今回は、最近ピアノのレッスンに通われることになった方のお話です。

3・4年前からレッスンをされているAさんのご紹介で、ピアノを始めることになりました。この方は、小さい頃ピアノを少し習っていたそうですが、戦争の空襲でピアノが焼けてしまい、それからずっと弾く機会がなかったそうです。

ご家族の介護を長くなさっていたり、亡くされたりと大変なご苦労をされたそうで、それを知っているAさんが、気分転換にピアノを弾くことをお薦めされたそうです。

小さい頃にピアノを習っていた時は、ピアノの先生が、とにかく怖くて嫌だったそうですが、それでもピアノはお好きだったそうです。

Aさんの勧めで、納戸の奥に閉まっていたピアノを数十年ぶりに出して、メンテナンスをし、ピアノの体験レッスンにいらっしゃいました。ご高齢なのですが、とてもおしゃれをして来られましたので、よほどピアノを楽しみにされていたんだなあと感じました。

昔ピアノを少し弾いていたとはいえ、やはり相当のブランクがあったので、片手づつ使って弾く曲からレッスンを始めました。しかし、弾き始めますと、初めから綺麗な手の形で弾かれているのです。

その旨、お話をしますと「昔、ピアノの先生にものすごく注意されたのよ」とおっしゃるので、「その時のご苦労がこうしてまた役に立って良かったですね」とお話しました。すると、笑顔で、「どこでこうして役立つか、わからないものね」とおっしゃっていました。

また、私が一緒に伴奏を弾くと、お顔をとても輝かせて「素敵ねえ~」と喜んでいたのが印象的でした。

後日、この生徒さんをご紹介して下さったAさんがレッスンに見えた時、「先日ね、あの方とお会いしましてね、[先生の伴奏が入ると見違えるように、綺麗になるの]って、とても喜んでいらしたわ」とお話なさっていました。

この生徒さんは、弾けるようになりたい、憧れの曲をいくつもお持ちです。

この夢がいつ叶えられるのか、私も今からとても楽しみです。

「ピアノ教室の出来事」について

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