(この記事は、第69号のメールマガジンに掲載されたものです)
今年は、フランツ・リスト生誕200年の記念イヤーですが、今回の「たのしい音楽小話」は、先日開催されましたフランツ・リストのコンサートのお話をいたします。

通常よくあるピアノリサイタル(コンサート)は、複数の作曲家の曲を並べるプログラム構成になっていますが、今回聴きに行きましたリサイタルは、全てリストの曲という構成になっていました。フランツ・リストの世界を深く、しっかりと堪能することができます。この珍しさに惹かれて、足を運びました。

ピアニストは、横山幸雄さんです。横山さんは、第1線のピアニストとして活躍されているだけでなく、2009年にヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで日本人として初めて優勝した辻井伸行さんを指導された大学教授でもあります。また昨年は、ショパンのピアノ曲を全曲暗譜で演奏しギネスに認定される快挙も揚げられました。演奏とお食事を楽しめるレストランも経営されており、まさに多方面に渡って活動をされています。

今回のリサイタルでは、リストの「リゴレットパラフレーズ」「2つの伝説」「演奏会用練習曲」「愛の夢 第3番」「ラ・カンパネラ」「ピアノソナタ」を演奏されました。

リストは、当時コンサートピアニストとして絶大な人気がありました。今で言う、ジャニーズ事務所や宝塚のトップスターのような感じで、コンサートでは、興奮しすぎた観客が失神したという話まであるくらいです。容姿端麗で、素晴らしくて華麗な演奏は、当時の人々を虜にしていたようです。

しかし、リストは、そのような華やかな面だけではなく、多くのお弟子さんを育てた教育者でもあり、また、他の作曲家が、声楽や他の楽器のために書いた作品を、ピアノ用にアレンジする編曲家、神父となり宗教家としての側面もありました。

今回のリサイタルでは、「練習曲」は教育者としてのリスト、「リゴレットパラフレーズ」は編曲者、「2つの伝説」(実在した聖者をテーマにしている)は宗教家としての側面を楽しむことができました。

有名な曲がとても多かった事や、週末の昼間の開演で、一流のピアニストのリサイタルにも関わらず比較的リーズナブルな価格だった事もあり、小学生くらいのお子様の姿もあちこちに見かけられました。

コンサートの冒頭では、横山さん自らが、今回のリサイタルの解説をお話されていたので、より興味深く聴くことが出来ました。横山さんの演奏は、とても聴きやすく分かりやすい演奏で、真珠のような光沢がありながら、どこか落ち着いた上品さを感じる音色でした。

どの曲を弾いても、とても余裕が感じられ、演奏が終わっても精根尽き果てたという感じが全くなく、良い意味でひょうひょうとされていました。2時間のコンサートを行った後とは思えない雰囲気は、オリンピックの女子マラソンで金メダルを獲得し、ゴール後もケロッとしていた高橋尚子選手を思い出しましたが、本当にすごい人というのは、軽々とすごい事をなさるんですね。

予定のプログラムが終わった後も拍手が鳴り止まず、アンコールの演奏を披露されていました。しかも、3曲もです。こんなにサービス精神のあるピアニストも珍しいかもしれません。やはり全てリストの作品で、シューマンの歌曲を編曲した作品などを披露されていました。

ショパンの曲を聴くことはあっても、リストは「愛の夢第3番」や「ラ・カンパネラ」くらいしか聴いたことがない方も多いかと思います。今年は、記念の年ですので、是非色々なリストの作品を聴いてみて下さい。

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