(この記事は、第87号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回の「ピアノ教室の出来事」は、中学生の生徒さんのお話です。
この生徒さんは、現在中学3年の男の子で、小学校低学年の時からレッスンを見させていただいています。
とても繊細な感じで、大事にしないと壊れそうな、どこかそのような雰囲気を持った男の子でした。
以前は他の先生に習っていたそうですが、毎週泣きながらレッスンから帰ってくる様子を見ていたお母様が、「せっかく始めたピアノなのに、このまま嫌いになって辞めてしまうのはちょっと・・・」と担当講師の変更を要望され、私が見させていただくことになりました。
ピアノに限ったことではありませんが、個人レッスンですので、どうしても相性の問題が起こることがあります。
このような生徒さんを担当することになりますと、ピアノやレッスンの楽しさを、また味わってほしいと思い、プレッシャーを感じる事もあります。
幸い、この生徒さんは、その後もレッスンを続け、またレッスン時間を大幅に増やして、毎週1時間半レッスンを行っていた時期もありました。
私がレッスンを担当することになって数年後に、「将来は何になりたいの?」と聞いたところ、「ピアノを弾く人になりたい」と答えていました。
私が風邪を引いてしまい、喉の調子がとても悪い時に、「あまり声が出なくて、聴き難いと思うけれど、ごめんなさいね」と言いますと、「いいよ、心の声で聞くからさぁ」と、とても優しい言葉をかけてくれたこともありました。
「将来はピアノを弾く人になりたい」という発言は、その後聞いたところ、あまり覚えていないとのことでしたが、ピアノが好きなことは確かで、普段は電子ピアノで練習をしているのですが、毎年夏の発表会前や、学校の合唱コンクールの本番前には、レッスン日以外にも教室に来て、熱心に練習を積み重ねていました。
中学3年生ですので、進路の話も出てくるのですが、先日のレッスンでは、このような会話がありました。
「○○高校をね、今度見に行くんだ!」
「そうなの。見に行くと学校の雰囲気とかわかるからいいわよね」
「○○高校って、途中でコースが色々と分かれて、それで音楽を取ろうかと思って」
「へえ~、音楽の授業が取れるなんて、とってもいいわね」
「うん」
この生徒さんが、希望の学校に進学できることを祈りつつ、将来がとても楽しみです。
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