(この記事は、第74号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、クラシック音楽家の記念年のお話です。

昨年はショパンが生誕200年、今年はリストが生誕200年という記念の年で、なにかと彼らの音楽を聴く機会が多かったと思います。毎年行われているラ・フォル・ジュルネでも、やはりショパンやリストが取り上げられました。

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ショパンもリストも、クラシック音楽家として有名ですので、話題になる訳ですが、実は他にもたくさんの音楽家が今年、記念の年を迎えています。

まずは、2011年が、生誕の記念年の作曲家を挙げてみます。

・ドヴォルジャーク
生誕 170年です。チェコの作曲家で、交響曲第9番「新世界より」、スラヴ舞曲集が有名です。

・バルト-ク
生誕130年です。ハンガリーの作曲家で、ピアニストとしても活躍し、民族音楽の研究もしていました。リストの弟子からピアノを習っていました。

・プロコフィエフ
生誕 120年です。ロシアの作曲家で、ピアニストでもあります。ロシアからアメリカへ亡命する際に、日本にも立ち寄りコンサートを行いました。バレエ音楽「ロミオとジュリエット」「シンデレラ」、ピアノソナタ第6番~第8番「戦争ソナタ」、「束の間の幻影」が代表作です。

・ピアソラ
生誕90年です。アルゼンチンの作曲家で、タンゴとクラシックやジャズを融合させた画期的な音楽を作曲しました。「リベルタンゴ」がとても有名です。世界的名チェロ奏者のヨーヨー・マが、この「リベルタンゴ」をチェロで弾いたテレビCM(サントリーローヤルのCM)は、大変話題になりました。

次は、2011年が没後の記念年の作曲家を挙げてみます。

・ルイ・クープラン
没後350年です。フランスの作曲家で、オルガニストです。バッハと同じバロック期の作曲家ですが、もっと初期のバロック期に活躍をしました。(バッハは、後期のバロック期)。
フランスの作曲家ラヴェルの代表作でもある「クープランの墓」で有名なフランソワ・クープランとは親戚関係です。また、バッハと同じく、ク─プランも一族が音楽家という家系でした。

・ヴィヴァルディ
没後 270年です。バッハの少し前に活躍をしていたイタリアの作曲家で、キリスト教の司祭でした。卒業式などのBGMでよく流される「四季」が特に有名です。また、色々な楽器の協奏曲を数多く作曲したことでも知られています。

・モーツァルト
没後 220年です。説明するまでもなく、早熟の天才とか、クラシック音楽史上最高の音楽家とも評されています。ピアノ協奏曲やオペラなど、現在でも有名でよく演奏される作品が数多くあります。

・テクラ・バダジェフスカ=バラノフスカ
没後150年です。ポーランドの 女流作曲家で、ピアニストです。ポーランドの作曲家と言うと、真っ先にショパンが挙げられますが、ショパンが活躍をしていた時に生まれています。名前をご存じの方は少ないかもしれませんが、ピアノの曲で大変有名な「乙女の祈り」を作曲しました。バダジェフスカが17歳くらいの時に作曲したと言われています。

・ムソルグスキー
没後 130年です。ロシアの作曲家で、「ロシア五人組」の一人です。管弦楽曲「禿山の一夜」、ピアノ組曲「展覧会の絵」などが有名です。

・マーラー
没後 100年です。 オーストリアの作曲家で、交響曲というと、マーラーの名前を挙げる方も多いかと思います。交響曲「巨人」「復活」など交響曲の作曲がとても有名です。 ウィーン・フィルハーモニーの指揮者としても活躍をしました。

・サン=サーンス
没後 90年です。フランスの作曲家でオルガニスト、ピアニストとしても活躍をしました。組曲「動物の謝肉祭」がとても有名です。モーツァルトと同じく早熟の天才でした。

・シェーンベルク
没後60年です。ハンガリーの作曲家で、ハ長調やト短調などの調性の枠を超えた、無調音楽を創った作曲家です。

・ストラヴィンスキー
没後 40年です。ロシアの作曲家で、指揮者やピアニストとしても活躍しました。バレエ音楽「春の祭典」「火の鳥」「ペトルーシュカ」が代表作です。

誰もが知っている作曲家から、名前を聞いた事がある作曲家、作品を聞いた事があっても名前は知らなかった作曲家など、様々でしょう。これだけ多くの作曲家が記念の年を迎えていますので、是非一度は曲を聴いてみて、お気に入りの音楽を見つけてみませんか。

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(この記事は、第73号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回のピアノ教室の出来事は、大人の生徒さんのお話です。

大人の生徒さんは、お子様のように、バイエル、ブルグミュラー25の練習曲、ソナチネアルバム、ソナタアルバムといった、一定の教材を使って進めていくよりも、それぞれの生徒さんのご希望に合わせて、曲や教材を進めていくことの方が多くなります。

そのため、大人用のテクニックの教材を進めている方もいれば、いろいろな作曲家の曲を弾いている方、お気に入りの作曲家の曲を数曲続けて弾いている方など、本当に様々です。

先日、新しく大人の生徒さんがいらっしゃいました。全くの初心者ではなく、これまでにピアノのレッスン経験がある方です。

バイエルとブルグミュラー25の練習曲を終了し、新しい教材を進めていたのですが、ご家庭の事情で1年ほどレッスンをお休みされていたそうです。そして、忙しさも一段落して、再開されることになりましたが、それまで習っていた先生とレッスンの日時が合わなかったようで、私がレッスンを担当させていただく事になりました。

大人の生徒さんに限った事ではありませんが、色々なご事情で休会される生徒さんは少なくありません。入院や、職場の異動、ご家族の介護などです。お子様ですと、受験が一番多い要因となっています。

大人の生徒さんは、いつでも休会でき、そして、いつでも再開することができるのですが、実際には、再開される生徒さんは、それほど多くありません。これは、レッスンを担当している立場から見ますと、とても残念なことです。

そのため尚の事、再開される生徒さんは、とてもピアノがお好きなんだなぁと思い、とても嬉しくなります。

この大人の生徒さんは、「必ず、またレッスンに行く」と思っていた様で、再開後の初レッスンでは、以前使用していたテクニックの教材の続きの曲を練習してきていました。

色々とアドヴァイスをしながら、このようなお話もしました。

「この教材は、以前もお使いでしたから、そのまま続けられると良いかと思います。
 でもこれはテクニックの教材ですよね。
 それだけでも良いのですが、(題名の付いた)曲も、何か弾きませんか?
 何か、弾いてみたい曲はありますか?」

そうしますと、おもむろに1つの楽譜を取り出されたのです。

「何ヶ月かかってもいいので、この曲を弾きたいんです。」

「そうですか、ステキな曲ですよね。私も大好きなんです。この曲はどこで知ったのですか?」

「実は、以前息子が発表会で弾いていまして・・・。家で練習しているのを聴いて、良い曲だなあと思いまして」

「そうだったんですか。長い曲ですので、時間はかかると思いますが、とても思い入れのある曲の様ですので、是非弾いてみましょう」

そうお話をして、レッスンを終了しました。

以前、お子様が練習していたことがきっかけで、憧れの曲になるというパターンは初めてでしたので驚きました。でも、それだけお子様が頻繁に練習をしていたという事ですし、息子さんのピアノの練習をいつも聴いていたという事になります。

素敵なご家庭の様子を垣間見た気がしました。

憧れの曲が弾けるように、私も精一杯お手伝いしたいと思っています。

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(この記事は、第72号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回のピアノ教室の出来事は、今年入られた小学5年生の生徒さん(Aさん)のお話です。

Aさんは、今年の2月に入会されました。お子様の場合、1年のうちで一番多く入会される時期は春ですので、タイミングとして珍しいケースだと思います。

しかも、「子供のためのピアノ教育」でも書いていますが、ピアノを始める年齢としては珍しく、小学5年生の生徒さんなのです。

Aさんのお母様は、フルタイムでお仕事をされていて、お仕事帰りの夜の時間帯に、お子様と一緒に体験レッスンに来られました。

小学5年生という年齢や、冬に体験レッスンにいらっしゃることは、これまでに全くなかった訳ではありません。しかし、多くの場合は、以前からピアノを習っていて、引っ越しなどでピアノ教室を変えるパターンなのです。

Aさんも同じような経緯なのかと思っていましたが、これまでにピアノを習ったことがなく、全くの初心者だったのです。

お話を伺いますと、自宅にキーボードがあり、光る順に鍵盤を弾いていくと、曲が演奏できる機能が付いているそうです。そのキーボードをAさんが弾いているのを見て、「それだけ好きなら、ピアノを習わせてみようか」と思われたのだそうです。

また、Aさんに直接聞いてみますと、クラスの友達がピアノを弾いているのを見て、「いいなぁ」と憧れを持っていたそうで、それもきっかけとなったようです。

小学5年生の初心者というのは、なかなか珍しいケースなので、使用する教材を選びに楽譜屋さんに足を運んだのですが、思った以上に時間がかかりました。

お子様の初心者用の楽譜は、小学校入学前後の年齢を対象としているので、結構可愛らしい絵が描かれている楽譜が多いのです。

悩んだ末に楽譜を決めたのですが、多感な年頃でもあり、「こんな子供っぽい楽譜は嫌だ」と言われてしまうのではないかと心配しましたが、それなりに気に入ってもらえて、ほっとしました。

ピアノの楽譜と共にワークも渡したのですが、両方ともどんどん進んでいて、まだ数カ月しか経っていないのに、すでにピアノの楽譜もワークを3冊づつ終わらせています。

特にワークの進み方がとても速いので、Aさんに聞いてみました。

「Aさんは、いつもたくさんワークをやってきてくれるでしょ? お家でどんなペースでやっているの? 時間のある時に、たくさんやっているのかな?」

「いえ、毎日2ページやるって決めて、やっています。それで、土曜日とか日曜日の学校のない時には、もっとやっています。」

「あらそう、毎日やっているのね。すごいわね~。毎日やるって大変でしょ、今日は疲れたからいいやってならないの?」

「はい、自分で毎日2ページやるって決めたし、ピアノも自分でやりたいって言って習っているので、そういうのはないです。」

文章で書くと少し硬い印象かも知れませんが、可愛らしい笑顔で、このように話していました。小学校低学年のお子様とは違って、また年齢以上に、とてもしっかりとした意思を持ってピアノを始めたことが、とてもよくわかった瞬間でした。

毎日コツコツと練習する事は、ピアノだけではなく、何かを習得する時には欠かせないものです。それを自分の意思で進められる人ほど、強いものはありません。

Aさんは、進みが速いだけではなく、分からないことは、どんどん質問をするので、レッスンもおのずと効率よく、内容の深いものになっていきます。

「ピアノが上手になりたい」という熱意も、とてもよく伝わってきますので、今後の成長が楽しみです。

お家では、まだキーボードで練習をしているそうですが、すでに楽器に対して物足りなさを感じていました。すぐに音が出てしまうので、弾いている感触があまりないところや、いつも一定の音量しか出せないので、音の強さが変えられないところが、とても不満のようです。こういう時こそ、生のピアノで練習をさせてあげたいなあと思っています。

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