(この記事は、第202号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、お子様のピアノ発表会のお話です。
例年、お子様の発表会は夏休み期間に行っていましたが、今年は少し早く、先日開催しました。
当日は、あいにくの悪天候でした。これまで多くの発表会や演奏会を体験してきましたが、傘を差し、レインコートを着て、レインブーツを履いて会場に向かうのは、これまで記憶にありません。
それでも、多くのお客様が会場にいらしていて、かなり座席が埋まっている状況でした。
今年出演する生徒さんは、チャレンジする曲よりも、弾きこなせる曲を選ばれた方が多く、発表会に間に合わないという状況は無かったので、本番まで「たくさん練習してね」とハッパをかけることもなく、順調に準備を重ねてきました。
後は、無事に本番を迎えるのみと思っていたのですが、そういう時にもアクシデントは起こるもので、最後のレッスンに体調不良で欠席された生徒さんがいました。
演奏の方は、それほど心配はしていなかったのですが、発表会が2日後なのに食事が全くとれない状況とのことで、はたして参加できるのか、とても心配していました。
次の日に連絡しても、やはり体調が戻っていないとの事でした。
発表会に向けて、生徒さんは頑張って練習をしてきましたし、ご家族の皆様も、晴れの舞台をドキドキしながら、それでも楽しみにしていると思います。
過去には、高熱にも関わらず、舞台ではそのような素振りを一切見せずに演奏して、本番後に舞台袖で、座っていられず寝込んでしまった生徒さんがいました。お子様といっても、本番への思いはとても強いものがあります。
無理はさせたくないし、でも本番でこれまでの成果を披露してほしいし。
私以上に、生徒さん、生徒さんのご家族は、複雑な思いをされていたに違いありません。
他のクラスの発表会で飛び入り参加できる日がないかも、探し始めていました。
そして、発表会当日です。
朝、連絡してみますと、「少し食べられるようになったので、発表会に参加します」とのお返事を頂きました。生徒さんの発表会本番への気持ちの強さを改めて感じました。
会場でお会いすると、すっきりとはしていませんが、笑顔が見られ、少し安心しました。
そして、数日間、全く練習が出来なかったとのことですが、なんとか無事に演奏を終えることが出来ました。
他の生徒さんも、けっこう良い感じで弾けていて、練習の成果を発揮できたと思います。
今回は珍しく、比較的ゆっくりと客席で聴く事が出来ましたが、他の先生の生徒さんも含めて、色々と気付くことがありました。
まずは、衣装です。もちろん自由なので、お好きなものを着て良いと思いますが、発表会の衣装として相応しいかは、ある程度意識した方が良いようです。
例えば、アシンメトリーやフィッシュテール、ロングテールスカートなど、色々な呼び方をされる前部分よりも後ろが長いドレスは、椅子に座る時にドレスの裾の扱いが難しくなります。
また、ドレスに合わせる靴も、5cmはありそうな細いヒールの靴を履いている生徒さんや、厚底のサンダルを履いている生徒さんがいました。
大丈夫かなあと見ていましたが、やはり、かかとが不安定になり足がグラグラと揺れ、ペダリングがスムーズにいかずに音が濁ってしまっていました。
長くピアノを弾いている私でも、底が薄いもので、ヒールの低い靴でないと、ペダリングは相当難しく、音が濁らずに演奏することは至難の業となります。
また、小さい生徒さんで、発表会に慣れていない生徒さんの場合、お辞儀の練習は必須だと思いました。体はお辞儀をしていても、顔を下に向けていないと、顔が前に突き出ている体勢になり不自然に見えます。
きっと、ご家族の事が気になって、じっと見ているのだろうと、少しほほえましくも思いますが、舞台上での立ち振る舞いとしては、きれいではないので、きちんとしたお辞儀は指導する必要があると改めて感じました。
他にも、演奏を聴く事の指導も必要と思いました。
出番が終わって、疲れてしまうのでしょうが、他の方の演奏を聴く事は、今後の演奏の勉強にもなります。自分よりも少し年上のお兄さん、お姉さんの演奏は、一番身近な目標になるものです。
また、お客様としてコンサートを聴くという、演奏会でのマナーのよい体験にも繋がります。
来年の発表会では、今回の反省も踏まえて、より良い発表の場と学びの場にしていきたいと思いました。
(この記事は、第201号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、夏の発表会に向けた連弾の練習風景です。
いよいよ、お子様の発表会まで2週間を切りました。レッスンも次回が最後のレッスンとなります。
生徒さん方も、熱心に練習をされているようで、1週間で驚くほど上達されています。
今回の発表会では、初の連弾に挑む生徒さんがいます。
連弾は、1台のピアノを2人で演奏します。
ピアノを弾くという意味では、1人で弾く時と、それほど変わらないように思えますが、実際にやってみますと、かなり違います。
たとえば、座る位置も、1人で弾く場合は、椅子を鍵盤の真ん中に置いて座りますが、連弾の場合、当然ながら椅子は2つ置きますので、座った時に、目の前にある鍵盤の位置が変わります。目の前の光景が変わるので、慣れないとかなりの違和感を感じます。
楽譜の見え方も当然異なり、高い音の方に座った場合(高音部を弾くプリモと言います)には左寄りに、低い音の方に座った場合(低音部を弾くセカンドと言います)には、右寄りに楽譜が見えることになります。
少し進んでいる生徒さんですと、ペダルを使用するため右足は常にペダルにかけている状態になりますが、これも連弾になりますと違ってきます。
高い音の方に座るプリモの方は、ペダルを使用しませんので、常に両足を床に付けていますが、低音部を弾くセカンドの方は、右足を、右斜め前に伸ばして、ペダルを踏む状態になります。普段よりも、かなり踏みにくい体勢になりますね。
もちろん、演奏も1人で弾く時とは、かなり変わってきます。
その中でも、「合わせる事」と「音楽全体のバランス」を整える事は、大きな難問となります。
「合わせる事」とは、演奏の出だしやフレーズの終わり方などの間の取り方、だんだんゆっくりにするところなどの速度が挙げられます。
ちょっとした間や速度を変化させる場合、弾く方それぞれに間の取り方やスピード感がありますから、気を付けて合わせないとバラバラになります。
目に見えるものではないので、お互いに「この位」という感覚を掴んで、あとは練習で慣れていくことになります。
出だしについては、どちらかが拍子をとったり、「せーの」というちょっとした合図を送って、弾き始めることになります。
「音楽全体のバランス」は、もっと難しい問題かもしれません。
自分で弾いた音以外に、相手の弾いた音もよく聴いていないとバランスがとれません。
2人で弾いた音の中で、メロディーが最もよく聴こえる様にして、伴奏はやや控えめに、けれどもベースは少し出した方が安定感が出るなど、音量のバランスは、演奏中ずっと気を付けることになります。
しかも、高音部のプリモが常にメロディーとも限りませんので、ますます難しくなります。
そして、譜めくりの問題もあります。
数ページという長さの曲を弾く場合、楽譜をコピーして繋げて、譜面台に広げて見ながら弾く事が多いかと思いますが、連弾の場合は同じようにできません。
見開き状態で、高い音域を弾くプリモの方は、常に楽譜の右ページだけを見て弾き、低音部を弾くセカンドの方は、常に左ページの楽譜を見ながら弾く事になります。
ページをめくっても、ずっと同じ状況になりますので、1人で弾く時のように、楽譜をコピーして広げてしまうと、どこを見て弾くのか分かりにくくなってしまいます。
そのため、連弾の場合、弾きながらページをめくるか、他の方に譜めくりをお願いすることになります。
今回の場合、その譜めくりを、生徒さんの妹さんにやってもらうことになりました。
もちろん、連弾の譜めくりは初めてなので、レッスンの時に練習するために来てもらいました。
まずは、少しゆっくりと弾いて、楽譜のどこを弾いているのか追いかけられるようにします。そして、譜めくりをしてもらいましたが、やはり遅れてしまい、うまくめくれません。
自分がピアノを弾いている時のことを思い出してもらい、弾いている場所よりも少し先の楽譜を見ている事を理解してもらいました。そして具体的に、この小節を弾く時に立って譜めくりの準備をして、最後の小節を弾く時に、めくり始める様にしました。
何回か部分練習を兼ねて、譜めくりをしてもらいますと、慣れたようで、自信をもってやれるようになりました。
単に2人でピアノを弾くように見えますが、細かく見てみますと、1人で弾く時とは相当違っています。
大変な事ばかり挙げてしまいましたが、もちろん1人で弾く時とは異なる楽しみもあります。
共同作業での音楽作りで、演奏の迫力も出てきますし、呼吸がぴったりと合った時の喜びや達成感は何とも言えません。
機会があればチャレンジしていただければと思いますし、連弾の演奏を聴くきっかけになればと思います。
(この記事は、第200号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、夏の発表会に向けた、生徒さんの様子です。
梅雨に入り湿気が多い季節ですが、最近はぐっと気温が上がり、初夏の様な陽気も感じられます。
夏が近づくと、ピアノ教室では、お子様の発表会が近づくという事になります。
今年は例年より少し早い開催となり、プログラムのチェックも既に終わり、記念品選びも終わりました。
お子様の発表会では、参加された生徒さんに記念品をお渡ししていますが、事前に、いくつかの選択肢の中から生徒さん本人に欲しいものを選んでもらっています。
生徒さんによって、記念品の好みが違ったり、描かれているキャラクターの好き嫌いもあるので、他の先生方でも生徒さん本人に選ばせている方が多いようです。
昔は、口頭で説明して、イメージを膨らませながら選んでもらっていましたが、最近は、スマホで写真を撮り、それを見てもらって選んでいます。生徒さんも、よりわかりやすく、好みのものが選べるようになったと思います。
さて、発表会に向けたレッスンの方は、6月に入った頃から、既にカウントダウン状態になっています。
いつも、私の方から「本番まで、あと○回しかレッスンが無いからね!」と、あえて少しプレッシャーをかけ、ラストスパートに向かうように話をしてきましたが、今年は、既に何回も発表会を経験した生徒さんばかりなので、自ら「あとレッスン何回?」と聞かれるようになりました。
それでも、私が残りの回数を答えますと、「ああ~っ・・・」と、思ったよりも回数が少ないことを実感する表情を浮かべたり、「うわ~、もうそんなに回数がないのか・・・、その前に期末テストもあるし」と、少し浮足立った様子を見せる生徒さんもいました。
しかし、今年は、生徒さんそれぞれが、これまでより、あまり背伸びをしない曲を選んだので、練習は順調に進んでおり、本番に間に合わないという事はなさそうです。
発表会の曲選びは、もう何十回も経験していますが、それでも悩みは尽きません。おそらく、他の先生方も同じだと思います。
発表会では、曲を「ある程度」きっちりと仕上げて、本番に臨むわけですが、その「ある程度」をどのレベルに設定するのかは、曲選びと直結しています。
生徒さんの中には、難しい曲にチャレンジしたい方もいて、私個人としては、その願いをなるべく叶えてあげたいと思っていますが、その場合には、少し完成度が緩めになる事もあります。事前に、その旨を了承して頂いてから、練習に入ることになります。
今回は、全員が結構しっかりと仕上げて、本番に臨めそうですが、今の段階で生徒さん自身が大丈夫そうだと思ってしまうと、成長が止まったり、既に完成していると誤解する可能性もあるので、あくまでも私の中だけに留めています。
本番1ヶ月前は、最もレッスンの集中度が高まり、自宅での練習も積極的になり、伸びる時期なので、この時期を有効に活用しなければなりません。
小さな生徒さんにとっては、ご家族の協力も大切なので、ご家族にもレッスンの様子や自宅での練習についてお話をして、ご協力を頂いています。
残り少なくなったレッスンを、毎回濃密なものにして、来月の本番では、生徒さんそれぞれが、思ったような演奏ができる様に願っています。
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