(この記事は、第194号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、ピアノのグレード試験のお話です。
先日、小学生の生徒さんが、ピアノのグレード試験を受験しました。
英検や漢検(漢字検定)など、世の中にはいろいろな検定がありますが、音楽やピアノにも検定があります。以前お話ししました、クラシックソムリエ検定も、その1つです。
ピアノの検定では、ヤマハグレード(音楽能力検定試験)やピティナステップなどが有名ですが、今回、ヤマハが最近新しく始めたグレードを生徒さんが受験することになりました。
「ピアノ コンサート グレード」というグレードです。
このグレードでは、課題曲と自由曲の2曲を演奏します。
課題曲は、かなり多くの曲が指定されていて、その中から自由に1つ選ぶことができるので、他の出演者と曲が被ってしまう確率は低いように思います。
グレード試験は、小さいサロンで行われました。会場は、公開されており、舞台上のお花の有無や受験者の服装を除けば、ピアノの発表会さながらという感じでした。
開始時間近くに会場に入りますと、思った以上に多くの観客で満席状態となっていて、たいへん驚きました。よく見ますと、週末という事もあるのか、受験される方のお父様も多くいらしていました。
グレードは、合否や演奏の出来栄えを評価するスコアがつけられる場なのですが、妙な緊張感はなく、暖かい雰囲気なのが意外でした。
おそらく、コンクールのように参加者をどんどん絞って落とす事が目的でないところが、会場の雰囲気に現れているのでしょう。
演奏前に生徒さんにお会いしましたが、通常のレッスンの時と何も変わらない様子でした。どちらかというとクールなタイプの生徒さんなので、緊張があまり表に出ていないだけかもしれませんが。
そして、演奏です。司会者が、演奏者の名前や受験するグレード、本人のコメントを代読してから演奏が始まります。
1曲目の課題曲では、最初から曲の雰囲気をよく表現できていて、メロディーラインもきれいに出せていたと思いました。
2曲目の自由曲では、軽やかな曲想に乗ってテンポよく弾けていましたが、同じ音を連続して弾く連打で音が抜けてしまったり、強弱が少々平たんになってしまったり、ペダルが若干長かった所があったりと、細かいミスがあったのが惜しいところです。
演奏後に生徒さんに感想を聞きますと、やはり連打で音が抜けてしまった所を悔しがっていました。
これまでのレッスンでは、殆ど音が抜けていなかったので、珍しいと思いながら聴いていたのですが、生徒さんに聞いてみますと「ピアノの鍵盤が重くて、弾きにくかった」との事でした。
確かに、鍵盤が重いと、連打は結構苦労しますので、生徒さんの気持ちがよくわかります。
ピアノは、自分の楽器を持ち運ぶことができないので、その場に置いてあるピアノを使用することになります。
発表会では、場合によってリハーサルがある事もありますが、グレード試験やコンクールなどでは一切ありませんので、本番に弾いてみて、初めてピアノの鍵盤の重さや弾きやすさ、またペダルの重さや深さがわかることになります。そして、弾いてみると、想像よりかなり違うことも少なくありません。
その違いに動揺することなく、上手に楽器に合わせて演奏することも本番では求められますし、大切なことになってきます。
生徒さんは、かなり良いスコアで合格することが出来ましたが、審査員の先生方の講評では、やはり連打の所の指摘がありました。
良い結果に終わりましたが、今後の課題も見えてきましたので、夏の発表会に生かしていければと思いました。
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