(この記事は、第61号のメールマガジンに掲載されたものです)

秋もだいぶ深まり、晩秋の雰囲気になってきました。

秋というと、音楽を楽しむ私たちにとっては、真っ先に「芸術の秋」を思い浮かべます。コンサートシーズンですので、普段にも増して、音楽を楽しまれている方々も多いのではないでしょうか。

クラシック音楽には、色々なジャンルがありますが、その中で一番壮大なスケールで豪華絢爛なのが「オペラ」なのではないでしょうか。色々な楽器が一堂に集まるオーケストラの演奏に、歌手、舞台衣装、舞台セットなど、音楽以外の楽しみもふんだんに取り入れた総合芸術です。

先日「ピアノのしらべ」でご紹介したヴェルディやモーツァルト、プッチーニ、ロッシーニなど、色々な作曲家がオペラの曲を作り、昔から多くの音楽ファンが楽しんでいました。

ピアノの詩人と呼ばれてるショパンも、彼自身はオペラを一曲も書いていませんが、オペラが大好きで、夜な夜な劇場に足を運んでいたそうです。

しかし、オペラは、難しいイメージがあったり、どことなく敷居の高さを感じている方も少なくないかと思います。興味はあるけれど、何を見たら良いのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

そんな方々に、オペラや音楽の専門家がお薦めするオペラのランキングが、先日新聞(日経新聞土曜版・日経プラス1)に掲載されていました。

ランキングの順位は、以下の通りです。

1位: ビゼー作曲「カルメン」

2位: ヴェルディ作曲「椿姫」

3位: プッチーニ作曲「トューランドット」

4位: プッチーニ作曲「蝶々夫人」

5位: モーツァルト作曲「フィガロの結婚」

どのオペラも、実は有名なアリア(独唱)が多く、「カルメン」では「ハバネラ」や「闘牛士の歌」、「椿姫」では「乾杯の歌」、「トューランドット」ではトリノ冬季オリンピックでフィギュアスケートの荒川静香選手が演技曲目で使用した「誰も寝てはならぬ」などがあります。

題名はわからなくても、どこかで曲をお聴きになったことがある方が多いかと思います。また、「蝶々夫人」は、長崎県の芸者である蝶々さんが主人公のオペラで、日本の歌もオペラの中で登場しますので、少し親近感が生まれますね。

早熟の天才音楽家モーツァルトは、数々の逸話の中で「オペラを3日で書きあげた」という話がありますが、「フィガロの結婚」は貴族を一般庶民であるフィガロがからかう内容の喜劇のオペラです。モーツァルトが活躍していた時代は、まだまだ身分の階級がありましたが、そのような中で、このような貴族を皮肉ったストーリーのオペラを書いたこと自体が驚きですし、モーツァルトの人間味が感じられる気もします。

個人的には、上記のオペラ以外にモーツァルトの「魔笛」がお薦めのオペラとして挙げられます。

モーツァルト作曲「魔笛」

メルヘンな世界観のストーリーと、「パパパ・・・」と、パという言葉だけでしばらく掛け合いで歌われる「パパゲーノとパパゲーナのアリア」は、とても気軽に楽しめるアリアでありながら、歌手の神業のような素晴らしい歌の技術が堪能できるので、お薦めです。このアリアも大変有名ですので、ご存じの方も多いかもしれません。

オペラは、イタリア語やドイツ語で書かれているものが多いので、歌詞を聴き取って楽しむにはハードルが高くなりますが、事前にストーリーを読んでおかれるとよいですね。CDやDVDなどを、あらかじめ観ておきますと、より楽しめるかと思います。

また、舞台の脇に歌詞の内容やストーリーが字幕で流れることもありますし、日本語で上演されるものもありますので、言葉がご心配な方は事前にチェックされるとよいかもしれません。

昔は上流階級などの限られた人々しか楽しめなかったオペラですが、現在では誰もがチケットを入手できて楽しめます。一度、ご覧になってはいかがでしょうか。

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