(この記事は、2024年2月5日に配信しました第390号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回の「たのしい音楽小話」は、大人気ピアニストの持ち物のお話です。
ピアニストは、日本全国また世界各国で演奏活動をしていますが、その時に何を持ち歩いているのか気になるものです。アスリートですと、リラックスしたり、体をいかに早く回復させるかが重要ですので、好みのアロマオイルや体の疲れをとるためのウエアを持っていくという話を聞いたことがあります。また、日本食を持っていくという事もあるようです。
「愛の夢 第3番」などで有名なフランツ・リストは、演奏旅行の時には、音域によって3つに分解された鍵盤を持ち歩いたそうで、馬車に揺られながら指を動かしていたそうです。クラシック音楽の歴史上、最高のピアニストと評されたリストが、移動中でも音の出ない鍵盤を使って練習していたとは凄いですね。現代のピアニストが、同じように音の出ないピアノを持ち歩いているとは思えませんが、ピアニストならではの物を持ち歩いているのなら、興味津々といったところです。
前回のショパンコンクールで、セミファイナリストだった大人気ピアニストの角野隼斗さん、もしかしたら「Cateen かてぃん」さんとご紹介した方がわかりやすいかもしれませんが、先日YouTubeの「ELLE Japan」に登場し、「旅する音楽家がバッグの中身を公開」というタイトルの動画が公開されました。
軽快でおしゃれな雰囲気のピアノ曲が流れる中、角野さんが登場して話し始めました。現在、ニューヨークに拠点を持ち、世界各国を回って演奏活動をされているそうですが、その時に必ず持っていくものを一つずつ実物を見せながら紹介しています。
スーツケースは、2021年から愛用しているそうで、たくさんのステッカーが貼ってありました。それから、iPad。楽譜を全て入れてあり必需品なのだそうです。書き込みなどもしているそうで、譜めくりのパダルとも繋げて、どこの旅先でも、これを使用して練習をしているそうです。
MacBookは、画面が大きいサイズのものに、持ち運びができるキーボードを繋げて、作曲をしたり楽譜を作ったりしているそうです。
小さいサイズのキーボードは、小学生が使ってるピアニカくらいのサイズなのでピアノの練習はできないですが、ピアノが無いときに、細かいところの確認もできるので便利なのだそうです。
手袋とカイロは、手を温めるために必須で、特にカイロはなかなか海外では売っていないので、日本から持っていくのだそうです。ちなみに、カイロのブランドにもこだわりがあるそうで、動画の中でアップで映っていました。
ハンドクリームは、フランスでもらったものだそうですが、手が乾燥するのでよく使うそうです。小さいサイズのお財布は、現金をほとんど使わないため、カード入れとして使っているそうです。これまで2回、タイでスリの被害に遭ってしまったそうですが、「タイのスリの方は、本当にレベルが高いので素晴らしいですよ」と上品な語り口調で話されていて、クスっと笑ってしまいました。この小さいサイズのお財布の中に、AppleのAirTag(エアタグ)が入っていました。ご本人曰く、すぐ物をなくすそうなので、スーツケースやパスポートを入れた袋にも入れているそうです。
アイマスクは、角野さんが自ら身に付けて説明をされていました。片手で両目を覆っているような絵が描かれたアイマスクで、質の高い睡眠が得られるそうです。頂いたものだそうですが、デザインがかわいいというコメントもされていました。
それから、おしゃれなデザインのノート。iPadに書くこともあるのだそうですが、物理的に紙に書きたいときに使っているそうです。ニューヨークのモマ(ニューヨーク近代美術館)で購入したそうで、角野さんの好きなモンドリアンのデザインなのだそうです。
その次は、必需品というより、今持ち歩いているものという事で、ラヴェルの「ボレロ」のスコアが紹介されました。演奏する予定があるそうで、このスコアを見ながら編曲をしているそうです。
「音楽・情報・脳」という本は、知り合いから紹介されたそうで、脳と音楽の関係や、何故人は音楽に感動するのかなど、興味深いことが書かれていて面白いそうです。iPhoneとヘッドフォン2種類は、移動中ずっと音楽を聴いているそうで、移動の距離によって使い分けているそうです。アップル ミュージック クラシカルのアプリで音源を選んで聴いているそうです。ヘッドフォンも、臨場感あふれる音で気に入っている様子でした。
YouTubeの動画の中では、それぞれの持ち物のブランド名も紹介されていて、こだわりを感じるものが多かったように思います。「面白かったかどうか、よくわかりませんが、何かの参考になればと思います」という締めくくりの言葉まで上品さが溢れていて、大変好感が持てました。
クラシックだけではなく、幅広いジャンルで音楽活動をされている角野さんの、ますますのご活躍を期待したいですね。
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