今回は、3月・4月のピアノ教室の状況についてお話をいたします。1年の中で、ピアノ教室の生徒さんの変化が大きいのが、この3月・4月の時期です。

ピアノ教室だけでなく、日常生活でも、卒業・入学・進級・人事異動など変化が起きやすい時期でもあります。

ピアノ教室では、「何曜日の何時からは、○○さんのレッスン」といったタイムスケジュールがありますが、この季節になりますと、頻繁に書き換えられ更新されていきます。

保育園・幼稚園の生徒さんが小学生になって、2時・3時台のレッスンが難しくなったり、塾や部活の関係で曜日の変更を希望される事も多くなります。

16時半から19時くらいまでのレッスン時間帯は、高校生までの生徒さんに一番都合のよい時間帯で、いわばゴールデンタイムになります。タイムスケジュールの空きも少なくなるので、空き待ち状態になることも時々あります。

希望よりも遅い時間にレッスンをしたり、場合によっては違う場所にある教室に来ていただいてレッスンをすることもあります。

このように、生活が色々と変化していく中でも、なんとかレッスンを継続される生徒さんがいる一方で、残念ながら、お辞めになる生徒さんも出てきます。

地方や海外転勤など、どう考えても継続が難しい事もあるのですが、最近はそうでないケースもあるようです。例えば、「これから塾に通い始めるので辞める」というケースです。中学受験をする方がとても増えているので、それに伴って塾に通うお子様も増え、多くが小学3・4年生頃から通い始めるようです。

「習い事が多くなると、体力的に心配なので」とおっしゃって、お子様にピアノを辞めさせたケースもありますし、「上の子が、思った以上に学校の成績が良くなく慌てて塾に通わせた。下の子を今から塾に通わせれば、少しは勉強が出来るようになると思って」というケースもあります。

こうして、小学3・4年生の段階で他の習い事を辞めて、塾一本だけに絞っているご家庭が増えている気がしています。

お子様の将来を考えて、親御さんがそのような決断をされ、お辞めになる生徒さんを見ていますと、とても残念な気がしてなりません。

ご家庭の教育方針に意見するつもりは無いのですが、中学受験までの約3年もの間、本当にそれだけで大丈夫なのかと、つい、お子様の精神的な部分の心配をしてしまいます。

というのも、そのような生徒さんに「どこか行きたい中学校があるの?」と聞くと、ほとんどが「特にない」と答えるからです。合格したい中学校という目標もなく、学校や家庭以外での息抜きやストレス解消の場がないまま、これから先どうなってしまうのでしょうか。

ピアノは確かに色々な技術や知識を学んだり、自宅での練習が必要ですが、それ以外にも、ピアノを弾くことでストレス解消になったり、音楽で癒されたり、お教室で先生と話すことでの気分転換など、精神的な部分でも多くの影響をもたらすと思っています。

また、長い目で見た時に、得意なものや好きなものを持つことで、社会人になった時や定年後の第2の人生などで、精神的な支えとなったり、色々な場面で人と関わる時のコミュニケーション作りに役立ったり、多くの得るものがあるのではないかと思います。

そのような事をお伝えしたいと思うのですが、既にお子様を辞めさせる決断をされた親御さんには、引き止めているように思われてしまうので、なかなか難しいのが実情です。

色々なことが入り混ざり、どうにも出来ないもどかしさを感じる季節でもあります。

「ピアノ教室の出来事」について

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今回は、お子様のピアノ発表会の曲選びについてお話をいたします。

毎年夏に、子供のピアノ発表会を行いますが、曲を決めるのは、おおよそ4月くらいからです。あらかじめどんな曲を弾きたいのかを聞いておき、それを踏まえて、こちらで候補の曲をいくつか用意します。そして、3月下旬から4月頃に実際に弾いたり、楽譜をお見せして、相談しながら曲を決めていきます。

小さなお子様に、どんな曲が弾きたいのか聞いても、色々な曲をあまり知らないため、答えるのが難しくなります。そのため、「明るい曲」「暗い曲」「テンポの速い元気な曲」「ゆったりとした、大人っぽい曲」など、曲そのものよりも、曲の雰囲気から決めていくようになります。

そうしますと、「明るくて元気のある楽しい曲」を選ぶ生徒さんがほとんどなのではと思ってしまう訳ですが、これが以外にも、そうでないこともあるのです。

小学校3・4年生くらいの年齢で、「ゆったりとした、綺麗で優雅な曲を弾きたい」と言われた時には、本当に驚いたものです。もちろん、その中には冷静に自己分析をしている生徒さんもいて、「テンポの速い曲だと、本番で緊張して間違えそうだから、そんなに速くない曲がいい」という戦略的な答えが返ってきたこともあります。

いずれにしましても、本人が好きで気に入った曲を弾くのが一番良いと思いますので、どんなに年齢の低い生徒さんでも、曲を選べるようにしています。

これが、小学校5・6年生くらいになりますと、段々と自分で色々な曲を聴くようになり知識が増えますので、弾きたい曲のイメージどころか、弾きたい曲の題名までいくつか挙げられるようになります。

そこで、それぞれの曲の難しい所や、ポイント、他の生徒さんと曲がかぶっていないかをチェックして、最終的には本人に決めてもらいます。

今年は、なぜか発表会の準備が早くて、昨年から曲を決めてすでに練習を始めている生徒さんが何人もいます。

半年以上も練習をすることになりますので、とても張り切っていることになりますが、その理由の一つが、随分と難しい曲を選んだことなのです。普段練習をしている曲よりも、はるかに難しく長い曲を選んでいるのです。

練習期間が長くなったり、難易度のこともあり、少し心配をしましたが、難しい曲だと十分に認識をしたうえで、それでもチャレンジしたいと頑張っています。

この生徒さん方が、発表会までどのようにレッスンして、曲をまとめていくのか。私もより一層の責任を感じつつ、早くも本番が楽しみです。

「ピアノ教室の出来事」について

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今回は、小学校1年生の生徒さんのお話です。

先日のレッスンでは、小さいお子様がよく弾くウェーバー作曲の「人魚の歌」という曲を練習してきました。新しい曲なので、まずは1回通して弾いてもらいました。

「人魚の歌」は、8分の6拍子の曲です。

小さいお子様の場合、4分の4拍子や4分の3拍子のように、4分音符を1拍と数える曲はたくさん弾いていても、8分音符を1拍と数える曲はまだ殆ど弾くことはありません。その練習をする課題としても、この曲はよく使われます。

小さいお子様にとっては「1拍伸ばすのは4分音符」と覚えていますので、いきなり「この曲では1拍伸ばすのは8分音符です」と言われても、なかなか納得できないものです。

「1拍伸ばすのは4分音符で、半拍伸ばすのは8分音符。でも、この曲では半拍伸ばす8分音符が1拍伸ばす音符になるから・・・
と言うことは、4分音符は? 付点4分音符は??」

と頭の中が混乱してしまう生徒さんもいます。

でも、この生徒さんは拍子を正しく捉えてすらすらと上手に弾いていました。

1回でなんなく弾いていましたので、その先の新たなテーマをレッスンすることにしました。というのも、とてもすらすらと弾いているのですが、曲の始めから終わりまでずっと同じ強さで、抑揚のない一本調子な演奏だったからです。

「○○ちゃん、ピアノだけでなく音楽には、この曲のように半ページの曲もあれば、この楽譜1冊と同じくらいの長さで1曲というくらい長い曲もあるのね。

でも、どんな曲にも、必ず「ここが一番大切!」というところがあるのね。

そういうのを「曲の山」とか「サビ」とか「曲の中心」と言うんだけどね。

ではここでクイズね。この曲の山はどこかしら?」

これまで、うんうんと頷いて聞いていましたが、ちょっと困った顔をしていました。

「曲の山をどうやって見つけるか?というとね、頭の中でこの曲を歌うでしょ。

そうするとね、一番気持ちがわあ~と盛り上がるところよ」

「うーーん・・ここ?」

「○○ちゃん、本当の山に登ったことある?

山に登っているとね、「次の一歩から山の頂上ですよ。」とはならないじゃない?

ずっと登っていて、ふと気がつくと山の頂上が見えて「あっ、山の頂上にすごく近いんだ」ってなるのよね。

それと一緒だから、「この辺が曲の山」という答え方でいいのよ」

そうしますと、見事に曲の山を答えられました。

「じゃあ、今、答えた通りに弾いてみて。聴いている人に分かるように弾いてね」

この生徒さんは、曲の山を意識して弾いただけで、自然に抑揚がつき、ロマンティックな演奏にガラッと変わりました。

弾いている姿勢や雰囲気もまるで別人の様です。

後ろで聴いているお母様も笑みを浮かべながら、楽しそうに聴いていました。

「○○ちゃん、すっごくステキだったわよ。同じ人が弾いていたとは思えないくらい良かったわ。」

お母様の前で褒められて、とても嬉しそうに得意げな笑顔をしていました。

ピアノを弾く時には、フォルテやピアノなど強弱記号をつけて弾きますが、「フォルテと書いてあるから強く」「ピアノと書かれているから弱く」だけでは、本当の曲想をつけた演奏にはならないと思います。

「強く」といっても、エネルギッシュな強さ、怒りに満ちた悪の強さ、怒りに悲しみの混ざった強さなど、色々な強さがあるからです。

また、強弱記号は限られた数しかありませんから、曲の中で何回も同じ記号が登場することになります。

それがすべて同じ強さになってしまいますと、抑揚はついても曲の大切な部分がわからなくなり、まとまりのない演奏になってしまいます。

曲の山を考えることで、今のご自身の演奏がまた少し変わるかもしれません。参考にしてみてくださいね。

「ピアノ教室の出来事」について

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