(この記事は、第85号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回の「ピアノ教室の出来事」は、大人の生徒さんの発表会の準備についてお話いたします。

大人の生徒さん方の発表会が、刻々と近づいています。本番まで数週間なので、出演される生徒さんは、最後の追い込みの時期に入っています。

お仕事をされている方が殆どなのですが、普段と違い、皆さん練習量を増やしているようです。また、発表会の前には、普段と違う練習も必要となることがあります。

例えば、生徒さんの半分近くは、自宅で電子ピアノを使って練習をされていますが、本番ではフルコンサートピアノを弾くことになります。

ピアノの演奏レベルにかかわらず、弾くピアノが異なると、その弾き心地の違いを敏感に感じるものですが、電子ピアノとグランドピアノでは、尚更その違いを強く感じることになります。

先日レッスンにいらした方は、発表会でテンポの速い、軽快な曲を演奏するのですが、「家の電子ピアノで弾くとすぐに音が鳴るのに、グランドピアノは鍵盤が重くて、家のように弾けない」とおっしゃっていました。

電子ピアノでも、高価なものになりますと、本物のピアノに近い作りになり、鍵盤の重さや感触がかなり似てくるのですが、多くの電子ピアノは、かなり鍵盤が軽いので、本物のピアノを弾くと、鍵盤が重くて弾きにくいと感じるようです。

その方は、ご自宅の楽器を変えることは難しいので、音楽教室のレッスン室を借りて、仕事帰りや仕事の合間に30分から1時間ほど練習にいらしています。

最近では、徐々にグランドピアノにも慣れて、演奏が安定し、本来の実力が発揮出来つつあるようです。

学校関係の仕事をされている方で、職場のピアノを借りて練習されていたり、街中にあるレンタルスタジオで練習されている方もいました。皆さん、工夫をしながら練習を積んでいるようです。

また、現在は本番前なので、レッスンでも1回通しで弾いてもらっていますが、その時に色々とクセが出てしまうことがあり、それを直す練習もしています。

大人の方で割と多く見られるクセが、間違えた時に、始めから弾き直してしまうクセです。

普段のレッスンでも、間違えた時にピタッと止まり「あっ間違えた。もう1回始めから」と言って弾いていたりします。

間違えた箇所やフレーズも影響するので、一概に始めから弾き直すことがよくないとは言えませんが、それがクセとなり、「始めからでないと弾けない」という状況は改善が必要になります。

特に、本番では緊張することもあり、1度も間違えずに弾くことはかなり難しくなります。間違えないことよりも、間違えた時にいかに最小限のミスだけで済ませて、演奏を継続できるかが重要になってきます。

曲の途中から弾くのが難しかった生徒さんも、レッスンや練習を繰り返すことで、最近では結構慣れてきたように思います。

本番でどこまで力を発揮できるのか、最後の数週間の練習がカギだと思います。

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