(この記事は、2020年5月11日に配信しました第297号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回も、コロナウイルスの影響についてのお話です。
ピアノ教室は、ゴールデンウィーク明けに再開予定と、生徒さんお一人お一人に連絡をして、補講の予定なども相談していたわけですが、世の中の大方の見方通り、この期間では収束に至らず、5月末までの休講が決まりました。
2月下旬に休講して3月中旬に再開するも、わずか1日でまた休講、3月下旬に再開して、4月の非常事態宣言の発令と共にまた休講、そして現在も休講継続中という事になります。
レッスンの再開前には、生徒さんそれぞれのレッスン回数や補講の回数を確認する作業をしていますが、結局それを何回も行っている事になります。そして、メールや電話で連絡を取っていますが、全ての生徒さんが元気そうで、少しほっとします。
ピアノ講師の仲間内では、最初は、コロナが収束してレッスンが再開できるのを待つという姿勢でしたが、徐々にオンラインレッスンの情報が集まり始めました。
もう長くレッスンができていないので、なんとかレッスンを行う方法はないかという思いや、生徒さんが、自宅練習でいろいろと困っているのではないかという思いも共通して持っていると思います。
また、レッスンが行えないという事は、当然ですがお月謝も頂くことができません。2月に休講が決定した段階で、1人暮らしをしている講師は、実家に一時的に戻ったという話も聞きました。
このような状況の中で、Zoom や Skype、LINE のビデオ通話などで、レッスンをする講師が少しずつ出てきました。
私も、生徒さん方にオンラインレッスンや、メール・電話などでのお悩み相談などを受け付ける旨をご連絡して、早速オンラインレッスンを行う事にしました。
オンラインレッスンを始める前に、カメラアングル(カメラを置く位置と角度)を確認しました。生徒さんに説明するときのカメラアングルと、見本としてピアノを弾くときのカメラアングル、それぞれの確認が必要になります。
最初のオンラインレッスンは、幼稚園生と小学生の姉妹です。
ビデオ通話が繋がると、姉妹とお母様が、お元気な様子で画面に映っていました。メールでは何回も連絡しているので、お元気な事はわかっていましたが、お顔が見えて声が聞ける事は、本当に嬉しいものです。
最初は、幼稚園生の生徒さんのレッスンを行いました。練習曲と題名の付いた曲、発表会で弾きたい曲の3曲を弾いてもらいました。
お母様からは、「子供のモチベーションが下がっているので、是非オンラインレッスンをしてほしい」と、事前にお話を伺っていました。演奏を聴きますと、確かに習得のペースは休講前より下がっていますが、それでも確実に進んでいることがわかりました。
途中から弾いてもらう時には、「〇段目の〇小節目から弾いてね」と伝えるのですが、さすがに幼稚園生1人では難しく、お母様がすぐにお子様の楽譜を指して教えて下さいました。
また、左手のフレーズの最後に弾くドの音が上手に弾くことができず、弾くたびにレになったり、シになったりしていましたが、「右手は、音を伸ばした後、お休みになるだけだから、左手の鍵盤をよく見て弾いてみてね」と話しますと、お母様がすぐに「ここの鍵盤を弾くのよ」とフォローしてくださいました。
私が見本で弾くときには、両手か、片手だけか、また弾くときの音域によってもカメラアングルが変わることになります。生徒さんに見えていることを確認してから弾く事になりますので、普段のレッスンのように、間髪入れずに弾くことができないのは多少不便です。
曲の難しいところは、片手ずつ私が見本を弾いて、それを真似して弾いてもらう練習を行いました。
「ここ、難しいんだよね」と、譜読みを積極的にしたがらないような様子でしたが、こうして片手で弾けるようになったことで、自信が持てたようです。「今度のレッスンの時には、両手で全部弾けそうよね」とお話しますと、元気よく「うんっ!」と答えてくれるようになりました。
小学生のお姉さんは、普段のレッスンの時から(お母様は付き添わず)1人で受けています。
弾き終わると、すぐに立ち上がってスマホの画面に近づき、ドアップで笑顔を見せてくれました。
練習曲が完成して「仕上がったね、おめでとう。赤鉛筆とかで丸を書いてね~」と話しますと、楽しそうにぐるぐると大きな花丸を書いていました。普段のレッスンでは、当然私が書いていますから、何か少し特別な感じで嬉しかったのかもしれません。
発表会で弾く予定の「エリーゼのために」は、長くて結構難しい曲なのですが、少しずつ慣れてきたようでした。
オンラインレッスン初日は、ミ#レミ#レ…と何回か反復する部分で、数が多かったり少なかったり(この曲を練習する方に、とても多く見られる事です)していましたが、2回目のレッスンでは、楽譜通りに正確に弾けるようになっていました。
大きなフレーズが終わって、新しいフレーズに変わるところでは、間が空き過ぎてしまっていたので、その部分の練習をして、いよいよ後半の大きな場面転換の部分のレッスンを行いました。
妹さんと同じく、譜読みがあまりはかどっていない様子でしたが、左手の連打の指番号や弾き方の練習などをして、少しずつこの部分の抵抗感を減らしていきました。
時間もあっという間に経ち、充実したレッスンができたように思います。
オンラインレッスンは、普段のように、鍵盤や楽譜を直接指し示す事が出来ませんが、生徒さんが普段以上にアドバイスをよく聞いて、気を付けながら弾いてくれていたように思います。
2回目のオンラインレッスンでは、かなり慣れてきており、お子様の適応力の高さに驚かされました。
来週は、大人の生徒さんのオンラインレッスンもスタートします。
ピアノレッスンの新たな可能性を改めて感じることができ、充実した時間を過ごせたように思います。
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