだてられて、とおっしゃってはいましたが、笑顔でお話をされていましたので、やはり嬉しいものなのですね。

別の生徒さんは、お正月になるとご親戚の方々がいらっしゃるそうで、「それぞれバラバラに来るから家を空けられなくて…」とお話されていました。

「年に1回なので・・・と言ってもお盆も集まるんですがね。なんとなく昔から集まるんですよね。誰がいつ来るかわからないので、なんだか落ち着かなくて…」

中学生の生徒さんは、毎年年末には、おばあちゃんの家へ泊まりに行くそうですが、「あまり行きたくない!」というのです。

理由を聞いてみますと、「紅白歌合戦を見たいんだけど、親戚の人とのおしゃべりタイムになるので見られないから」と言っていました。

「でも、今年はケータイを持っているから、ワンセグで見る!」と妙に張り切っていました。

紅白歌合戦は、人気歌手が一堂に集まるテレビ番組ですから、中学生にとっては絶対に見ておきたい番組なのでしょうね。

受験生の生徒さんは、まさに勉強漬けの日々だったようで、「お正月は、少しはゆっくりできたの?」と聞きますと、「うん。今年は3日から塾だったから。でもお姉ちゃんは去年、元日から塾に行っていたんだよ」と言っていました。

センター試験も始まっていますし、中学・高校の受験も、早いところでは、そろそろ始まるようなので、お正月は最後の追い込みの時期なのです。

生徒さんそれぞれのお正月の様子が垣間見えた気がしました。

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