今回は、ゴールデンウィーク明けのピアノ教室の状況についてお話をいたします。
ゴールデンウィークも終わり、ピアノ教室では、5月6日の木曜日からまたレッスンが始まりました。大人の方は、6日・7日とお休みにして、5月9日までゴールデンウィークという方もいらっしゃるかも知れませんが、お子様は学校がありますのでカレンダー通りにレッスンを進めています。
レッスンをする立場からしますと、このゴールデンウィーク後の第1回目のレッスンが、かなり重要になってきます。
夏休みや年末年始などの長期のお休みの後は、「お祖父さん、お祖母さんのお家に行ってきた」とか「○○にお出掛けしてきた」などの楽しかった出来事や、「毎日塾でお勉強していた」とか、「部活の練習で忙しかった」などの、大変だった出来事について話を聞いたりします。
このような話を聞くことで、生徒さんとのコミュニケーションがとれ、信頼関係もより強くなりますし、生徒さんの意外な一面を知ったり、また新たな発見をして、今後のレッスンの進め方の参考にもなったりします。
ゴールデンウィークもお休みの期間なので、少しはそのようなお話が出ますが、実は少し違った見方をしています。と言いますのも、夏休みの時期に発表会があるからです。
もう既に曲を決めていますので、このゴールデンウィークの期間の過ごし方で、今後の出来具合が変わってきます。
見ていますと、生徒さんによって随分と差があります。
学校の授業がないので、その分ピアノの練習時間を多くして、普段よりも譜読みが進んでいる生徒さんもいます。
「右手で○○まで」という宿題を出していたのですが、右手は全部弾けるようになっていたり、「両手で□□まで」という宿題でしたが、全部弾けるようになっていて、しかも暗譜まで出来ていたという生徒さんもいて、本当に驚いた事もあります。
発表会ではお客様の前で演奏しますので、曲を完成させて暗譜をしなければなりません。早い段階でこのように一通り弾けるところまで進んでいますと、「曲をどのように解釈するといいのか」「その為には具体的にどのようにするとよいのか」「どのように弾いたら、よりこの曲の良さが表現できるのか」などを考えて話し合う事が出来ます。
もっと小さいお子様ですと「この曲はどんな曲なのか」「どんなことを事を考えながら弾いていくとよいのか」というような話になりますね。
演奏の技術的なことだけではなく、音楽の内容についても話し合いが出来るので、より深くその曲の魅力を感じたり、自分の演奏の内容をもっと深くまで掘り下げることが出来るのです。また、場合によってはもう1曲追加することも出来ます。
ゴールデンウィークをどのように過ごしていたのか、有効に活用していたのかは、楽譜を見るだけでもわかります。
自分の練習用に楽譜をコピーした場合には、楽譜が見やすいように、またきれいに使えるように、裏に画用紙などを張るようにお話をしています。(「楽譜を作る」と言います)
何ページもあるような曲の場合にも、弾く度にページをめくるとなりますと、場合によっては演奏の止まりグセがついてしまうので、コピーを有効活用するようにお話をしています。それがきちんと出来ているのか、コピーをしたままの状態なのかという差です。
これは、楽譜の見やすさや演奏のしやすさ、また発表会の意気込みにも繋がりますので、大切なことだと思っています。
発表会に向けて気持ちが集中している生徒さんは、きちんと楽譜が作られているだけでなく、曲をイメージした絵が描かれていたり、曲のタイトルが「ちぎり絵」で描かれていたりします。
このような楽譜を見ますと、発表会を単なる発表の場だけではないものとして捉えているのだなあと、私自身も嬉しく感じます。
発表会まで数カ月ですが、これからの地道な練習が最も大切になってきます。
生徒さん全員が、それぞれ思い残すことなく素晴らしい演奏が出来るように、一緒に頑張っていきたいと思っています。
今回は、3月・4月のピアノ教室の状況についてお話をいたします。1年の中で、ピアノ教室の生徒さんの変化が大きいのが、この3月・4月の時期です。
ピアノ教室だけでなく、日常生活でも、卒業・入学・進級・人事異動など変化が起きやすい時期でもあります。
ピアノ教室では、「何曜日の何時からは、○○さんのレッスン」といったタイムスケジュールがありますが、この季節になりますと、頻繁に書き換えられ更新されていきます。
保育園・幼稚園の生徒さんが小学生になって、2時・3時台のレッスンが難しくなったり、塾や部活の関係で曜日の変更を希望される事も多くなります。
16時半から19時くらいまでのレッスン時間帯は、高校生までの生徒さんに一番都合のよい時間帯で、いわばゴールデンタイムになります。タイムスケジュールの空きも少なくなるので、空き待ち状態になることも時々あります。
希望よりも遅い時間にレッスンをしたり、場合によっては違う場所にある教室に来ていただいてレッスンをすることもあります。
このように、生活が色々と変化していく中でも、なんとかレッスンを継続される生徒さんがいる一方で、残念ながら、お辞めになる生徒さんも出てきます。
地方や海外転勤など、どう考えても継続が難しい事もあるのですが、最近はそうでないケースもあるようです。例えば、「これから塾に通い始めるので辞める」というケースです。中学受験をする方がとても増えているので、それに伴って塾に通うお子様も増え、多くが小学3・4年生頃から通い始めるようです。
「習い事が多くなると、体力的に心配なので」とおっしゃって、お子様にピアノを辞めさせたケースもありますし、「上の子が、思った以上に学校の成績が良くなく慌てて塾に通わせた。下の子を今から塾に通わせれば、少しは勉強が出来るようになると思って」というケースもあります。
こうして、小学3・4年生の段階で他の習い事を辞めて、塾一本だけに絞っているご家庭が増えている気がしています。
お子様の将来を考えて、親御さんがそのような決断をされ、お辞めになる生徒さんを見ていますと、とても残念な気がしてなりません。
ご家庭の教育方針に意見するつもりは無いのですが、中学受験までの約3年もの間、本当にそれだけで大丈夫なのかと、つい、お子様の精神的な部分の心配をしてしまいます。
というのも、そのような生徒さんに「どこか行きたい中学校があるの?」と聞くと、ほとんどが「特にない」と答えるからです。合格したい中学校という目標もなく、学校や家庭以外での息抜きやストレス解消の場がないまま、これから先どうなってしまうのでしょうか。
ピアノは確かに色々な技術や知識を学んだり、自宅での練習が必要ですが、それ以外にも、ピアノを弾くことでストレス解消になったり、音楽で癒されたり、お教室で先生と話すことでの気分転換など、精神的な部分でも多くの影響をもたらすと思っています。
また、長い目で見た時に、得意なものや好きなものを持つことで、社会人になった時や定年後の第2の人生などで、精神的な支えとなったり、色々な場面で人と関わる時のコミュニケーション作りに役立ったり、多くの得るものがあるのではないかと思います。
そのような事をお伝えしたいと思うのですが、既にお子様を辞めさせる決断をされた親御さんには、引き止めているように思われてしまうので、なかなか難しいのが実情です。
色々なことが入り混ざり、どうにも出来ないもどかしさを感じる季節でもあります。
今回は、お子様のピアノ発表会の曲選びについてお話をいたします。
毎年夏に、子供のピアノ発表会を行いますが、曲を決めるのは、おおよそ4月くらいからです。あらかじめどんな曲を弾きたいのかを聞いておき、それを踏まえて、こちらで候補の曲をいくつか用意します。そして、3月下旬から4月頃に実際に弾いたり、楽譜をお見せして、相談しながら曲を決めていきます。
小さなお子様に、どんな曲が弾きたいのか聞いても、色々な曲をあまり知らないため、答えるのが難しくなります。そのため、「明るい曲」「暗い曲」「テンポの速い元気な曲」「ゆったりとした、大人っぽい曲」など、曲そのものよりも、曲の雰囲気から決めていくようになります。
そうしますと、「明るくて元気のある楽しい曲」を選ぶ生徒さんがほとんどなのではと思ってしまう訳ですが、これが以外にも、そうでないこともあるのです。
小学校3・4年生くらいの年齢で、「ゆったりとした、綺麗で優雅な曲を弾きたい」と言われた時には、本当に驚いたものです。もちろん、その中には冷静に自己分析をしている生徒さんもいて、「テンポの速い曲だと、本番で緊張して間違えそうだから、そんなに速くない曲がいい」という戦略的な答えが返ってきたこともあります。
いずれにしましても、本人が好きで気に入った曲を弾くのが一番良いと思いますので、どんなに年齢の低い生徒さんでも、曲を選べるようにしています。
これが、小学校5・6年生くらいになりますと、段々と自分で色々な曲を聴くようになり知識が増えますので、弾きたい曲のイメージどころか、弾きたい曲の題名までいくつか挙げられるようになります。
そこで、それぞれの曲の難しい所や、ポイント、他の生徒さんと曲がかぶっていないかをチェックして、最終的には本人に決めてもらいます。
今年は、なぜか発表会の準備が早くて、昨年から曲を決めてすでに練習を始めている生徒さんが何人もいます。
半年以上も練習をすることになりますので、とても張り切っていることになりますが、その理由の一つが、随分と難しい曲を選んだことなのです。普段練習をしている曲よりも、はるかに難しく長い曲を選んでいるのです。
練習期間が長くなったり、難易度のこともあり、少し心配をしましたが、難しい曲だと十分に認識をしたうえで、それでもチャレンジしたいと頑張っています。
この生徒さん方が、発表会までどのようにレッスンして、曲をまとめていくのか。私もより一層の責任を感じつつ、早くも本番が楽しみです。
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