(この記事は、第283号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、私が受けているレッスンとピアノ・リサイタルのお話です。

普段は、ピアノ教室で生徒さんのレッスンを見させていただいていますが、定期的に学生時代の恩師のもとに、レッスンを受けに足を運んでいます。

学生の時は、弾きたい曲を弾くというよりも、定期試験の課題曲のような、弾かなければならない曲をこなしていく感じでしたが、社会人になりますと、コンクールに参加する際の課題曲を弾く以外は、自由に曲を選んで弾くことが圧倒的に多くなります。

学生時代と違って、自分で先生に連絡をして、日時を決めさせていただき、レッスン代をお支払いしてレッスンをお願いしていますから、自ずと積極性も増すものです。

また、年齢が上がるにつれて、自分に対して厳しい意見を言ってくれる人がいなくなりますから、レッスンで先生にいろいろとご指摘いただくことのありがたさも感じます。とは言っても、「あなたねえ…」と半ばあきれ気味に言われてしまう事がありますと、ありがたさというよりも、「しまった」と思いますが。

先日もレッスンに伺いましたが、その日は、新しい曲を初めてみていただきました。

自分では、後半はともかく、まずまず良い感触を持っていたのですが、いざレッスンが始まりますと、思ったようには弾けず、音読みが間違ってる箇所もあり、「今のは、絶対に音が違うと思うわよ」とか「あなた、この部分大丈夫なの?」と最後には心配までされてしまいました。

こうなりますと、冷や汗をかきつつ「すみません」と言うのが精一杯な感じですが、それでも最後まで、熱心に指番号や弾き方のアドバイスなどいろいろと教えていただきました。

学生時代と違う点は他にもあり、先生との距離感が変化しました。学生の時は、師匠と弟子の関係なので、レッスン以外のプライべートな話などはあまりしませんでしたが、今はレッスンの前後に、いろいろとお話しすることもあります。

先月レッスンに伺った際、次に弾く曲の話になり、2曲弾きたい曲があり迷っていたので相談しました。

先生は開口一番に、「こっちの方がいいわね。もう一つの方は、結構弾きにくいから」とおっしゃっていました。その時、ちょうどその迷っていた2曲両方を弾くリサイタルがあることを教えていただき、なんとチケットを先生からいただくことになりました。

リサイタルを行うピアニストは、先生の幼馴染で、小さい頃は同じ先生に習っていたのだそうです。まさか、先生から良い席のチケットをいただけるとは思わず、大変驚きました。

そして、先日そのリサイタルへ行ってきました。

この日は、天皇陛下の即位礼正殿の儀が行われる祝日で、リサイタルが行われるホールが、都内の大きなホテルのすぐ近くだったこともあり、警察官があちらこちらにいて、物々しい雰囲気でした。

ホール内は、木目の落ち着いた雰囲気ですが、天井には大きなシャンデリアがたくさん並んでいて、ゴージャスさもありました。天井がとても高いので、音もよく響きます。

座席は、舞台の中央に向かって囲むように並べられていて、ホールの端の席の人が、横を向くように座らないと舞台が見えにくくなる問題も避けられそうです。

リサイタルは、ショパンの作品を3つ並べたプログラムでしたが、ピアノのソロの合間に、チェロとピアノの曲を挟んでいるという、ちょっと珍しいプログラムになっていました。

このピアニストのリサイタルは初めてでしたし、練習を始めた曲と、迷っていた曲の両方を聴くことができました。チェロとピアノの曲も初めて聴く曲でしたので、とても楽しくまた勉強になるひと時でした。

後日、レッスンに伺った際に、このリサイタルの話になりました。「どの曲も30分はかかる大曲で、大抵のピアニストが、どちらかを選ぶことが多いなか、一度に両方弾くのは凄いですね」と話をしたところ、「だからね、私も(大変だから)やめた方がいいんじゃなの?って言ったのよ」などとお話されていました。

このリサイタルの前日にも、東北で異なるプログラムのリサイタルを行っていたそうで、台風の影響で移動に物凄く時間がかかり、リハーサルができなかった話なども聞きました。

幼馴染だからこそのお話で、大変興味深く、リサイタルだけでなく、その背後のお話も楽しませていただきました。

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