(この記事は、第136号のメールマガジンに掲載されたものです)

今回の「たのしい音楽小話」は、先日体験した「リトミック」のお話です。

リトミックは、私がまだ幼稚園生だった頃にも体験していますが、はるか昔でほとんど記憶が無いので、初めての体験と言ってもいいくらいです。

昔は、リトミック自体あまり知られていなかったように思いますが、今では、幼児教育の本や子育ての雑誌にもよく書かれていますし、幼稚園に入る前の1、2歳くらいからの習い事としても、とても人気があるようです。

ピアノ教室にも小さなお子様が来られますが、それでも3歳くらいからです。

プロの演奏家などは、小さい頃からレッスンを始めていますが、それでも開始するのは3歳から4歳くらいです。

それより前の1、2歳では、言葉もまだあまり理解できませんし、ピアノの場合、椅子に1人でずっと座っていること自体難しくなります。

そのため、そのような時期には、楽器のレッスンというよりも、音楽を身近に感じたり、音楽が楽しいという事を体を動かしながら体験していく方が適切なのかもしれません。

先日体験したリトミックのクラスは、参加したお子様が4、5人という少人数で行われました。1歳から2歳くらいまでのお子様です。

果物や野菜の形をした かわいらしいマラカスを、お子様が自分で選び、毎回音楽に合わせてマラカスを振ってレッスンが始まりました。

とても小さな生徒さん方ですが、お母様と一緒に参加しているので、安心して楽しんでいるようでした。

先生がマラカスを床に広げると、「うわ~」と興味を持つのですが、楽器を選ぶ時に、もう既にお子様の個性が見えてなかなか面白かったです。

何の迷いも無く、真っ先にバナナ型のマラカスを選んだお子様もいれば、あれこれ手にとって「どれにするの~?」とお母様と選んでいるお子様もいました。

バナナ型のマラカスが大人気でしたが、中には、おそらくご自身はまだ食べたことが無いゴーヤ型のマラカスを選んだお子様がいたり、とうもろこし型のマラカスを選んで、口に入れたまま、なかなか振れないお子様もいました。

レッスンでは、音楽に合わせて手や全身を動かしたり、歌を歌ったり、時には布や和音カードなど色々な小道具も使用していました。

やっと歩き始めたくらいのお子様から、動きたい盛りのお子様まで、楽しい音楽に合わせて、のびのびと思いっきり体を動かすのは、遊びの延長のようで、とても楽しく感じられるのかもしれません。

バッハなどバロック期の音楽や、フランスの近現代の音楽を鑑賞する時間もありました。

小さなお子様には、なかなか難しいように思いますが、実際には興味深く聴いているお子様もいて驚きました。

ピアノ教室でも、「子供にどんな音楽を聴かせたら良いのでしょうか?」と相談を受けることがあり、とにかく色々な音楽を聴かせるようにとアドヴァイスしていますが、今回参加してみて、「子供には難しいのではないか?」という大人の先入観で、お子様に聴かせる音楽を選ぶのは違うのかもしれないと、改めて感じました。

お子様の方が、もっと純粋に、もっと自由に音楽を聴いているのかもしれませんね。

まだまだ小さなお子様なので、レッスン中ずっと集中するのは難しく、他の物に興味を持ってしまったり、部屋の隅のほうへ行ってしまうようなこともありましたが、それでも色々な音楽が鳴っている空間にいるだけでも、良い刺激になっているのではないかと思いました。

小さい頃から、音楽が楽しい、音楽が好きという気持ちになれたら、その後の楽器のレッスンにスムーズに繋がりそうですし、音楽を長く楽しめそうな気がします。

そのような意味でも、音楽の早期教育はとても重要なのかもしれないと感じました。

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