(この記事は、第166号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、ピアノコンクールのお話です。
先日、ピアノのコンクールに、小学生の生徒さんが出場されました。
コンクールは性質上、気軽に生徒さんにお薦め出来るものではありませんが、以前もコンクールに参加された事がある生徒さんで、年齢や弾いている曲など、もろもろのタイミングがよかった事もありお薦めをしたところ、またチャレンジする事になったのです。
前回は、かなりよい成績を収める事ができましたが、それはあくまで前回がそうだったという事で、またゼロからのスタートになります。
生徒さんも、毎日のようにお教室に来て練習を積み、お母様はその送り迎えをされ、ご家族が一丸となって頑張ってこられました。
そして、コンクール当日を迎えたのです。
発表会が開催されるようなホールで行われましたが、当然ながら雰囲気は全く異なります。
舞台上の発表会の看板や花の飾りなどは一切なく、舞台にはグランドピアノが一台置いてあるのみです。スポットライトのような華やかな明かりもありません。
客席は、少し怖いくらいの静寂さがあり、演奏前後の拍手が無いときもありました。
アナウンスも、演奏する人の受験番号だけです。
この独特の雰囲気のなか、下は未就学児から上は大学生まで、次々と、そして淡々と演奏が行なわれます。
楽屋で順番を待つ生徒さんとお話をした後、私は、客席で演奏を聴くことにしました。
生徒さんの演奏を客席で聴くことは意外に少ないのですが、とても緊張するものです。
よく発表会で、生徒さんの親御さんから、「私の方が緊張しちゃって・・・」というお話を聞きますが、その気持ちがよくわかります。
手に汗握る心境で、祈るような気持ちで、生徒さんの出番を待ちました。
舞台に上がった生徒さんは、きりっと引き締まった顔つきをしていて、集中しているように見えました。
演奏は、普段どおりの滑り出しで、大きな失敗もなく、上手にまとめました。
でも、やはり緊張したのか、いまひとつ生き生きとした感じが少なかったかもしれません。
生徒さんのお父様も、「(前回のコンクールと同じく)今回も、こじんまりとまとめましたね」とおっしゃっていました。
演奏後、生徒さんとお話をしましたが、生徒さん本人も「まあまあ・・・」という出来だったようです。
そして、結果が発表になりました。
思った以上の点数がいただけて、見事に予選突破です。本選に進めることになりました。
生徒さんもご家族も、まずはほっとされたようでした。
生徒さんと同じ部門に出場した方々の演奏も聴きましたが、数年前の時と異なり、かなり全体のレベルがアップしていて本当に驚きました。
見事、本選に進めることになったので、まずは祝福しましたが、来月には本選が控えています。
次の本選は、これまで以上に厳しい戦いになる事、そして、これまでよく頑張ってきましたが、これまでの頑張りの3倍は頑張らないといけない事を伝えました。
小学生に、このような厳しい事を伝えるのは、どうかとも思うのですが、先を目指す以上、そのくらいの覚悟が必要なのだとも思っています。
もちろん、レッスンを行う私自身も、しっかり覚悟が必要です。
まさに、身を引き締めて、残り少ないレッスンを、有意義に行えるようにしたいと思っています。
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