(この記事は、2021年1月18日に配信しました第314号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、年明けのピアノレッスンの様子です。
新年になって、半月が経ちました。ピアノ教室には、次々と生徒さん方がレッスンに来られ、束の間の再会を喜びました。
昨年入会された生徒さんは、ご自身のスキルを活かした年賀状を下さいました。クリエイティブなお仕事をされているだけあって、あっと目を引くような年賀状でした。「さすがですね。素敵な年賀状でした」とお話すると、「いやいや、そんな大したものではないですよ」と謙遜されていました。
80歳になって、初めてピアノを習いに来られた好奇心の旺盛さや行動力には頭が下がりますが、毎回これまでレッスンで終わった曲もご自宅で復習されていて、すごいなあと改めて思いました。
同じく昨年入会された留学生の方は、コロナの影響でやはり帰国できなかったそうです。年末年始は、難しい曲の譜読みを頑張って練習していたようでした。毎回レッスンの最後には、「勉強になりました。ありがとうございました」と礼儀正しくお礼を言われていて、私も見習わなくてはと思っています。
小学生姉妹の生徒さんは、お母様の実家に帰省できなかったと、残念そうに話していました。それでも、年末開催した発表会やお正月は楽しく過ごせたようで、ニコニコしながらレッスンに来ていました。お母様と今後のレッスンのスケジュールを話していますと、生徒さんが少し不満そうなお顔をしながら「お母さん、早くピアノ弾きたい」とレッスン開始を催促していて、可愛らしい様子に思わず笑ってしまいました。お正月でも普段と同じように、しっかりと練習をされていたようで、お二人ともレッスン中に何曲も仕上がりました。
小学生と中学生の姉妹は、一番上のお姉さんが大学受験の真っ最中ということもあり、年末年始は自宅で過ごされたようです。ピアノ発表会のDVDを作成して、出演された生徒さん全員に送ったのですが、元旦に届いたそうで、それを見ながら楽しいお正月になりましたと、お母様が嬉しそうに話されていました。
小学生の妹さんは、なかなかややこしい箇所のある練習曲も頑張って黙々と弾き、マル(合格)になりましたし、中学生のお姉さんは、早くも来年度の発表会に向けて曲を決め、楽譜を入手して練習を開始していました。これまで古典派やロマン派、近現代など様々な時代の曲を選んで弾いてきていますが、今回はなんとバロック期の作品に初挑戦です。中学校が1月4日からスタートで、お正月休みも比較的短かったようですが、バッハの名曲という事もあり、張り切って譜読みをしている様子でした。小学生の時には、テンポの速い曲や、かっこいい感じの曲が好みでしたが、中学生になると、ロマンティックな曲や一風変わった曲など、弾きたい曲の興味が広がったようです。これからどんな演奏になっていくのか楽しみです。
年末、ご家族が急に病院へ行くことになり、年末最後のレッスンをお休みされた生徒さんもいました。その後を気にしていましたが、年明けは笑顔でレッスンに来られ、ほっとしました。お話を聞きますと、ご家族が急に背中が痛いと訴えたそうで、年末ということもあり慌てて病院に付き添って行ったのだそうですが、たいしたことはなく湿布を出されただけで帰宅されたのだそうです。
「急いで病院に駆け込んだのに、湿布を出されただけで終わるなんて…」と苦笑いをされていましたが、「たいしたことがなかったようで、良かったですね」とお話しました。
生徒さんの中で最高齢の86歳の方は、年末のレッスンでは少し疲れている様子で、年賀状も、毎年元日に頂いていたのですが、今年は返信もありませんでしたので、体調が悪いのではと心配していましたが、笑顔でレッスンにいらっしゃいました。
「年賀状、ありがとうございました。今年は、無精しまして…」と言われ、「お元気そうで何よりです」とお話しました。毎日決まった時間に、1時間ピアノを弾く事を日課とされていて、ご年齢を考えますと、凄いなあと感心しています。先日は、草むしりの話で盛り上がりました。アパート経営をされていて、敷地内の草むしりをこまめにされているようです。「大変なのよ~」と話されていて、「私も小さい頃、よく草むしりをやりました。根っこから抜かないと、ダメなんですよね」と話しますと、「そうそう。こっちを抜いて終わったから、今度は別の場所をしますでしょ。それが終わると、前にやった場所からもう草が生えてるのよ。ホント、大変」とおっしゃっていました。お庭の掃き掃除などもまめにされているようで、日々の生活を丁寧にされている様子が伺えました。
昨年、念願のピアノを買ってもらった小学生の生徒さんは、年末開催した初めての発表会が楽しかったそうです。「あまり緊張しなかった」と、大物ぶりを感じさせました。
既に学校の授業が始まっていて、手紙の書き方を勉強したそうです。「先生に手紙を書いてきた」と渡してくれました。そこには、「いつも、ピアノをしてくれてありがとうございます。ピアノでゆびをうごかすだけで音が出るので、びっくりしました。ピアノをするのはたのしいです。」と書かれていました。
「お手紙書いてきてくれたの。嬉しいわ、ありがとう。指を動かすだけでピアノの音が出るって、本当にすごいよね。ピアノってイタリアの人が作ったんだよ」とお話をしました。入会された時から、事あるごとにピアノが好きとお話しされていて、その気持ちが変わっていないところが凄いなあと思っています。
お母様は、赤ちゃんの世話で忙しい中、レッスンを欠かさず見学されていて、自宅での練習も見守られていることが、良い影響を与えているように思います。
まだ、レッスンが始まっていない生徒さんもおられますが、みなさん、お元気で年末年始を過ごされたようで、まずはほっと安心しているところです。
まだまだコロナは心配ですが、感染予防対策をしっかりと行って、安心安全に楽しくレッスンができるように頑張りたいと思います。
(この記事は、2021年1月4日に配信しました第313号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、お子様のピアノ発表会のお話です。
毎年6、7月に開催していたお子様の発表会が、新型コロナウイルスの影響で延期となり、2020年最後のレッスンが終わった後の12月末に、やっと開催できました。
一時期は、延期ではなく中止もやむを得ない状況でしたが、感染対策を徹底し、生徒さんやご家族にもご協力を頂いて、どうにか開催し無事に終えることができました。本当に、ほっとしています。
かなり異例の事だらけで、戸惑う事も多々ありました。
まず、コロナの状況によっては、再度の延期や中止もあり得るため、プログラムを事前に作ることができず、発表会会場の地図をメールに添付して生徒さんに送ったり、お友達や祖父母の方の招待もご遠慮いただきました。
通常、1回のステージで20~30名が出演しますが、今回は最大10名までとし、集合時間も設けず、自分の出演に間に合うように来ていただき、記念品も1種類のみにして、開場に着いた時点でお渡ししました。演奏後の集合写真や講師演奏も無しで、生徒さんは、演奏が終わったら即解散という、だいぶ味気ない感じではありますが、密を避けるための運営となりました。
それでも、生徒さんは、これまでと変わらず熱心に発表会に向けた練習をされてきましたし、ご家族の皆様も楽しみにされていたと思います。
当日は、開演10分前くらいから、ぽろぽろと生徒さんが到着され、初めて発表会に参加される生徒さんには、開演前に、舞台に上がるタイミングやお辞儀の位置などを確認してもらいました。
その際、初めて参加される生徒さんのご家族と、今回2回目のご家族が対面して、驚いている場面に遭遇しました。ご近所さんとのことで、「いつから習っているの? 何曜日にレッスンに行っているの?」と話が弾んでいました。曜日が異なるので、ピアノ教室で会ったことがなく、発表会で突然会ってビックリしたようです。私も、「世の中、狭いものですね」と話していました。
発表会は、今回も他の先生との合同開催です。初めて組む先生でしたが、コロナの影響もあって、事前にお目にかかることもなく、メールで打ち合わせをしてきました。出演される生徒さんの名前やふりがな、演奏曲目、足台や補助ペダルの有無および高さの指定、当日のタイムスケジュール、役割分担などです。お互い、もう何年もピアノ講師をしているので、メールでもテキパキと進み、特に問題はありませんでした。
当日は、定刻通りに発表会が始まり、幼稚園生の生徒さんの演奏からスタートです。
この生徒さんは、前回(2019年夏)の発表会に、お客様としてお姉様の応援に来ていましたが、今回はいよいよご自身が出演者になります。
やや緊張した面持ちで登場され、お辞儀の時間が長かったので、少々心配しましたが、いつも通りに弾き始めていました。途中で、これまで一度も間違えたことのない場所でミスをしてしまい、何回かその個所を弾き直していましたが、その後は順調に弾いていて、2曲目では最後の部分で両手とも1オクターブ以上音が飛ぶ箇所があり、一番の難関なのですが、慎重に鍵盤を見て音を確認し、しっかりと弾くことができました。終わってみれば、上出来です。
もう1名、初めて参加される生徒さんも、上手にできました。この生徒さんが弾いた曲は、左手の伴奏が常に同じリズムを刻んでいる音楽です。このようなタイプの音楽は、練習して弾けるようになってくると、楽しくなってしまうのか音楽に乗りすぎてしまい、どんどん早くなってしまう事がよく起こります。この生徒さんも、かなり早い段階で弾けるようになったのですが、やはりテンポの制御が難しく課題となっていました。しかし、本番が近づくにつれてテンポが安定し、本番でもとても良いテンポで弾く事が出来ていました。
次は、今回が発表会2回目の生徒さんです。前回(2019年夏)は二人のお姉さん方と3人6手で弾きましたが、今回は一人で2曲にチャレンジします。だいぶ前からお気に入りの曲があり、それにもう1曲追加しました。
レッスンでは、とても楽しそうに弾いていましたが、発表会本番でも、いつもと変わらない表情で弾き始め、「落ち着いているなぁ」と思ったのですが、曲の後半に、音階の最初の音を間違えてしまい、音階が全部ずれてしまいました。「あ~っ」と心配しましたが、次の小節ではしっかり立て直して、どんどん続きを弾く事ができました。大得意の2曲目は、抜群の安定感でとても上手に弾けていました。
最初に登場した生徒さんのお姉様は、今年大変有名な曲を選びました。開演前に、「暗譜は出来ているんだけれど、安心して弾けるように楽譜を見たい」と話しますので、「暗譜できているから大丈夫じゃない?」と話したのですが、いつもと違って神妙な面持ちだったため、これ以上不安な思いをさせるのは良くないと思い、「良いわよ。そうしましょう」と返事をして、楽譜を見て弾く事になりました。
本番では、最初のフレーズからきちんと表情をつけて弾けていて、ペダルもきれいに使えていました。速いパッセージも頑張って弾けていましたし、かなり健闘したと思います。
最後に演奏した中学生の生徒さんは、小さい頃から何回も発表会に出ていて、本番を何回も経験していますので、さすがに落ち着いた表情で堂々と演奏していました。弾くときに、鍵盤の手前ぎりぎりの場所で弾いてしまったため、鍵盤から指がずり落ちてしまうというハプニングがありましたが、それ以外は上手にまとめていたと思います。
スムーズな進行ができ、あっという間に発表会が終わりました。即解散という事でしたが、一言ご挨拶をしに生徒さんのところへ行き、健闘を称えることができました。
年末差し迫った時期の開催は、何かと慌ただしく生徒さんもご家族も大変だったかと思いますが、1年の良い締めくくりとなったと思います。
今年2021年の発表会では、これまで通りに笑顔で集合写真を撮りたいものです。
明けまして、おめでとうございます。今年も、よろしくお願いします。
昨年は、コロナの世界的大流行で、大変な影響を受けましたが、ベートーヴェンのメモリアルイヤーでした。
今年2021年は、ジョスカン・デ・プレが没後500年、サン・サーンスが没後100年、ストラビンスキーが没後50年、アストル・ピアソラが生誕100年になります。
ジョスカン・デ・プレは、バッハよりも古い時代のルネサンス期を代表する音楽家で、多くの宗教的な音楽を作曲しました。クラシック音楽の歴史には、必ずと言ってよいほど名前が挙がる大家です。
サン・サーンスは、フランスの作曲家で、オルガニストとしても活躍しました。代表作は、組曲「動物の謝肉祭」の中の「白鳥」が有名です。2歳でピアノを弾き、3歳で作曲をして、10歳で演奏会を開き、13歳でパリ音楽院に入学、16歳で交響曲を作曲するなど、モーツァルトと並ぶと言われるほどの神童だったそうです。フォーレなども育て、当時パリのオルガニスト最高峰であるマドレーヌ教会のオルガニストも務めました。
サン・サーンスについては、コン・ヴィヴァーチェの以下のページもご参照ください。
・ ピアノのしらべ:サン=サーンス作曲「白鳥」
・ ピアノ・コンシェルジェ:サンサーンスの白鳥、きれいに聞こえる楽譜は?
ストラビンスキーは、ロシアを代表する作曲家で、20世紀を代表する音楽家でもあります。「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」が代表作です。
アストル・ピアソラは、アルゼンチンの作曲家で、「リベルタンゴ」が大変有名です。タンゴとクラシックやジャズを融合させ、独特の世界観を持つ音楽作りをしてきました。
今年は、非常に古い時代から近代の新しい音楽家まで、幅広い世代の音楽家がメモリアルイヤーになっています。より深めるもよし、新しい音楽に出会うもよし、様々な楽しみ方ができそうですね。
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