(この記事は、2024年11月11日に配信しました第409号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、晩秋のピアノ教室の様子です。
11月に入り、急に肌寒くなってきました。生徒さん方も、「今日は寒いですね~」とおっしゃりながらレッスン室に入って来られます。
「寒くなってきましたから、手を冷やさない対策をとって、お教室にいらして下さいね。近所だから大丈夫と思っても、直ぐに手は冷えてしまうこともありますし、手が温まって調子が出てきた頃にはレッスン時間が終わり、ではまた来週となったら、ちょっとがっかりしちゃいますしね」とお話しますと、そうそうと頷いたり、ちょっと笑っている方もいらっしゃいます。私自身は、既に手袋を携帯していて、防寒対策はバッチリです。
発表会も終わり、年内のイベントはこれにて終了というのが毎年の流れですが、今年はまだまだ本番を控えている生徒さん方がいらっしゃいます。
小学生の生徒さんは、この時期にどの学校でも生活発表会や音楽会での合奏が定番です。
合奏の譜読みは問題なくても、リズムにやや不安があるという生徒さんは、レッスンで細かくリズムの確認を行っています。合奏の場合、休符が続いて自分が演奏しない時間があることも珍しくなく、4小節休みとか、8小節休みという事もあります。ピアノでは、まずそのようなことはないので、気を付けなければいけないポイントです。
今回、生徒さんが練習している曲にも、同じように数小節休みという箇所がありました。きちんと拍を数えていないと、他の方とズレてしまいかねないので、自分が演奏していなくても、常に拍を意識しておくようにアドバイスをしました。そして、「できたら学校の先生に、主にメロディーを担当している楽器の楽譜を1部下さいと、お話してみてくれるかな?〇〇ちゃんが数小節休符の時に、他の楽器がどのような音楽を演奏しているのかわかっている方が、休符が終わってまた演奏を始めるときのタイミングも取りやすいし、音楽の全体の流れもわかる方がいいと思うのよね」とお話しますと、「わかりました。先生に話してみます」と返事をしてくれました。
個人レッスンだからこその利点を生かして、生徒さんがいろいろな場面で、音楽を通して活躍できるお手伝いができることは嬉しい限りです。
小学生姉妹の生徒さんは、2つのコンクールにチャレンジしていて、春から大忙しの日々を過ごしています。昨年は、惜しくも残念な結果となり、生徒さんもご家族もかなりがっかりしてしまったようですし、私も結果を出させてあげられず申し訳ない思いをしました。今年は、より生徒さんに合ったコンクールを吟味し、曲についても昨年よりも生徒さんの特性がよりアピールできる曲目を選んでご紹介しました。
コンクールとはいえ、「先生にこれを弾けと言われたから、別に好きな曲ではないけれど弾いている」というようでは、たとえ良い結果が得られたとしても、心底喜べるのか疑問に思うので、何曲かピックアップして、最終的に生徒さんに選んでもらいました。生徒さんのお母様に、曲目や音源をお伝えしたのですが、早速ご家族で音源を聴いて、一番気に入った曲を弾くことになりました。
予選の当日は、さすがに私もそわそわと落ち着かず、結果が出る頃には緊張もピークに達し、困った時の神頼みではないですが、「予選だけはなんとか突破を…」「姉妹そろって予選通過を…」と願わずにはいられませんでした。終わってみれば、危なげなく予選を突破でき、生徒さんもご家族も大変喜んでいました。
次は本選ということで、生徒さんのお母様も、「いよいよ、ここからが本番で、ここまで来たからにはファイナルに進みたい」と、いつも熱心なお母様も更に熱が入っているようで、普段はレッスンに同席されないのですが、「レッスンを見学してもいいですか?」と言われ、同席されていました。レッスン中も瞬き一つしないくらい食い入るような姿勢で見学され、これまで一番の課題だった箇所の演奏がとても上手に出来て私が褒めた時には、お母様が思わず、「今の!今の演奏よ!」と声をかけていました。
生徒さん自身も、手ごたえを掴めたようですし、私だけでなく、普段から一番傍で見守ってくれているご家族から褒められたことが嬉しかったようで、盛んに照れている表情をしていました。
もうすぐ本番という時に私が高熱を出してしまい、レッスンが急遽休講となってしまった時にも、「できる限り」と思い、お母様に連絡を取り、自宅での演奏を録音して送って頂くお願いをしました。そして、その録音を聴いて、良かったところ、改善点、練習方法などを楽譜に書き込んでメールに添付し、練習の参考にしていただきました。数日後にも、再び同じことを繰り返し、いよいよ本選の当日になりました。
本選の直前に、私が体調を崩してご迷惑をかけてしまい、そのために本選で結果が出なかったらと思うと、予選とはまた違った緊張感を持ちましたが、こちらも、めでたく突破することができました。
お母様から結果のご連絡をいただきましたが、冒頭に「やりました!」と書かれていて、いかに喜んでいらっしゃるのかがよく伝わってきました。私も嬉しさと安堵の気持ちで一杯でした。
次は、本当に最後のファイナルですが、その前になんと昨年残念な結果となったコンクールの再チャレンジがあります。元々は、より生徒さんに合ったコンクールをという事で、他のコンクールにチャレンジし始めたわけですが、その途中で「昨年参加したコンクールも、また受けてみたい」というご相談を受けていました。私はちょっと驚きましたが、生徒さんのやりたいという気持ちを尊重したいので、快諾して再チャレンジも始めたのです。
このコンクールも予選を無事に通過することができ、次に向けて生徒さんも頑張っている最中です。レッスンでは、細かい所にこだわって、ひたすら上手にできるまで何回も反復練習をしたり、たった1回の本番で全てを出し切れるように精度を上げる練習など、とても楽しいとは思えないような練習もしなければならない場面も出てきます。曲にも飽きてくるでしょうし、気が乗らないとか、練習しているのにちっとも上手くなった気がしないという事もあるかもしれません。なかなか大人でも気が滅入ることを、小学生が自らチャレンジしているのですから、本当に凄いなと思います。
最後の本番で、これまでの集大成が披露できるように、引き続き私も毎回のレッスンを大切に進めていきます。
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