(この記事は、第87号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回の「たのしい音楽小話」は、今年没後100年の記念の年である グスタフ・マーラーのお話です。
マーラーは、ピアノの作品は殆ど作曲しませんでしたが、交響曲第1番「巨人」、交響曲第2番「復活」や、交響曲「大地の歌」など、主に交響曲や歌曲を作った作曲家です。
ロシアの作曲家チャイコフスキー等とはまた違った、大きな規模の作品が多く、迫力のあるスケールの大きな交響曲なので、コンサートなどでも人気があり、よく演奏されます。
また交響曲でありながら、年末によく演奏されるベートーヴェンの交響曲第9番(通称第9)のように、合唱が入ることも多く、なかなか珍しい作風も特徴的です。
マーラーは、1860年7月7日にウィーンで、14人兄弟の長男として生まれました。10歳でピアノコンサートを開き、その後ウィーン国立音楽大学で学びます。16歳の時には、演奏解釈賞と作曲賞を受賞し、その後ウィーン大学でオーストリアの作曲家であるブルックナーに師事したことが、大きなターニングポイントとなりました。
ライプツィヒ歌劇場の楽長、ブダペスト王立歌劇場の芸術監督、ハンブルク市立劇場の楽長、ウィーン宮廷歌劇場の芸術監督などを歴任し、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の指揮者も務めたり、渡米してニューヨーク・フィルハーモニックの指揮者も務めました。
生涯の大部分をウィーンで過ごしますが、指揮者としては高い地位を築いたにもかかわらず、作曲家としてはウィーンで評価されなかったようで、交響曲の大半はドイツで初演されています。
マーラーの音楽は、調性を無くした無調音楽を創始したことで知られるシェーンベルクに大きな影響を与え、彼自身もシェーンベルクを高く評価していたそうです。
昨年は、「マーラー 君に捧げるアダージョ」というマーラーを取り上げた映画も公開されました。
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マーラー 君に捧げるアダージョ |
同年代の作曲家では、スペイン音楽を取り入れたことで有名なアルベニス、ショパンと同じポーランドに生まれピアニストとして活躍しつつも、その後ポーランドの首相となったパデレフスキー、フランス音楽の第一人者で「月の光」や「アラベスク第1番」、交響詩「海」などで知られているドビュッシー、イタリアの作曲家でオペラ「蝶々夫人」「ラ・ボエーム」「トスカ」などを作曲したプッチーニなどが挙げられます。
ピアノを弾いている方は、どうしてもピアノの演奏を聴く機会の方がはるかに多いと思いますが、時にはピアノにはない音色で、色々な楽器で演奏される交響曲を聴いてみるのもよいと思います。
ピアノとはまた違ったスケールの音楽が聴けますし、演奏にもよい影響が得られると思います。
いくつか、マーラーの音楽CDをご紹介しておきます。
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マーラー:交響曲第1番「巨人」 |
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マーラー:交響曲第2番「復活」 |
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マーラー:交響曲「大地の歌」 |
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マーラー:交響曲全集、歌曲集 |
(この記事は、第87号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回の「ピアノ教室の出来事」は、中学生の生徒さんのお話です。
この生徒さんは、現在中学3年の男の子で、小学校低学年の時からレッスンを見させていただいています。
とても繊細な感じで、大事にしないと壊れそうな、どこかそのような雰囲気を持った男の子でした。
以前は他の先生に習っていたそうですが、毎週泣きながらレッスンから帰ってくる様子を見ていたお母様が、「せっかく始めたピアノなのに、このまま嫌いになって辞めてしまうのはちょっと・・・」と担当講師の変更を要望され、私が見させていただくことになりました。
ピアノに限ったことではありませんが、個人レッスンですので、どうしても相性の問題が起こることがあります。
このような生徒さんを担当することになりますと、ピアノやレッスンの楽しさを、また味わってほしいと思い、プレッシャーを感じる事もあります。
幸い、この生徒さんは、その後もレッスンを続け、またレッスン時間を大幅に増やして、毎週1時間半レッスンを行っていた時期もありました。
私がレッスンを担当することになって数年後に、「将来は何になりたいの?」と聞いたところ、「ピアノを弾く人になりたい」と答えていました。
私が風邪を引いてしまい、喉の調子がとても悪い時に、「あまり声が出なくて、聴き難いと思うけれど、ごめんなさいね」と言いますと、「いいよ、心の声で聞くからさぁ」と、とても優しい言葉をかけてくれたこともありました。
「将来はピアノを弾く人になりたい」という発言は、その後聞いたところ、あまり覚えていないとのことでしたが、ピアノが好きなことは確かで、普段は電子ピアノで練習をしているのですが、毎年夏の発表会前や、学校の合唱コンクールの本番前には、レッスン日以外にも教室に来て、熱心に練習を積み重ねていました。
中学3年生ですので、進路の話も出てくるのですが、先日のレッスンでは、このような会話がありました。
「○○高校をね、今度見に行くんだ!」
「そうなの。見に行くと学校の雰囲気とかわかるからいいわよね」
「○○高校って、途中でコースが色々と分かれて、それで音楽を取ろうかと思って」
「へえ~、音楽の授業が取れるなんて、とってもいいわね」
「うん」
この生徒さんが、希望の学校に進学できることを祈りつつ、将来がとても楽しみです。
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