(この記事は、第248号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、発表会に向けた生徒さんの様子です。
新学期が始まりゴールデンウィークも過ぎて、ようやく新しい生活のリズムに慣れてきた時期かと思います。お子様の生徒さんは、発表会に向けて毎週熱心にレッスンに通っています。
以前もお話しましたが、今年は予想外に発表会の時期が早くなってしまい、生徒さんも私も大変驚きました。一番驚いているのは、もしかしたら生徒さんのご家族かもしれません。
日々、発表会本番までのカウントダウンをしている状況で、レッスンでも挨拶と共に、「今日のレッスンを入れて、本番まで○回しかレッスンが無いからね」とカレンダーを一緒に見ながらお話をしています。話だけではなく、カレンダーを見るというのが効果的で、小学生でも本番が刻々と迫っている事がよくわかるようです。
「うわっ、マズイ・・・」と小声で呟く生徒さんもいました。
レッスンの集中力も普段以上に高まり、みなさん熱心にピアノを弾いています。とにかく本番までに仕上げて、余裕をもって弾いていただきたいので、レッスンのペースも普段に比べてハイペースになっていると思います。
今回、私のクラスでの発表会が初めてとなる小学生の生徒さんも、ペースを上げてきました。
この生徒さんは、小学校3・4年生になってからピアノを始めました。お子様の場合、小学校入学前から始める方がほどんどなので、珍しい生徒さんとなります。ご本人がピアノをやりたいと、ご家族にお願いしたそうです。
進学校に通っているので、日々の大量の宿題やテストの勉強に忙しく、ピアノの練習時間が思うように取れないようですが、発表会が近づいてきて、さすがにピアノの練習量が増えたようです。
楽譜を見てパッと弾けるタイプではないのですが、曲の構成や伴奏部分の音の進行など、少し理論的に話をしますと「なるほどね」と言って理解してくれます。
当初は、少し難しい曲を選んでしまったかなと思いましたが、理解力が高く、ちょっと間違えてもすぐに弾きなおして、黙々と部分練習ができる集中力もあるので本番には間に合いそうです。生徒さん自身も、「弾けそう」という手ごたえが掴めてきたように思います。
他の、これまでに何回も発表会に参加してきた生徒さん方も、本番に向けて積極的に準備を進めています。
先日のレッスンの時に、バックを開けた瞬間、「楽譜、忘れた!」と私以上に自分自身で驚いていた生徒さんがいて、「今からお家に取りに帰る?それでいいけれど、○○ちゃんのことだから、全部暗譜できているんじゃないの? ちょっと弾いてみたら?」とお話しますと、思った通り全て暗譜で弾けていました。
暗譜でレッスンをしたのですが、暗譜だからこそのメリットもあり、出てくる音に対しての集中力がとても高まり、メロディーなどを美しく歌わせたり、全体の音量のバランスを整えたり、曲想がガラッと変わる所の変化も、普段以上に生徒さん自身が敏感に感じ取れている気がしました。
この春、卒業と入学という2つのイベントを経験した生徒さんは、新しい学校生活を楽しく過ごしているようです。部活などもが決まるまでは、何回かレッスンをお休みされたので、忙しくしているのだろうと思いつつ、発表会に間に合うのか内心ハラハラしていました。しかし、お休み後のレッスンでは、「暗譜はしてきた」と言って最後まで通して暗譜で弾けていました。
「必死で暗譜した」という事なので、確かにゆとりはなく、音符を忘れないように懸命に弾いていたという感じですが、そろそろ暗譜をする時期というのを知っていて、自分で計画的に練習をしていたようです。
この生徒さんの弾く曲は、とてもロマンティックで優美な雰囲気の曲なので、曲に合った弾き方を重点的にレッスンしました。テンポを少しゆっくりにしたり、逆に少し速めたり、音の強さのバランスなども細かく指摘して、部分練習なども行い、レッスンの間に随分と良い雰囲気で弾けるようになってきました。
発表会の曲を決めて、最初のレッスンで全て弾けるように譜読みをしてきた生徒さんは、かなり早い段階から、細かい練習をすることができました。やはり譜読みを早く済ませますと、音楽の表現について時間を多く使えるので有利ですね。
今回の曲では、初めて弱音ペダル(ウナ・コルダ。グランドピアノの一番左にあるペダル)とダンパーペダル(一番右にあるペダル)を同時に使用するところがあり、その話をした時には、「えーっ?!」と驚きを隠せない様子でしたが、2週間後には違和感なくすんなりと使用できるまでになっていました。
和音の変化が少し面白い作品を弾きますので、レッスンの時には和音の進行について弾きながら説明をしたところ、あまり気が付かなかった音の響きにも耳を傾けることができたようで、その後の演奏にも多彩な和音の響きが表現できたように思います。
私自身も、今回はもう1人のピアノの先生と連弾をすることになり、日々の練習の他に、2人で合わせる練習もしています。曲はよく知っているのですが、実際にきちんと練習した事はなかったので、とても新鮮な気持ちで練習をしています。
連弾は、1台のピアノを2人で演奏するもので、1人の時よりも華やかさやゴージャス感が出せるものです。私はセカンドという低い音のパートを弾く事になりました。ずっと伴奏というわけではなく、ところどころではメロディーも弾いていきます。
連弾では、常に体が接近して弾くだけでも、なんだか窮屈な感じがするものですが、それだけではなく、もう一人の方の左手と私の右手を交差させて弾く所があり、弾きながら手がぶつかりそうになったり、実際にぶつかってしまう事もありました。
大変なのはそれだけではなく、セカンドはペダルも担当しますが、1人で弾いている時のペダルとまるで違うのです。何が違うのかと言いますと、自分が弾いていない所もペダルを踏む必要があるのです。プリモという高い音を弾く人の音や、全体としての音楽が美しく響くように、自分が休符で何も弾かない所でもペダルだけは踏むことになります。
普段の練習は、1人なので、自分の音だけしか鳴っていませんが、連弾は2人で弾いていて、全体の音楽の響きを意識しないと、おかしなペダルになってしまうので責任重大です。
2人で合わせる練習を重ねてきますと、お互いの呼吸が合ってきて、演奏がピッタリと重なって調和をしてきて、段々と手ごたえを感じるようになってきます。お互いに意見やアイディアをどんどん話して、部分練習をして、共に音楽を作っていく事は、1人で弾くのとはまた違った楽しさがあるものです。
大変有名なバレエ音楽を弾くので、生徒さん方も楽しく聴いていただければと思っています。
発表会本番まで残り僅かですが、時間を大切に、生徒さん方が、それぞれ成長していければと思っています。
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