(この記事は、2021年12月20日に配信しました第337号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、年末のピアノ教室の様子です。

今年も、残すところ10日余りとなりました。今週末にはクリスマス、それが終わるとあっという間に大晦日、そしてお正月です。もう既に、今年最後のレッスンを終えて、「よいお年を」とご挨拶した生徒さんもいらっしゃいます。

今年は、昨年のようにコロナウイルスの影響でレッスンが休講になることもなく、発表会やイベントも、参加人数や進行を変更し簡素化してではありますが再開されました。レッスンは、相変わらずマスクを着けたままで、生徒さん方には引き続きご協力を頂いています。

このような状況の中でも、いや、このような状況だからこそかもしれませんが、ピアノを習い始めたいという方もいて、今年になって教室に入会された方もいらっしゃいます。

最近入会された80代の生徒さんは、以前からピアノを独学で練習されていたようですが、なかなか思うように弾けず入会されました。現在は、練習曲で指を動かす訓練をしつつ、大好きな曲を少しずつ練習されています。生真面目な性格で、いつも真剣な表情でレッスンにいらしていましたが、徐々に教室に通われることやレッスンにも慣れていただいたようで、やっと笑顔が見られるようになり、私もホッといているところです。

近年は、80代の生徒さんも多くなり、子供の頃に習っていた経験者だけでなく、初めてピアノを弾く方も少なくありません。ご自身より少し年齢が高い生徒さんのお話をしますと、特に意識されるようで、「87歳の方がレッスンに通っているなんて、自分もまだまだ負けてられませんね」などと感想をお話されます。個人レッスンなので、なかなか生徒さんどうしで会う機会がありませんが、お話を通してモチベーションがアップされればと思っています。

ご夫婦で、ピアノを始めた生徒さんもいます。奥様は初心者で、ご主人様は小さい頃にピアノを習ったことがある方です。奥様の方は、ピアノを弾きながら、「あーーっ!」とか「う~~~っ!」など少し格闘しながら、でもいつも楽しそうにピアノを弾いています。そんな様子を後ろから笑いながら見ているご主人様も、いつもレッスンに同席されていて、「いつも一緒にレッスン室に入っていて、仲良しのご夫婦で羨ましいわよね」と受付のスタッフさんも感心しているほどです。

ご主人様の方は、小さい頃に習っていたので指は動くのですが、いつも少し焦ってしまうのか、指が空回りしている感じで惜しいなあと思っていました。しかし、段々と指のコントロールが付いてきて、落ち着いて弾けばきれいに弾けることを理解し、なんとなく感覚で弾いていたところも、理論的に音や和音の進行などに目を向けて弾くようになってきたので、だいぶミスも減ってきました。

レッスンで扱っている曲だけでなく、ご自宅でもお好きな曲を練習しているようですし、ご夫婦共にグレード試験などにも興味を持ち始めているので、来年は発表会などにも積極的に参加されるのではないかと思っています。その際は、ご夫婦での連弾の話をすると、奥様も参加しやすくなると思いますし、なにより心強いのではないかと思っています。

最近、体験レッスンに来られた生徒さんは、7歳の小学1年生のお子様です。幼稚園生の時からピアノを習っているそうですが、楽譜が読めないのが生徒さんのお母様の悩みなのだそうです。使用している楽譜を見ますと、カラフルに音符が塗られていて色分けされていましたし、ワークを見ますと、もう何年もピアノを習っているのにドとレをたくさん書いて練習しているようでした。教材も4冊持ってきていて、ピアノの先生も2回変わっているのだそうです。

個人レッスンですと、どうしても先生との相性もあり、途中で先生が変わることは致し方ない面もありますが、先生によってレッスンの進め方などもかなり異なり、慣れるだけでも時間がかかりますし、7歳という低年齢では混乱することもあるのではと少し不憫に思いました。

「楽譜が読めない」という表現は、割とよく使われますが、どのようになると「楽譜が読める」と言えるのか明確な基準があるわけではありません。おそらく、パッと見たことのない楽譜を広げて、ド・ソ・ファのシャープなどとすらすら音が読めることが、「楽譜が読める」事と思われているのかもしれませんが、それは、相当に高度なレベルで、小学校低学年では無理があります。

小学校低学年では、ピアノを弾くたびに、「この音なんだっけ?」と思いながら、音を数えて、弾く鍵盤を確認して音を出している方が圧倒的に多いと思います。そのため、体験レッスンでは、音がどのくらい把握できているのかを見つつ、正しい音の読み方がどれだけ身に付いているのかも見てみました。そうしますと、少し練習をしている曲については、音は覚えていましたし、ぱっと見たときに音がわからない場合の音の読み方なども適切にできている事がわかりました。もう少し早く音が読める方法についても説明をして、一緒に練習もしてみました。

お母様には、楽譜が読めないという事はなく、ごく一般的な状況である事、正しい音の読み方が身に付いている事、逆に、良くない音の読み方の癖などは付いていない事をお伝えし、少し早く音が読める方法とそのデメリットについても説明をしました。小さい生徒さんですから、これからどんどん成長できると思いますので、自信を持ってピアノを続けてもらいたいと思います。

先日、グランドピアノと防音室を購入された小学3年生の生徒さんは、ようやくグランドピアノと防音室の設置が終わったそうです。ピアノが大好きな生徒さんなので、きっと、ますます張り切ってピアノを弾いるのかなあと思っていましたが、お母様から、「ピアノをもっと勉強したいから、音大に行きたい。ピアノも週に2回レッスンをしたいと言っているのですが、そんなことできるのでしょうか」というお話を頂きました。

「そうなのですね。小学3年生で、将来の目標を見つけて頑張ろうなんて凄いわね~。私も応援するからね」と答えました。

「音大を目指すなら、ソルフェージュというものが必要だと聞いたのですが…。まあ子供ですから、考えが変わるかもしれませんが…」ともおっしゃっていました。

「週に2回レッスンは可能です。これまでに週に2回、計4コマ(2時間)のレッスンを受けて音大に合格した生徒さんがいらっしゃいます」とお話して、早速来年1月から週に2回レッスンを行う事になりました。

これからは、ピアノのテクニックやソルフェージュなど、いろいろと力を入れてレッスンするものが増えてきますが、ピアノが好きで楽しいという気持ちを大切にすることも忘れずにレッスンを進めていこうと思います。

生徒さん方それぞれが、レッスンを通して今年一年楽しく有意義にピアノと関われたら幸いです。今年最後のレッスンも、しっかりと気持ちを込めて行っていきたいと思います。

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