今回は、大人の生徒さんの練習風景についてお話をいたします。
大人の生徒さんは、大きく2つのグループに分けられます。小さい頃にピアノを習っていた方と、初めてピアノを習う方です。
現在、大人の生徒さんが通える音楽教室やピアノ教室はたくさんあり、色々なレッスンのやり方をされていると思いますが、私のクラスでは、基本的には生徒さんの弾きたい曲をレッスンするようにしています。
しかし、初めてお教室にいらした未経験者の方に、「好きな曲を弾きましょう」というのは難しいので、まずは大人の方用のピアノ教材を使って、それに沿ったレッスンをしています。
楽譜の読み方から指使い、弾き方まで、ピアノを弾く時に基本となるものを身につけて頂く目的です。
片手づつ使って、8小節の曲を弾くところから始めて、音がだんだん増えたり、両手で弾くようになったり、一度に複数の音を弾く和音が出てくる曲を弾くようになっていきます。
憧れのピアノを習い始めた喜びと、曲が弾けるようになる達成感、次々と新しいテクニックなどを学んでいくステップアップは、なんとも言えない充実感を味わえます。
また私は、お子様のレッスンだけではなく、大人の生徒さんのレッスンでも、1つの曲を仕上げて終えますと、赤いペンで花マルを書くのですが、これも実は大変好評です。(お子様は、花マルよりもご褒美のシールを自分で選んで貼ることの方が好評なのですが。)
大人になりますと、お仕事以外で人から評価をもらうことは随分と少なくなるものです。特に女性の場合は、そのような方が多いかと思います。
人からの評価というものは、あまり良いイメージがないかもしれませんが、ご自分の練習の成果を見て知ってもらえたり、それについて感想や意見を聞けたり、良い面もたくさんあると思います。
なにより、これまでの努力が認められ、褒められることは、本当に嬉しいものだと思います。また、ご自分が小学生の時に、学校の先生が「よくできましたね」と宿題に花マルを書いてくれた記憶が蘇り、童心に返った気分にもなるようです。
遊びに来たお孫さんに「おばあちゃんの楽譜に、花マルが書いてある~」と言われたといって楽しいコミュニケーションのひと時を過ごされた方もいらっしゃいました。
このように、楽しく着々と進んでいきますが、その時期を超えて2冊目の教材に進んだ頃に、よくこのようなお話をされます。
「楽譜をパラパラと見ていたら、どんどん難しい曲が出てくるでしょ。私、こんなの弾けない気がする」
ピアノはやはり技術を身につけるという面もありますので、なかなか難しいと感じることもあるかと思います。
そのような時は、まずは、多くの方が同じことを話されている事、そしてもう一度、初めてピアノのレッスンを開始した頃のことをお話して、ここまで進んできた事を思い出していただきます。
「そのことは、みなさん同じことをおっしゃっていますよ。そうですね、確かに音符は多くなりますし、曲も長くはなっていますから。でも、ピアノを始められた頃は、今弾いている曲が物凄く難しく見えたのではないですか? でも、今実際に弾いているのですから、すごくよく進んでいますよね。
急激に難しくなる訳ではないので、今まで通りに、焦らず進んでいきますと、ちゃんと弾けるようになりますよ。そんなに心配されなくても大丈夫ですよ」
ピアノは、アンサンブルでも楽しめる楽器ですが、やはり一人で楽しむことがとても多いかと思います。
独学でピアノを弾くとなりますと尚更だと思います。視点を変えたり、他の方の話を聞くことで、不安が取り除かれたり、モチベーションがアップすることも多々ありますので、これからも色々な場面で色々な方のお話が出来たらと思っています。
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