(この記事は、第123号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、ゴールデンウィーク中に開催された、ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2013のお話です。

毎年5月3・4・5日に行われるクラシック音楽のイベントで、ニュース番組でも取り上げられる事が多く、もうすっかり浸透した感のあるイベントになりました。

会場となった東京国際フォーラムでは、朝から多くの人々が集まり盛り上がっていました。ちなみに今年は、51万人集まったそうです。

今回は、「パリ、至福の時」というタイトルで、フランスの作曲家を中心としたプログラムが数多く揃っていました。

ラ・フォル・ジュルネは、1公演が45分と手頃な長さで、コンサートチケットが1回大人1500円と手軽な料金ですし、同じエリア内の複数ホールで同時にコンサートが開催されるので、その中から聴きたいコンサートを選んで、1日に複数のコンサートを聴くこともできるなど、クラシック音楽やクラシックコンサートのイメージをがらりと変えたイベントでもあります。

今回は、ビゼーの「カルメン」組曲とラヴェルのバレエ「ダフニスとクロエ」第2組曲、そして打楽器による現代音楽のコンサートを聴いてきました。

ビゼーとラヴェルのコンサートは、フランス国立ロワール管弦楽団と、この後に聴いた現代音楽のオーケストラであるアンサンブル・アンテルコンタンポランでも指揮を行い、来年度正式にロワール管弦楽団の音楽監督に就任する現代音楽の第一人者 パスカル・ロフェさんの指揮により演奏されました。

演奏の前後には、俳優の石丸幹二さんによる朗読や解説がありましたので、音楽の内容が理解しやすく、より楽しめるコンサートとなっていました。

このコンサートは、0歳から聴けるコンサートで、3歳未満のお子様は、保護者1人に付き1人膝の上で無料で聴けるという大変珍しいものでした。

通常、クラシックコンサートは、未就学児は不可としている事がとても多く、また子供料金もわりとかかったり、夜に開演するコンサートが多いものです。実際、生徒さんの親御さんから、「子供に生の演奏を聴かせたくても、なかなか行けるコンサートが無い」と相談を受けることがありました。(生徒さんには、このイベントをご紹介しています)

今回聴いたコンサートは朝10時開演で、しかも5,000人以上入るとても大きなホールでしたが、座席がかなり埋まっていたのには驚きました。

お客さんを見ますと、やはり小さなお子様連れのご家族が多ったですね。音楽に合わせて体を動かしたり、声を上げて喜んでいたり、またリラックスして寝ている赤ちゃんまで、さまざまなスタイルで音楽を楽しんでいる様でした。

これだけ小さな時から、一流の演奏を生でご両親と一緒に楽しめる機会はなかなか無いので、貴重な体験ですしとても良い刺激になると思いました。なにより、ご家族が揃って一つのものを楽しめるのは、とても良いですね。

もう一つ聴いた現代音楽のコンサートは、イベントスペースで行われた無料のコンサートです。(無料のイベントでも、なんらかの有料公演のチケットの提示が必要です)

18年ぶりの来日となったアンサンブル・アンテルコンタンポランの打楽器奏者3人が、マラカスやマリンバ、ティンパニ、ヴィブラフォン、シンバルなど、いろいろな打楽器を使用して、次々と素晴らしい演奏を披露しました。

日本を代表する作曲家である武満徹さんの娘さんが、司会をされていたことも興味深かったです。

あらかじめ録音された演奏に、指揮者のような動きを合わせた ドュ・メイ作曲の「サイレンス・マスト・ビー」や、1人で何種類もの打楽器を打ち分ける超絶技巧の曲目である クセナキス作曲の「リバウンド(b)」、1つの楽器を3人で共有しながら、他の打楽器も使用する ジブコヴィッチ作曲の「トリオ・バー・ウノ」など、聴くだけでなく、見ていても面白く楽しめるものでした。

クラシックコンサートの中でも、現代音楽は更に敷居が高く、難しいというイメージですが、このように気軽に聴く機会がありますと、イメージも変わりファンも増えそうな気がしますし、好きな音楽の幅も広がりそうですね。

ラ・フォル・ジュルネをきっかけに、音楽を楽しむ人が更に増えて裾野が広がることを願っています。早くも、来年のラ・フォル・ジュルネが楽しみです。

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