(この記事は、第259号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、大人の生徒さんの発表会についてです。
先日、大人の生徒さんの発表会が行われました。年々参加者が増えていて、今では9月下旬から11月上旬までが発表会の時期になっています。
今回は、他の2名の先生と合同で行うことになりました。
大人の発表会は、ピアノだけでなく、いろいろな楽器の生徒さんも出演されます。これまでも、ヴァイオリンや声楽、フルート、三味線の生徒さん方と一緒に行ったことがあります。今回は、ピアノとクラリネットの生徒さんの合同開催です。
開演の1時間前から準備を行うとの事で、私もその時間に会場入りしました。
今回の発表会の責任者と受付スタッフ、カメラマンは既に到着していて準備を行っていました。私も早速、ピアノのチェックなどを行いました。
少しピアノを弾いてみますと、どのような状態なのかわかるので、その情報を本番前に生徒さんにお話して、心構えをしていただきます。
今回のピアノは、それほど大きいわけではなく、ピアノの大きさに圧倒されてしまうことはなさそうですが、低音が結構鳴るので、気を付けないと低音のボリュームが出すぎてしまう可能性があります。それ以外にも、会場自体がほとんど響かない事や、椅子の調整がしにくい事などがありましたので、他の先生方にも話して、出演される生徒さんに伝えていただきました。
開演30分前には、全体のミーティングを行いました。
参加者の欠席連絡や曲目などの変更点、発表会全体の流れのチェック、譜面台や椅子などの有無、舞台に上がるときの動きの確認、出演する生徒さんの名前の確認や演奏前のコメントの確認などを行いました。
その後、いったん解散となり、着替えを行ったり、会場に到着した生徒さんの出迎えや、会場のピアノの状態などをお話しすると、あっという間に開演時間になりました。
主催者のあいさつや全体の流れなどの説明の後、いよいよ発表会が始まりました。
トップバッターは、私のクラスの生徒さんでした。
プログラムの下刷りができたときに、「えーっ、1番?」と驚きを隠せなかった生徒さんですが、にこやかな表情で舞台に上がっていました。
本番前の最後のレッスンから当日まで、結構日にちが開いていたので、大丈夫かなあと思っていましたが、案の定、結構緊張したようで、最初の半ページくらいで思わぬミスが連発してしまいました。
生徒さんご自身も焦ったようですが、なんとか乗りきり弾き進めていきますと、段々と調子が上がってきて、レッスンの時にいつも遅くなってしまうところがとてもスムーズに良いテンポで弾くことができ、演奏を終えることができました。
別の今年の春に入会された生徒さんは、初参加とはいえ、普段と変わらない表情で会場入りしていて、あとからご家族も応援に駆けつけていました。
これまで何回も「暗譜が苦手」とおっしゃっていて、レッスンで暗譜で弾いてみても、途中でわからなくなってしまったり、紛らわしい箇所で音が入れ替わってしまったりと確かになかなか苦戦されていました。
今回の発表会は、単に参加するだけでなく、来年春に行われるグレード試験の予行練習も兼ねていますので、なんとしても暗譜をしっかりマスターする必要があります。なんとなく指の動きだけで覚えるのではなく、頭を使って覚えることをレッスンで練習してきました。
本番の演奏では、普段とあまり変わらず落ち着いて弾き始めていて、レッスンの時よりも音の強さのバランスが整えられていて驚きました。途切れやすいフレーズも繋げて弾くことができていたり、難しいテクニックのところも難なく弾けていて、全体的には思った以上に良い出来となりました。
ただ、1オクターブ以上の和音を弾くときのペダルのタイミングが少し遅く、低音の音が響かなかったり、問題の暗譜も、やはり音を入れ替えてしまっていたところがあったり、最後の方で拍子感が少し不安定になってしまったりと、まだ問題点もありますので、今後のレッスンで改善していけたらと思います。
他のクラスの生徒さんでは、60代くらいで発表会初参加の生徒さんが、出だしの高音がなかなか思うように出せず、焦りの表情が見えましたが、なんとか最後まで演奏することができました。
また、ショパンの英雄ポロネーズを弾いた生徒さんもいました。この時期の発表会は、大人になってから楽器を始めた生徒が多数参加されるので、その中で、かなり難度の高い曲を弾かれたので驚きました。発表会後にレッスン担当の先生に聞いたところ、小さい頃からずっとピアノを弾き続けてきた生徒さんでした。舞台上でも落ち着いていましたので、本番も数多く体験されてきたのかもしれません。
出演された生徒さんの演奏が終わり、いよいよ講師演奏で、私の出番となりました。
大人の方の発表会で演奏するのは結構久しぶりなので、多少緊張しましたが、なんとか終えることができました。
生徒さん方と同じく、良かったところもあれば、改善点もいろいろとあぶりだされ、以前同じ曲を本番で弾いたときもイマイチだったなあという箇所も思い出しました。来年、同じ曲をまた本番で弾こうと思っているので、もっと練習を工夫して強化しなくてはと痛感しました。
以前、私が習っているピアノの先生が、「お金を払って、本番で恥をかくわけ。でも、それで上手になっていくのよ」とおっしゃっていたことを思い出しました。
「確かにそうだなあ」と感じると同時に、本番という体験が上達に繋がるのだと思えば、特に怖がる必要もないのかなと、腑に落ちた感じもしました。
これからも生徒さん方と一緒に、怖がることなく、積極的に本番にチャレンジしていきたいと思いました。
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