(この記事は、2021年9月13日に配信しました第330号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、オーディションと試演会のお話です。

近年は、一つの産業になっていると思えるほど数多くのコンクールやオーディションが開催されるようになりました。

以前は、コンクールやオーディションと言うと、将来ピアニストになりたい人が、キャリアを積んだり、箔を付けたり、腕試しの目的で参加するイメージでしたが、今ではもっと身近なものとなり、発表会の延長のような感覚で受けられるようになりました。

毎年、ピアノ教室では、生徒さん方のみを対象としたオーディションを開催しています。昨年は、コロナの影響で開催できませんでしたが、今年は大きく形を変えて、というよりも進化させて開催することになりました。

これまでは、審査員が会場に集まって審査する形でしたが、今年からはクラウドでの審査です。事前に録音された参加者の演奏がインターネットのクラウド上に置かれ、その演奏を聴いて審査をする形式です。

コロナ以前から、ビデオ審査や YouTube での審査は、一部のコンクールで行われていて、私自身も参加したことがありますが、審査員としてクラウドでの審査は初めてです。事前に練習用のテスト音源で確認して、当日の審査に支障が出ないようにしました。

審査当日は、自宅でパソコンとストップウォッチを用意して、決められた時間内の演奏を聴き、その後、コメントを記入して合否を決める作業を行いました。審査の場所には、自分一人しかいませんので、集中して演奏を聴くことができ、ある程度自分のペースで進められますので、コメントを記入する時間も十分に取れて、時間はかかりましたが良い審査ができたのではないかと思います。

後日、他の審査員の結果と合わせて、最終的な合否が発表されました。

私の生徒さんも、姉妹で2名参加していたので、その結果を配りましたが、他の審査員の方々も、私と同じようにたくさんコメントを書かれていて驚きました。中には、音符を書いて説明している方もいました。オーディションの1つの進化と言えるのではないでしょうか。

合否に関わらず、このようなコメントを貰えることは、参加された生徒さんにとって、これまでの練習方法の振り返りや今後の注意点などが見えて、参考になるのではないかと思います。

合格された方々は、後日コンサートに出演することになりますが、先日、その試演会が行われました。

試演会は、オンラインではなく、実際に集まってもらいました。コンサート本番と同じように演奏をしてもらい、私も含めて4人の講師がメモを取りながら演奏を聴きました。そして、全員の演奏が終わってから、座談会のような形で、お一人ずつの演奏について感想を伝え、本番までの練習方法をアドバイスし、質疑応答を行いました。

コロナ禍により、換気や消毒に最大限配慮しつつ、それでも、あまり長い時間は取れませんので、限られた時間でしたが、本番さながらの演奏を生で聴くことができて嬉しいひと時でした。

参加された生徒さんも、本番と同じドレスを着て参加された方もいて、緊張感を持って参加できたようですし、他の生徒さんの演奏を直接聴いたり、アドバイスを聞くことで、今後の練習の糧になったのではないかと思います。

試演会の後、他の講師の方と反省会も含めて少し話をしました。とても久しぶりに会った方もおられます。今回の試演会の話以外に、最近のコンサートやコンクールの審査方法など、有意義な情報交換ができました。最近は、オンラインで話すことが多いので、「なんだか、こういうの久しぶりだなあ」と、ちょっと感慨深い気持ちになりました。

姉妹で参加された私の生徒さんですが、お姉さんは残念ながら落ちてしまい、妹さんは合格という結果になりました。レッスンの時に、どのように対応しようかと悶々としてしまいましたが、姉妹揃って普段通りにレッスンに来てくれたので、少しほっとしました。

お姉さんには、次の目標としてグレード受験のご紹介を改めてしてみました。今練習している曲を自由曲にして、同じ楽譜の中に課題曲が複数入っているので、それを練習すると受験曲が全て揃い、年内の受験も可能というお話です。今後、ご家族とも、課題曲の選曲や受験の時期について相談しようと思っています。

妹さんは、合格で喜んでいるのかと思っていましたが、オーディションの曲に慣れきって飽きてしまっていると、レッスンの際にお母様から相談がありました。ご自宅では、「(この曲はもう)弾きたくない」と、泣いてしまったこともあるようです。

レッスンで生徒さんに、「この曲ずっと弾いているから、慣れちゃったでしょ。もうつまんなくなっちゃったかな?」と聞いてみましたが、その時は、首を横に振っていましたし、特別演奏が崩れている感じはしませんでした。

お母様には、レッスンでの生徒さんの様子をお伝えしつつ、「確かに年齢を考えますと、新鮮味はなくなっているのかもしれませんね。今日から数日間、本番で弾く曲を練習しないようにしてみたらいかがでしょう。今日のレッスンでは、暗譜のミスが少しありましたが、一応弾けていましたし、本番まで少し時間がありますから、2、3日あえて弾かないようにしたら、また新しい気持ちで弾けるようになると思います」とお話をしま
した。

翌週のレッスンでは、前回よりも前向きな気持ちで弾いているようにも感じられました。

試演会では、結構緊張したようで、曲の終わりの部分で音の高さを間違えてしまうミスが出てしまいましたが、その後のレッスンでもしっかりと再確認できましたので、生徒さん自身も一安心できたかと思います。

コンサート本番では、また楽しくステキな演奏ができるように、フォローしていきたいと思います。

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