(この記事は、2020年5月25日に配信しました第298号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、大人の生徒さんのオンラインレッスンのお話です。

日本の多くの地域で非常事態宣言が解除され、徐々にではありますがコロナウイルスの影響は減少傾向にあります。

もちろん、収束したわけではないので油断禁物ですが、日常生活を取り戻すというよりも、より進化した日常生活を新たに作っていく時期に来ているのでしょう。

ピアノ教室も、6月の再開に向けて着々と準備が進められています。

生徒さんが安心して安全なレッスンが受けられるように、これまでのレッスンとは変わる点もあり、不自由な面もありますが、感染予防の観点から致し方ないので、生徒さんのご理解とご協力を頂いて、慣れていただけるように心配りをしたいと思っています。

さて、オンラインレッスンの方は、既にスタートしていますが、休講続きの時に比べると、やはりモチベーションアップにつながっていると感じます。来週レッスンがあると思うと、自然と練習しようという気持ちになりますしね。

これまでは、お子様の生徒さんへのオンラインレッスンでしたが、先日、大人の生徒さんのオンラインレッスンも始めました。今回は、そのときの模様をお伝えします。

オンラインレッスンの前に、あらかじめ連絡をとり、インターネットでビデオ通話ができることを確認し、カメラの位置も決めてからのスタートとなりました。

この生徒さんは、入会した時からずっと、日々の練習を着々と積み重ねている方です。オンラインレッスンを始めてみますと、休講中のブランクを全く感じさせないほど、今まで通りのペースを崩すことなく練習を進められていて驚きました。

「お休みの間も、しっかりと練習をされていたようで、すごいですね」とお話しますと、「仕事も定年でなくなり、暇ですから」と、サラッとお答えになっていました。

1回目のオンラインレッスンでは、休講前に練習していた曲と次の曲をレッスンしました。休講前に練習していた曲は、とても安定して弾けていて、殆ど完成されていました。

次の曲は、初めての曲ですが、こちらもだいぶ練習をされていたようで、音数が多い左手の和音を弾く伴奏も、大体正しい音で弾けていましたし、伴奏の形が変わるところはテンポが変ってしまいやすい危険な箇所なのですが、乱れることなく弾けていました。

右手のメロディーは、最初の部分は長く伸ばす音が多いので楽ですが、左手の伴奏の形が変わるところで、右手も8分音符と16分音符を組み合わせたリズムが急に連続して出てきますので、曲調がガラッと変化して難しいところです。しかし、大まかには弾けていたので、譜読みはとても良くできていました。

レッスンでは、左手の和音を弾く伴奏部分で、時々正しい音で弾けていないところの原因と対処方法についてお話し、練習をしてみました。

また、正しいリズムに修正するため、音符の長さを気を付けて弾くところを具体的に示し、見本として何回か弾いて感じを掴んでいただきました。その際には、弾いている手元にカメラを近づけて、音だけでなく視覚的にもわかるように配慮しました。

その後、部分練習を何回かやりましたが、段々と正しいリズムで弾けるようになってきました。もう少し練習を繰り返したら、しっかりと身に付きそうなので、次回続きをやることをお約束してレッスンを終えました。

それから1週間後に、2回目のオンラインレッスンを行いました。

この日は、前回のレッスンで左手の和音の伴奏の弾き方やリズムを修正した曲からスタートしました。

相変わらず毎日しっかりと練習をされていたようで、和音もほぼミスすることなく弾けていましたし、リズムを修正したところも、随分と安定して弾けていました。ご本人も、だいぶ慣れて弾けるようになったと笑顔でお話されていました。

その後、曲の構成を意識した弾き方などのお話をして、最初から通して弾く練習をし、曲を完成させました。

そして、もう1つ、新しい練習曲もレッスンしました。

これまでほとんど弾いたことのない調性でしたが、譜読みも正しく行えていました。

指をくぐらせる所で、少し手の動きが大き過ぎてしまうところ、フレーズの最初の音が時々ミスしてしまうところをお話して、カメラの近くで手の動きをお見せし、時々カメラの角度を変えながら、見本を弾いてみました。

「あー、なるほど」と納得され、気を付けながら練習して、だいぶきれいな手の動きになってきました。

テンポについても、ややゆっくり目なテンポで弾いた方が、この練習曲の大きな目的の1つである、指の独立に有効であることをお話しました。

その後、次の新しい曲について、曲の解説や曲の構成、譜読みをするときの注意点などをお話してレッスンを終了しました。

オンラインレッスンは、操作が難しいなど苦手意識をお持ちの方も多いかもしれませんが、実際に始めてみますと、思ったよりも何とかなります。

これまでの対面でのレッスンが一番わかりやすく、音の響きやニュアンスなども伝わりやすいのですが、オンラインレッスンをしてみますと、また新たな可能性も見えてきます。

コロナウイルスの「第2波」の話もありますが、オンラインレッスンであれば影響を受けませんし、生徒さんも教室まで移動する必要がなくなるので、時間を効率的に利用することができます。更には、生徒さんが通える圏内に、ピアノ教室がある必要もなくなるので、例えば、これまで転勤や就職で引越をするため、ピアノ教室を辞められた生徒さんも多いわけですが、オンラインレッスンであれば続けることができるかもしれません。

生徒さんの様々な状況に応じた、よりきめ細やかな対応ができるように、今後もレッスンのやり方を模索し研究していきたいと思っています。

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