(この記事は、2024年10月14日に配信しました第407号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回は、音楽を習うのにふさわしい年齢についてです。

お子様の習い事を考えるとき、今でも音楽やピアノを挙げる方は多いようです。先日、小学生の生徒さんが、小学校の音楽会の合奏でピアノの伴奏者を決めるオーディションの話をしていましたが、ピアノ伴奏をやりたいと手を挙げた生徒さんがとても多く、まずはクラス内のオーディションをやり、そこで選ばれた人達で学年全体のオーディションをするという話をしていて、大変ビックリしました。

一昔前は、先生ご指名だったり、やりたい人が集まって話し合いやじゃんけんで決めるなどの方法で合奏の楽器担当や、合唱のピアノ伴奏者を決めていたように思いますが、近年ではどこの学校でもオーディションで選んでいるようです。そのため、オーディション自体には驚きませんが、コンクールの予選、本選のように、複数回のオーディションが開催されて、それを勝ち抜いていかないと選ばれないという希望者の多さに驚きました。

そんなときに、『音楽の習いごと ふさわしい「子どもの年齢」と「教室の選び方」を名ヴァイオリニスト・篠崎史紀氏に聞いた』という記事を見つけ、「これは読まなくては」と思い読んでみました。

インタビューに取り上げられていたのは、ヴァイオリニストでNHK交響楽団の特別コンサートマスターをされている篠崎史紀さんで、演奏活動の他、子供に音楽の楽しさを教える活動もされているそうです。今年の4月には、「おんがくはまほう」という絵本も初刊行しています。

篠崎さんは、「音を鳴らして神様に感謝の祈りをささげるために音楽は誕生し、その後自分の感情を伝えるコミュニケーションの手段として発展した。優劣がなく平等なので、大人が手を抜くことなくありのままで子供と向き合えるところが、音楽の良いところ」とインタビューの中で答えていました。また、クラシック音楽だけでなく、童謡や民謡など世代に関係なく同じように感じて演奏できるので、ジェネレーション・ギャップが無いところも音楽の良い点として挙げていました。

考えてみますと、はるか昔の時代にウィーンに生まれたモーツァルトやドイツのベートーヴェン、ポーランド生まれでパリで活躍したショパンなどのピアノ曲を、現代の日本で、いろいろな年代の生徒さん方が「良い曲ですよね~」と感動しながらレッスンしているのですから、ジェネレーション・ギャップだけでなく、国を超え時空まで超えて素晴らしさを共有していることになります。

篠崎さんは、3歳からヴァイオリンを始め、「ヴァイオリンが弾けると世界中に友達ができるよ」と両親に言われて育ったそうですが、「その言葉は本当だったなあ」と感じているそうです。人種や宗教が違ったり言葉が通じなくても、一緒に楽器を弾けば友達になれるので、人類最強のコミュニケーションツールだとも話していました。

小川の音や鳥の声など自然界に存在する共振共鳴音を、人工的に作れるのが楽器や人の声なのだそうです。共振共鳴音は、脳波が安定して気持ちが落ち着いてリラックスするものなので、お子様にはクラシック音楽を聴かせることを推奨しますと、お話しされていました。ただし、このお話には続きがあり、クラシック音楽の良さは、年齢を追うごとにわかるものなので、特にお子様が小さいうちは無理に聴かせる必要はないとのことです。親がクラシック音楽を聴いていれば、お子様もだんだんと興味を持つかもしれないとも答えていました。

ちなみに、共振共鳴音の反対は、強制振動音で工事現場の音などが当てはまります。気持ちがイライラして脳が疲れてしまい、心もストレスを抱えてしまうのだそうです。コンサートなどで、座り心地の良いシートで美しい音楽を聴いて、ついウトウトしてしまうのは、共振共鳴音で究極にリラックスしているわけですから、仕方がないことなのかもしれませんね。

さて、音楽を習い始めるのに適した年齢とは?という質問に、篠崎さんがどのように答えたのか気になるところですが、「何歳から始めてもいいし、大人になってからでもいいと思います」とのことでした。音楽は、誰もがプロを目指すためにやるのではなく、コミュニケーションツールであり、音楽を始めるに遅い年齢はないのだそうです。

ピアノ教室にいらっしゃる生徒さん方を見ていますと、以前ピアノを習っていた方よりも、ピアノを初めて習う方のほうが多く、幅広い年代の方がいらっしゃいます。60代、70代の方が初めてピアノを習いにいらっしゃる事も、よく見られる光景です。私も、このように生徒さんに話していますが、やはり長年ヴァイオリン界の第1線で活躍されている篠崎さんがお話されますと、がぜん説得力がありますし、励まされる方も多いのではないでしょうか。

篠崎さんは続けて、次のようにもお話されています。「子供が、音楽と出会うチャンスは親が作るもので、クラシックコンサートに連れてい行ったり、目の前で楽器を演奏したり、音楽を好きになるきっかけを親がたくさんちりばめたら、子供は興味を持って動き出します。うちの子にはまだ早いなど、親がタイミングを見極めていたら、いつまでたっても出会いのチャンスはめぐってきません。」

このお話を聞きますと、思い当たる節がある方もいらっしゃるかもしれませんし、私も実際に体験レッスンなどでレッスンを始める年齢について時々聞かれます。今、気になった時がチャンスと捉えて、フットワーク軽く、とにかく始めてみる事が大事なのですね。

インタビューの最後には、先生との相性も大事で、直感でしかないけれど、子供と合う先生であれば、憧れの対象ができるから楽しく音楽を続けられると思います」と話をされていました。レッスンをしている立場からすると、憧れの対象になるべく、日々精進の大切さを改めて感じました。

インタビュー記事は連載になっていて、練習しない等、子供が音楽の壁にぶつかった時の親の対応についても書かれているようなので、また読んでみようと思います。

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