(この記事は、2020年11月23日に配信しました第310号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、晩秋のピアノ教室の様子です。
秋も深まってきました。暖かい日もあれば、冬のような寒さの日もあり、寒暖の差が激しい今日この頃ですが、生徒さん方は、みな元気にレッスンにいらしています。
大人の生徒さんは、発表会も終わり、ほっとされている様子です。今は、ゆったりとマイペースでピアノを楽しんで弾かれているのではないでしょうか。
発表会後の最初のレッスンで、バッハの「アンナ・マグダレーナの音楽帳」の中の曲を持ってこられた生徒さんは、「譜読みの段階なので、音が合っているのか見てほしい」「どうも、この箇所が変な気がする」とおっしゃっていました。
「ここは、2拍ずつ調性が変わっている部分なんですよね。その瞬間だけ取り出すと、少し変に感じるかもしれませんが、前から音楽の流れを聴くと、良いところなんですよね。ちょっと弾いてみますね」とお話し、見本としてその曲を全部弾いてみました。
すると、問題の箇所を弾いたとたん、「あ~っ」と感嘆の声を上げ、演奏が終わりますと「本当にきれいでしたね~」と笑顔でおっしゃっていました。
私もつい嬉しくなってしまい、「そうなんですよ。ここが一番変化に富んでいて、いいんですよね」と、お話しました。
その後、生徒さんにまた弾いていただきましたが、疑問に思っていた箇所も、納得された上での演奏に変化していきました。これから、フレーズを意識して、曲の作りの理解をより深め、細かい部分の表情を付けていく事になりそうです。
子供の生徒さん方(幼稚園生、小学生、中学生)は、発表会まで1ヵ月余りとなりました。
全員、用意万全という感じで、いつでも発表会が開けそうな状態です。
小さい生徒さんの中には、「もう、見なくても弾けるよ。弾いてあげようか~」とレッスン開始とともに弾き始める生徒さんもいて、なかなか頼もしい限りです。小さいながらも、自分で選んだ曲ですから、とても楽しく弾いているようです。
「この生徒さんには、この曲がピッタリ」と思い、難しい曲を紹介した生徒さんも、案の定すっかり曲を気に入られて、毎回レッスンが始まって少し経つと、「発表会の曲、まだ弾いていないよ~」と、早く弾きたいという気持ちが抑えられない様子です。
先日も、同じように「発表会の曲、まだ弾かないの~?」と言うので、「早く弾きたい? じゃあいいよ、弾いてみて」というと、「楽譜いらないよ。発表会みたいにしようよ」と言って、楽譜を私に預け、譜面台を倒して、間髪入れずに弾き始めました。
お母様も、「発表会の曲、とても良い曲ですね。とても気に入っているみたいで、家でも楽しそうに弾いています」とおっしゃっていましたが、その様子が伝わるような演奏をしていました。
演奏が終わり、「上手になったねえ。とっても良かったわよ。途中でちょっと早くなってしまったけれど、よくテンポを元に戻せたね。凄いっ!」とお話しますと、楽譜を見て「ここで速くなっちゃった」と自己分析を始めました。
「そうそう、ここは曲の最初と同じところだからね、同じ速さだと揃ってきれいだよね」とアドバイスしました。
ペダルの練習を始めた当初は、ペダルを踏む時に体が前傾に動いて、弾みをつけてペダルを踏んでしまったり、かかとが床から離れてしまっていましたが、見事に直っていて、とても自然な動きでペダルを踏めるようになっていました。
その後は、レッスンの前半で、少し苦戦していた曲を改めて弾いて、仕上げることができました。それでも「今日は、2曲しか終わらなかった」と少しがっかりした様子でしたが、「この曲は、左手が次々と変わってしまうから、ややこしくて難しい曲なのよ。でも、ちゃんと終わって凄いわ」と話してお別れをしました。
ピアノが家に来てからの上達ぶりは相変わらず目を見張るものがあり、これからの進歩も楽しみなところです。
次は、体験レッスンのお話です。
今年は、新型コロナウイルスの影響で、3月から5月末まで休講となり、これからピアノを始めようという方への体験レッスンも止まっていましたが、その反動もあるのか、夏あたりから体験レッスンにいらっしゃる方が増えてきました。
最近体験レッスンに来られた方は、70歳くらいに見えましたが、御年80歳でした。お子様が小さい頃に弾いていたピアノが家にあって、弾いてみたいという事でいらっしゃいました。
ピアノ教室に行くのだから、ちょっとは弾けた方が良いと考えたそうで、1ヵ月前からお孫さんに音階の弾き方を教えてもらい練習してきたとおっしゃっていました。既に、とても熱心な様子が伝わってきます。
その音階を弾いていただきつつ、軽く基本的な説明をして、短い曲を早速弾いてみることにしました。80歳ともなりますと、なかなか手が思うように動かない方が多いのですが、かなりすらすらと弾いていてびっくりしました。
それでも、両手で弾くことは難しいようで、片方の音を伸ばしたまま、もう片方の音を連打するところでは、つられてしまい両手で連打してしまったり、止まってしまうこともありました。
「これは、だいぶ家で練習しないとね…」と、やる気満々な事をおっしゃっていました。
その後、入会いただきレッスンを開始していますが、連弾の曲を弾いて「いや~、いいですね」と、とても満足そうなお顔をされていて、楽しくレッスンが出来ているように感じます。
もう一人の方は、数年前から日本の美術大学で勉強している留学生です。当初の予定では、とっくに帰国しているはずが、コロナの影響で帰国が先延ばしになっています。それまでの間、ピアノに興味があるので弾いてみたいという事で、いらっしゃいました。
しかし、よくよく話を聞いてみますと、帰国後に結婚式をする予定で、お相手の方は昨年既に帰国されていて、待ってくれているのだそうです。
ご親戚など周りの方々が、「美術を勉強しているなら、同じ芸術系の音楽も出来るんじゃないの?」と思われているそうで、また、待っていてくれているお相手の方にも、結婚式でピアノ演奏のプレゼントをしたいという事で、体験レッスンにいらしたのだそうです。久しぶりに、ときめくような美しいお話を聞きました。
「弾きたいとおっしゃっている曲は、確かに原曲通りでは難しいと思いますが、音数を減らすなどして弾きやすくアレンジすれば、弾けるようになると思いますから一緒に頑張りましょう!」とお話しました。早速入会されて、来週からレッスンに来られることになっています。
今年も残り少なくなってきましたが、年末まで気を引き締めてレッスンを行おうと思います。
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