(この記事は、第216号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回の「たのしい音楽小話」は、ここ数週間の間に音楽業界に飛び交った話題のお話です。
まずは、クラシックの作曲家の中で思った以上に人気があり、一度好きになるとハマってしまう方も多いバッハにまつわる話題です。
J.S.バッハが作曲した歌曲「おお永遠、そは雷の言葉」の直筆譜が、当時初演されたドイツのライプツィヒに戻ることになり、記念式典が開かれたそうです。スイスの財団が所有していたものを、ライプツィヒ・バッハ資料財団が198万ユーロ(約2億3800万円)で購入したそうです。
作曲家の直筆譜は、作曲の過程が見えたり、曲の解釈や演奏のヒントになるので、大変貴重かつ重要な資料です。28ページもある作品だそうですが、これから研究が進み、バッハの音楽への理解がさらに深まるといいですね。
次は、グラミー賞の話題です。名前を聞いたことがある方も多いと思いますが、アメリカの音楽界で最高の栄誉とされている、ナショナル・アカデミー・オブ・レコーディング・アーツ・アンド・サイエンス (NARAS) が主催する音楽賞です。映画業界の「アカデミー賞」と同等に扱われるほど、現在では世界的に権威ある賞になっています。
これまで、日本人ではオノ・ヨーコさんや坂本龍一さん、上原ひとみさん、小澤征爾さんなどが受賞されています。
そして今年、ピアニストの内田光子さんが、ドイツのソプラノ歌手の伴奏を務めたアルバムで見事に受賞されました。内田光子さんは、2011年にもモーツァルトのピアノ協奏曲のアルバムで受賞されたので、日本人では初の2度目の受賞となります。
そして最後に、音楽教室業界に激震が走った話題です。
日本音楽著作権協会(JASRAC)が、大手の音楽教室など楽器の演奏を学ぶ教室から著作権料を徴収する検討をしているという話です。しかも、来年1月から徴収することを考えているそうです。
公衆に聴かせるために演奏する「演奏権」は、その音楽を作詞した人と作曲者が占有するので、これまでにもコンサートやカラオケ、ダンス教室、フィットネスクラブなどでの演奏に使用料を徴収してきましたが、この演奏権が、音楽教室にも当てはまると判断し、日本音楽著作権協会(JASRAC)が管理する楽曲について使用料を徴収したいという事のようです。
当然ながら、音楽教室業界は猛反発しており、ヤマハをはじめとする音楽教室各社が「音楽教育を守る会」を立ち上げ、対応を協議しているそうです。音楽教室での練習や指導のための演奏は、演奏権に該当せず、著作権料の徴収は、文化の発展に寄与するという著作権法の目的にも合致しないと主張しているそうです。
個人的には、教室に通われている生徒さんのほとんどは、個人の楽しみとしていらしていますので、公衆の場で弾くのは発表会のみという方がほとんどです。もともと発表会などは該当しないので、普段のレッスンに関しても該当しないのではと思っています。
もし仮に著作権料を支払う事になった場合、その使用料を生徒さん方に負担して頂く事にもなりかねず、そうなりますと日本音楽著作権協会(JASRAC)の楽曲を外して曲目を選ぶという事も起こりうるのではないかと心配しています。
音楽教室業界に大きな影響を及ぼすことにもなりますので、今後の推移を注意深く見守りたいと思います。
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