(この記事は、第104号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回の「ピアノ教室の出来事」は、お子様のピアノ発表会本番の様子です。
先日、お子様のピアノ発表会が開催されました。お教室によって違うと思いますが、発表会は毎年リハーサルを行わず、本番1回のみの1発勝負という厳しいスタイルを取っています。1日の中で、午前中に1回、午後2回と1日3回転の発表会を行っている関係で、なかなかリハーサルの時間が確保できないのです。
しかし、今回は参加人数が当初の予定よりだいぶ少なくなり、時間に余裕ができたので、リハーサルの時間を作ることが出来ました。
出演される生徒さんのみホールに入り、プログラム順にリハーサルを行ったのですが、私がこれまでに見てきたリハーサルの風景とは明らかに違っていて、少しビックリしました。生徒さん全員がじっと椅子に座っていて、誰も一言も喋っていないのです。
「はい、次の人リハーサルしてね」という私の声だけがホールに響く状況で、想像以上の緊張感に包まれていました。その雰囲気に飲まれてしまったのか、暗譜を忘れてしまい、思い出せずに慌てて楽譜を取り出す生徒さんまでいました。
そして、本番が始まりました。
緊張して小さなミスをしてしまった生徒さんはいましたが、リハーサルがよかったのか、頭が真っ白になったり、暗譜がすっかり抜けてしまう方は誰もいませんでしたので、全体的にはスムーズに進行が出来ました。
出番前の舞台袖では、リハーサルの時に比べてガチガチに固まっている感じではなく、適度な緊張感だったように思います。舞台袖には、出番前の生徒さん数人の他に、私とアナウンスをして下さった先生がいましたが、私たちまでシーンと黙ってしまうと変に緊張感が高まってしまうので、あえて通常通りに振る舞っていたのも、少しは効果があったのかもしれません。
「あ~、緊張する~。どうしよう、どうしよう」と話していた生徒さんもいましたが、いざ舞台で演奏が始まりますと、普段のレッスンの演奏とさほど変わらず、力を発揮出来ていました。
生徒さん方の演奏を客席で聴くことが出来ないのが残念ですが、舞台袖で聴いていますと、普段のレッスンではわからなかった事が見えてきたりもします。
思った以上に音が響いていてパワフルさがあったり、フレーズごとの間の取り方が絶妙だったり、本番という緊張する場で弾いているからこそ発揮される生徒さんの持ち味なのかもしれません。このような発見があるのは、聴いていてとても嬉しいものです。
最後には、全員で集合写真を撮って、今年も無事に発表会が終わりました。
アクシデントもなく終わり、次のクラスの発表会まで時間的に余裕があったので、生徒さんやそのご家族が、次々と挨拶にいらして下さいました。
ほとんどの生徒さんやご家族が明るい笑顔で、緊張感から解放された安堵感と、結構満足感や充実感を感じておられたのが、指導者としては一番嬉しい瞬間でした。
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