(この記事は、第93号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回の「たのしい音楽小話」は、音楽家の寿命についてのお話です。
21世紀の現代から見ても、数百年も前に作曲された音楽が全く古さを感じさせず、むしろ新鮮であることに、驚きを感じます。
作曲家が全身全霊を傾けて生み出された音楽は、音楽家自身の身を削って作られた作品と言っても過言ではありません。
裕福な家庭に生まれた音楽家もいれば、生活していくのがやっとで、五線紙を買う余裕もなかった音楽家もいます。
また、国民的大スターになって、葬儀に何万人ものファンが参列した作曲家もいれば、お葬式も行われず、お墓もなかった作曲家もいます。
生まれた国や時代、生活環境などは異なりますが、寿命という点から見てみると、長寿だった音楽家と短命だった音楽家の両極端に分かれるようです。
まず、長寿だった音楽家を挙げてみましょう。
ワーグナー 70歳
ラフマニノフ 70歳
ヨハン・シュトラウス二世 74歳
リスト 75歳
ロッシーニ 76歳
ハイドン 77歳
エルガー 77歳
フォーレ 79歳
メシアン 83歳
リヒャルト・シュトラウス 85歳
サン=サーンス 86歳
クライスラー 87歳
ヴェルディ 88歳
ストラヴィンスキー 89歳
ロドリーゴ 97歳
今回「ピアノのしらべ」でご紹介した、シベリウスも91歳という長寿でした。
70代は、現代の平均寿命から見ますと、長寿に入れてよいのか迷うところですが、時代を考えますと十分長寿と言えると思います。
次は、反対に短命だった音楽家です。
瀧廉太郎 23歳
シューベルト 31歳
モーツァルト 35歳
ビゼー 36歳
フォスター 37歳
メンデルスゾーン 38歳
ガーシュイン 38歳
ショパン 39歳
ウェーバー 39歳
モーツァルトやショパンが短命だったことは有名ですが、他にも色々な作曲家がいて、日本人の作曲家、瀧廉太郎がわずか23歳の短命だったことは、殆ど知られていないのではないでしょうか。
それでも「花」「箱根八里」「荒城の月」「鳩ぽっぽ 」「雪やこんこ」「お正月」など、次々と傑作を生み出したのは、すごいですね。
他の音楽家も、30代でこの世を去ってしまった訳ですが、もっと長寿で活躍する期間が長かったら、更に多くの傑作が生まれていたかもしれないと思うと、とても残念です。
このように音楽家の寿命を知ると、音楽の聴き方や感じ方が、少し変わってくるかもしれません。
インターネットで見つけたクラシック音楽関連の動画をご紹介する「今月の動画」。
今回は、ロシアを代表する音楽家ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番第1楽章です。
色々な作曲家がピアノ協奏曲(コンチェルト)を作っていますが、その中でもとても有名で代表的な作品です。
この動画の音は、1929年に録音されたもので、ピアノは、ラフマニノフ自身が演奏しています。大変貴重なのではないでしょうか。
(この記事は、第92号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回の「ピアノ教室の出来事」は、今年受験だった中学生の生徒さんのお話です。
この生徒さんは、小学校低学年生の時に、他の先生から引き継いでレッスンを担当させていただいている生徒さんです。
男の子なのですが、きゃしゃで大人しく、少し気の小さいところがあるような生徒さんで、デリケートに対応しないといけないと、引き継いだ初めてのレッスンの時に思ったことを覚えています。
それなりに練習はしているようなのですが、どちらかというと譜読みに時間がかかるタイプで、要領よくテキパキとこなせる感じではない気がします。
この生徒さんにとって、前の先生は相当厳しかったようで、しばらくは何となくビクビクした様子でレッスンを受けていました。しかし、徐々にレッスンにも慣れて、笑顔が見られるようになった時には、やっと本来の姿が見られるようになったと嬉しく感じたものです。
そうなりますと、どんどんと本音も話してくれるようになり、小学校高学年辺りからは「お母さんが、しょっちゅうピアノの練習をしろって、うるさい」などと、お家での愚痴まで飛び出してくるようになりました。
「お母様はね、○○君に、ピアノが上手になってほしいのよ。だからそう言うのよ」
と話しますと、
「でもさあ、せっかく練習しようと思っている時に言われるとさぁ、やる気なくすんだよね」
「ああっ、ちょっとタイミングが合わなかったのね。まあ、そういう時もあるわよ。」
と、生徒さんの気持ちを理解していることをアピールしつつ、ご家族の思いも伝わるようにフォローしていました。
ご家族も深夜までお仕事をされている多忙な生活なのですが、まめにお教室に顔を出していただいたり、発表会前には「うちの子、大丈夫なのでしょうか?」と、少し心配そうにお話をされることもありました。
また、中学校に進学した時には、「中学の部活で、急に陸上部に入っちゃって・・・。なんでいきなり陸上部に入っちゃったのかわからなくて」と、ピアノ以外のお話もされていました。
確かに、運動系の部活に入るとは、私も想像すらしていなかったので、びっくりしたのですが、レッスンを始めた頃のことを思うと、「たくましくなったなあ」と嬉しくも感じました。
学校内の合唱コンクールでも、何回かピアノ伴奏をやっていました。
その生徒さんが、先日、高校受験で、見事に第1志望の高校に合格しました。
受験する学校や受験日も知っていたので、受験後のレッスンでは、結果がとても気になりつつ、でも万が一にも良い結果でなかったらと思うと、あまり軽々しく聞くことも出来ないしと悶々とレッスンを進めていたのですが、受かったという報告が聞けました。
「うわ~、おめでとう!よかったわね~。お家の方も喜んでらっしゃるでしょ」と聞きますと
「発表の後ね、前に受けた模試の結果が来て、受験しようか迷っていた公立がAランクだったんだよね。だからちょっと、お母さんが残念そうだった」
「あらそうなの。でも、クラスのお友達より一足早く高校が決まって、嬉しいしホッとするでしょ」
「うん、なんかやる気なくってさ」
「受験が終わってまだ数日だもの。それは当然よ。まあ今週はゆっくり休むといいかもね。でも本当によかったわね。」
ピアノのレッスンをしていますと、生徒さんのピアノが上達していく姿が見られるのがなにより嬉しいですし、レッスンの最大の目的でもあるのですが、それだけではなく、生徒さんの体格や内面も、日々成長していく姿を見られることや、考えていること・感じていることも共有できることが、とても貴重に感じられます。
この生徒さんは、将来ゲーム音楽に携わる仕事をしたいと話していましたので、音楽を仕事としていくことになるかもしれません。ますます、将来が楽しみです。
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