(この記事は、2025年1月27日に配信しました第414号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、年明けのピアノ教室の様子です。
2025年がスタートして、もうすぐ1カ月が経とうとしています。年末年始は、特に出かけることもなく、自宅でゆっくりと過ごされた生徒さんもいますし、息子・娘さん家族が集まり、賑やかというよりも毎日バタバタと忙しく動き回っていた生徒さんもいらっしゃったようです。
ある生徒さんは、毎年娘さん家族とクリスマス会を開いていたそうですが、お孫さんがインフルエンザにかかってしまったため延期となり、年末に開催したそうです。「大晦日に、みんなで集まったのよ。時期としては、なんだかねえという感じなんですけれど。でも、孫たちも大きくなってきたので、だんだんと予定も合わなくなると思うのでね」とお話されていました。お孫さんの成長は、嬉しい反面、段々と関わり合いが少なくなってしまうという寂しさも感じているのかもしれません。
また別の生徒さんは、受験を控えているお孫さんがいるそうで、娘さんが付きっ切りでフォローをするために、そのお孫さんの一番下の兄弟のお世話をされていたとお話されていました。お世話していたお孫さんは、体調を崩しやすいようで、なかなか大変だったそうです。
「一番上の孫は、娘の言う事をハイハイ言って素直に言われたようにできるから、計画通りに進められて良かったみたいなんだけど、今度受験する2番目の孫は、女の子だから、娘の言う事を全然聞かなくて反発ばかりしているから、結構大変みたいなのよ。だから、上の子が入った学校とかのレベルには全然届かなくて」などとお話をされていて、結構心配されている様子が伺えました。普段から、フルタイムでお仕事をされている娘さんのお手伝いをされていて、お孫さんとの関わりも多い分、より心配になってしまうのかもしれません。
お子様の生徒さんは、クリスマスにお正月とイベント続きで、楽しく過ごされたようです。「今日、ピアノが終わったら、お父さんがケンタッキーのパーティバーレルを予約してくれるんだ」と嬉しそうにお話をされた生徒さんは、クリスマスが終わると「明日からスキーに行くんだ」と、これまた嬉しそうにお話をされていました。
「スポーツ万能の〇〇ちゃんだから、ご家族の中で一番スキーも上手なのかしら?」と聞いてみますと、「ううん、パパが一番上手。スキーに行くときは、いつも5時に起きて行くから早いんだよね~」と話をしていました。「そうね。ちょっと朝早いけれど、でも移動中は車の中でずっと寝ているんでしょ?その間、ずっとお父様が運転されていて、着いたらスキーをされるんだから大変そうよね。お父様もお疲れだろうから、いたわってあげてね」とお話をしますと、「うんっ」と元気よく返事をされていました。
小学生姉妹の生徒さんは、昨年秋から始まったピアノ・コンクールのファイナルが相次いであり、大忙しの年末年始でした。以前から、小学校の行事でのピアノ伴奏やピアノ教室内のオーディション、コンクールなどに積極的に参加してきました。今回は、初めて参加するコンクールと、昨年度受けたコンクールのリベンジで、2つのコンクール参加のために、昨年春頃から準備をしてきました。ピアノコンクールも様々ありますので、コンクール選びから選曲まで、練習を始める前段階から、生徒さんのお母様と頻繁に連絡をとって相談してきました。
非常にレベルの高いコンクールでは、予選を通ったら万々歳という考え方もありますが、「そんなに凄いコンクールでなくていいですし、小さいコンクールでいいので、こんなに頑張ったから良い結果がもらえたねという体験をさせたいんです」という旨の話をされていました。ご自宅にグランドピアノがある方や、音大の教授クラスの先生に日頃から習っている方も、コンクールには大勢参加されるので、コンクールのレベルの見極めや参加する部門選び、生徒さんの強みを活かした選曲など、慎重に下調べをしました。
選曲についても、私の方から指定するのではなく、いくつか曲をご紹介して音源を聴いていただき、生徒さんに選んでいただきましたので発表会と同じ流れになりました。生徒さんのお母様は、ピアノの経験がありますのでいろいろとよくご存じですが、「こんなにきれいな曲があるのですね。知らなかったです!」と感激されていて少しビックリしました。
姉妹の生徒さん共に、それぞれコンクールで弾きたい曲が見つかり、まずはよかったと思っていました。妹さんは、2つのコンクールで同じ曲を使えるので、ずっと練習をしつつ、普段使っている練習曲の教材を進めたり、表現力を強化するために少し他の曲を取り入れたりして、コンクールの準備をしてきました。一方で、お姉さんは、妹さんと同じ2つのコンクールを受けるのですが、同じ曲が使えなかったために、2つの曲を並行して練習することになりました。曲のタイプも、異なる曲想のものでしたので、練習は大変だったかと思います。
昨年度受けたコンクールのリベンジが、先の開催だったのですが、賞をいただくことができず、生徒さんやご家族のみなさんもかなりがっかりされたそうで、お母様からも、大変残念な様子のご連絡をいただきました。私も、「結果を出させてあげられず、申し訳ないです」と返信をしましたが、その後も大変気がかりで、かなり心配をしましたが、「子供たちは、次のコンクールを頑張ると、もう気持ちを切り替えています」とご連絡をいただきました。
レッスンの時に、そのコンクールでの感想を聞きますと、開口一番「黒鍵が細かった」と揃ってお話をされていてびっくりしました。「以前、オーディションの本番で弾いたピアノと同じ型番なんだけど…もう覚えていないよね?」と聞きますと、「えっ?そうなの?全然覚えてない」との事で、ピアノに慣れていなかった事も、残念な結果に少し影響しているのかと思い、早速対策を取りました。
今回初めて参加するコンクールのファイナルで使用するピアノの型番を調べ、そのピアノで練習できる場所をご紹介したところ、「早速、年明けに練習してきます」と、すぐに予約をしていただいたようでした。そして、練習の際には、ピアノの蓋を全開にして、譜面台も取った状態にして、なるべく本番に近い状態で練習することもお伝えしました。その時の音源もメールに添付していただき、良いところはこの調子で、惜しいところは細かくアドバイスをしました。
春から準備をしてきて、予選、本選を通過して、いよいよ最後の本番なので、ご家族の許可をいただき、生徒さんには内緒で聴きに行きました。生徒さんの出番が近づくと、私の緊張もピークに達し、自分がコンクールや本番に出るときの緊張感とはまた異なる緊張感で、舞台を見つめました。お二人とも、緊張はしているのかもしれませんが、普段と同じような様子で舞台に登場し、落ち着いて演奏もしていて、頼もしいなあと思うと同時に、「これまでの頑張りが、結果に結びつきますように」という祈りの気持ちも込みあげてきました。
姉妹お二人の部門全ての演奏が終わったところで、会いに行きますと、お姉さんは「あ~っ、先生!」という感じで笑顔になり、妹さんの方は、とてもビックリしたようで言葉も出ないという様子でした。お母様が、「先生から紹介されたところで練習できて、子供達も安心してピアノを弾けたようです」とお話をされていて、よかったなと思ったのですが、やはりお二人とも、「今回のピアノの黒鍵は、やっぱり細かった」と同じ感想を話していました。
「あら~、練習に行ってくれたところのピアノと同じ型番のピアノなんだけどね。あとは照明の問題かもしれないわね。スポットライトの強さとか、照明の角度によって見え方が変わるかもしれないわね。あとは、ご自宅にその型番のピアノをご用意していただくとか…。3メートル近い長さがあるので、結構大きいですから、場合によってピアノが部屋からはみ出るか、ピアノを弾くご自分がはみ出るか…」とお話をしますと、生徒さんやご家族が声を上げて笑っていました。
結果発表の時にはご家族水入らずでと思い、結果発表前に会場を後にしましたが、その後お母様から連絡があり、姉妹揃って賞をいただけたと嬉しいご報告がありました。私自身は、昨年度の残念な結果から、ずっと大きな宿題を抱えたままという気持ちで過ごしてきましたので、ようやく結果が出せたという気持ちですし、なによりも、姉妹揃っての受賞という事に心から安堵しました。
ようやく長かったコンクール参加が終わった訳ですが、早くも「今年度もコンクールに出たい」という、またまた積極的なお話がありましたので、次に向けて準備が始まりそうです。
(この記事は、2025年1月13日に配信しました第413号のメールマガジンに掲載されたものです)
新年1回目は、2025年にメモリアルイヤーを迎える代表的な作曲家のご紹介です。
●ドメニコ・スカルラッティ、ヘンデル、J.S.バッハ : 生誕340年
いずれもバロック時代を代表する音楽家で、生誕340年です。
スカルラッティは、父のアレクサンドロ・スカルラッティも有名な音楽家で、その6番目の子供になります。イタリア生まれで、540曲や555曲とも言われている膨大なソナタがあります。
ヘンデルは、ドイツ生まれでイギリスに帰化した作曲家です。オラトリオ「メサイア」は、今でもよく演奏されます。後の作曲家ベートーヴェンは、ヘンデルの作品をとても高く評価し、尊敬していたそうです。
J.S.バッハも、ヘンデルと同じくドイツ生まれですが、生涯ドイツ国内で活躍しました。「トッカータとフーガ ニ短調」は、あらゆるオルガン曲の中でナンバー1と言ってもよいほどの知名度があります。
● ヨハン・シュトラウス2世 : 生誕200年
父のヨハン・シュトラウス1世の長男で、オーストリアの作曲家です。「美しき青きドナウ」など、ウィンナーワルツの名曲を次々に生み出し、「ワルツ王」とも呼ばれました。
● サン=サーンス : 生誕190年
フランスを代表する音楽家で、「動物の謝肉祭」などが有名です。2歳でピアノを弾き、3歳で作曲を始め、10歳でコンサートデビューという神童でした。
● ガブリエル・フォーレ : 生誕180年
サン=サーンスと同じくフランスを代表する音楽家で、サン=サーンスからもピアノを習い、長年親交を結んでいました。「シシリエンヌ」などが代表作になります。パリ音楽院の学長なども務めました。
● モーリス・ラヴェル : 生誕150年
ラヴェルもまた、フランスの作曲家になります。代表作「ボレロ」は、誰もが一度は聴いたことがある作品かと思います。パリ音楽院でフォーレに師事しました。
● ビゼー : 没後150年
オペラ「カルメン」が特に有名なのではないでしょうか。「ウィリアム・テル」「セビリアの理髪師」など、数多くのオペラ作品を書いたロッシーニの音楽の大ファンだったそうです。
● エリック・サティ : 没後100年
ドビュッシーやラヴェルにも大きな影響を与えたと言われている作曲家で、元祖BGM音楽の作曲家と言ってもよいかもしれません。「ジュ・トゥ・ヴ」や「ジムノペディ」が大変有名です。
歴史上有名な音楽家が、もっと古い時代の音楽家を尊敬していたり、ファンだったという事を知るだけでも、現代の私たちが音楽を楽しむことと共通する部分があり、親近感がぐっと増しますね。いろいろな場面で、今回ご紹介した音楽家などの作品が取り上げられたり、聴く機会も増えるかもしれませんので、これからも注目していきたいものです。
(この記事は、2024年12月22日に配信しました第412号のメールマガジンに掲載されたものです)
今回は、日本音楽コンクールのお話です。
先日、日本音楽コンクールのドキュメンタリー番組が放送されたので見てみました。日本で最も歴史のあるクラシック音楽コンクールの舞台裏を2ヵ月密着取材した番組です。
日本音楽コンクールは、昭和7年(1932年)に作曲家の山田耕作らが、日本のクラシック音楽のレベル向上と有望な新人音楽家を発掘するために始められました。今では音楽家の登竜門になっていて、ピアニストの反田恭平さんやヴァイオリニストの諏訪内晶子さんなど、たくさんの演奏家を輩出している権威あるコンクールです。
第93回目の今年は、ピアノ、ヴァイオリン、声楽、トランペット、クラリネット、作曲の6部門が開催されました。番組では、激戦の予選会の映像が流れていました。ピアノ部門では、最も多い216人の応募があり、そのうち45人が2次予選に進みました。1次予選で、5分の4が敗退するとは思った以上に厳しいですね。
2次予選では、ベートーヴェンのソナタが課題曲ですが、コンクールの参加者たちは、以下のような感想を話していました。「難しさを、とても感じる。指先で扱うものすべてが出てしまう、露呈してしまう作曲家だと思う」「不屈の精神が、めらめらと燃え上がっていて、でも優しい面や悲しい面がたくさんある」「ものすごくベートーヴェンの人生そのものが詰まっている。言葉以上の力を持つ音楽だと思う。」
番組では、1次予選、2次予選、3次予選、そして本選と、インタビューや本番での様子も流していました。そして、本選へは、4人が進みました。
モーツァルトのピアノ協奏曲第23番を選んだ山崎さんは、「本選まで待ち遠しいというか、すごく長く感じます。オーケストラと演奏することを、結構楽しみにしています。正直言うと、3次予選まででいっぱいいっぱいだったので、本選に行けたらもうご褒美で、ボーナスステージという感じです」とインタビューに答えていました。3度目の出場で、ようやくたどり着いた本選への切符だそうで、「本番は楽しむしかないですね。オーケストラと演奏できる機会なんてないので」と、少しはにかみながら話していました。
番組では、山崎さんが通っている東京芸術大学のレッスン室での練習の映像と、本選会の映像が少し流れていましたが、同じ個所を弾いていましたので、本選会の会場の音の響きがよく伝わってきましたし、終始穏やかな表情で演奏をしていて、演奏後のインタビューでは、「やはり楽しかったです。オーケストラと一緒に演奏する時って、いつも意識していないことに意識を向けるので、難しかったけれど、やりがいもあって、すごい楽しかったです」と感想を話していました。
同じくモーツァルトの協奏曲を選んだ荒川さんは、山崎さんの先輩で、3度目の挑戦だそうです。「そもそも、そんなにピアノを好きでやっていたことは、1回もないので、本当に1回もないので、コンクールに応募してから辛かったです。何かわからないプレッシャーがあって、体調を崩したり、練習しても気分の波があるし、それでも練習をしなきゃならなかったので」と話していてビックリしました。
親の勧めでピアノを始めて、続けてきたそうですが、音楽に没頭することにどこか疑問があり普通科の高校へ進学したそうです。それでも、ピアノを辞めたら何も無いなあと思ったそうで、ピアノをやっていくしかないと大学は音大へ進学したそうです。結構後ろ向きな感じですが、それで芸大に入るのですから、相当な実力の持ち主なのだと思いました。
本選会で弾くモーツァルトの第24番の協奏曲について、「もともと音は良いと昔から言われていて、その自分の特色が出せる曲だと思っています」と話していましたが、番組で流していた練習風景を見ますと、芯のある本当に良い音が出ていて納得という気がしました。「もちろん、美しい音だけで音楽は成り立っているわけではないと思います」とも話していて、曲の途中にあるカデンツァ(ソリストが即興的に演奏してよいという箇所)で、荒川さんは、持ち前の音の良さを最大限に活かすような自作のカデンツァを用意していました。通常は、即興的な箇所とはいえ、カデンツァも楽譜がいろいろとあり選んで弾くことが多く、オリジナルをしかもコンクールで弾くのは、かなり珍しいと思います。
「本選は、自分のために弾くというよりは、家族や先生に対して感謝の思いを持ちながら演奏したい。すごい大変なので時間はかかるし、いろいろとご迷惑をかけていると思うから、恩返しのつもりで弾きたいです」と話していて、意外に好青年だなとちょっと感心してしまいました。演奏後、「とりあえず終わったんで良かったです。会場に響いている音を聴くのが好きなので、耳を傾けながら割と楽しみながら弾けたと思います」と感想を話していました。
ショパンのピアノ協奏曲第1番を選んだ南さんは、「私は全然天才的な才能とか特別な才能を持っているわけじゃないと思っているので、その分努力で、周りと比べたりしないで地道に頑張ってきました」と笑顔で話していました。3度目の挑戦だそうです。地道に頑張ってきたというだけあって、高校時代からレッスンでのアドバイスやいろいろな気づきをノートにびっしりと書き込んでいて、とても驚きました。その中には、「最後まで聴けていない」「枠の中に収まりすぎている」「音楽が小さく、全て内面での表現になってしまった」など、なかなか手厳しいコメントも書かれていました。
「音楽を作る上で、細かくいろいろな表現したいことがあったり、緻密に練り上げて研究してという作業は絶対に積みたくて、それを経て、最終的に考えていたことは全部開放して、大きな音楽として届けるという事に集中して、ピアノを弾きたいなあと思います」と、優しい笑顔で話していました。まさに、努力の人という感じですね。
本選で弾くショパンの協奏曲第1番について、「第2楽章が一番難しいけれど、やっぱりすごく好きで、ピュアで憧れとか懐かしさみたいなものもあるショパンの純粋な音楽が感じられて魅力を感じる」とも話していました。小さい頃は、気に入った音楽を耳で覚えて弾いたり、ピアノを身近に楽しんで弾いていたそうですが、高校から本格的にピアノを学び始めると、その楽しみを見失うこともあったそうです。「昔からずっと真面目で、その真面目さと素直さみたいなものが、少し壁になってしまって、先生の言ったことをその通りに弾くだけで、自分から出てくる音楽がなくなってしまって、真面目さが短所になってしまい、結構苦しい時期があった。けれど、そういう時に救ってくれたのも音楽だったので、やはり自分にとってなくてはならないものかなと思います」と話していました。
本選会の演奏では、その苦しい時期を経たからこそ滲み出てくる優しさみたいなものが現れていて、素敵な演奏だなあと思いました。演奏後には、「いろいろと溢れてしまったかなあというところもあったんですが、たくさんのお客様の前で弾くことができて、本当に幸せな時間でした」と溢れる笑顔で感想を話していました。
11年前に3位に入賞していて、今回再挑戦した竹田さんは、4歳でピアノを始めて、7歳でオーケストラとの初共演をした時には、一緒に音楽を作ってくれるというその喜びが忘れられなかったそうです。16歳の時に、全日本学生音楽コンクールで優勝したり、ポーランドに留学して研鑽を積んだり、ショパンコンクールに2回参加もしている方です。「コンクールが受けられなくなるような年齢になってきているので、迷ったけれど、いつまでも挑戦できるわけじゃないし、何年後かに思い返したときに、あの時やっぱり受けていればよかったなと思うんだったら、ちょっと怖いですけど飛び込んでみようと思って応募しました」と答えていました。また、「誰かに聴いてもらってこその音楽なので、コンクールに出ることによって、私の演奏をいろいろな方に聴いていただくというチャンスにもなる」という事もお話しされていて、常に前に進んでいくという姿勢に感心してしまいました。
本選への意気込みを聞かれた時には、「楽しいこと、悲しいこと、辛いことなど、いろいろな経験をピアノを通して行ってきたので、そういう経験というものを音に乗せられたらいいなあと思います」とインタビューに答えていました。本選会の舞台に笑顔で登場して、リストのピアノ協奏曲第2番を演奏していましたが、とても気迫のある大きなスケールの音楽で、テレビ越しではありますが、小柄な体格とのギャップにもとても驚きました。演奏後には客席からブラボーの掛け声もあり、演奏前と同じように笑顔でお辞儀をしていましたが、舞台袖に帰ってくると、感極まった表情で涙も流し、なかなかインタビューに答えられない様子でした。
本選会の審査結果の発表で、最初に岩谷賞(聴衆賞)が発表になり、竹田さんの名前が発表されると、「おぉ~~」という声があちこちから湧き上がっていました。他の部門の発表では、「きゃ~」という悲鳴にも似た嬉しさ全開の声が上がっていましたが、それとは違い、おそらくですが誰もが想像していた通りの納得の結果だったからだと思います。
審査結果は、1位に竹田さん、2位に荒川さん、3位に南さん、4位に山崎さんという発表でしたが、先程の「おぉ~~」という掛け声がバージョンアップした感じで、やはり結果にビックリではなく、思った通りの結果という意味での歓声なのではと思いました。
11年かけて、たどり着いた第1位という栄冠に、竹田さんはたくさんの拍手に涙と共にお辞儀で答えていました。「1位をいただいても、やっぱり変わりなく、音楽を聴いて下さる方々に、何か心に残せる演奏をこれからも表現できたらいいなあと思います」と、最後には笑顔で答えていました。
演奏だけではわからない、ここまでの道のりや、いろいろな心情を密着取材で見ることができて、とても興味深く見ることができました。これからの更なるご活躍を期待したいところです。
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