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ピアノ初級者のための楽譜教本 |
楽譜を漠然と眺めていますと、音符の数の多さから難しく感じられるかもしれませんが、曲を適切な区分に分けて、それぞれに似たパターンを見つけていきますと、曲の構成がわかり、短期間で効率的な練習の方法も見えてきます。
以下の、「埴生の宿」の楽譜に、指番号を加えて、6つの区分に分けた楽譜をご覧ください。
「埴生の宿」に指番号と区分番号を加えた楽譜 (PDF形式)
この曲では、右手も左手も途中で手の位置が変わってきますので、弾き方がわかるように指番号を追記しました。初級者向けの楽譜では指番号が書かれているものが多くありますが、一般的に指番号は、間違えやすそうな音符の部分にしか書かれていないものです。しかし、私どもの教材では、難易度を下げるためと、視力などがあまり良くない方でも見やすいように、少し大きな文字で、なるべく多く指番号を追記しています。逆に番号が多くて見にくく感じられる方もいるかもしれませんが、ご容赦ください。なお、指番号が書かれていないところは、前の音符、または前の音符のひと塊と、まったく同じ指で同じ鍵盤を弾くことを意味しています。
この楽譜で見ていただきたいのは、指番号よりも、@からEの番号が書かれた区分です。この曲は、この6つの区分にわけることができます。それぞれの区分を見比べますと、以下のことがわかります。
- 区分@と区分Aは、ほとんど同じ
- 区分Bと区分Cは、ほとんど同じ
- 区分Dは、新しいメロディー
- 区分Eは、区分Cと全て同じ(最後の左手の音だけが異なる)
以上のことから、以下のような練習の進め方が効率的であることがわかります。
- 最初に区分@を練習する
- 区分Aは、@と違うところを見つけて、その部分だけを練習する
- 区分Bを練習する
- 区分Cは、区分Bと違うところを見つけて、その部分だけを練習する
- 区分Dを練習する
- 区分Eは、区分Cと同じなので、最後の左手の音だけを確認する
このように区分に分けただけでも、長いと思われた曲が、約半分の練習で済むことがわかり、気分的にも楽になります。また、楽譜全体を眺めますと、左手には、以下のような形がたくさん出てきます。
全て8分音符となりますので、左手は最初から最後まで、同じリズムで弾ける、つまり音を出すタイミングは常に同じということになります。一般的に、左手で弾くことに苦手意識を持っている方が多く、左手の音符が次から次へと変化する曲は難易度が上がってしまいます。しかし、この曲のように、左手の伴奏が、いくつかの特定のパターンを繰り返すようなリズムの場合は、右手のメロディーに集中して弾けますので、難易度が下がります(難易度が下がるようにアレンジされています)。しかも、この左手のパターンをよく見ますと、以下の3つのパターンしか出てこないことがわかります。
左から、「ドミソ」「シレソ」「ドファラ」の組合せです。
更に、先程分けた区分で見ていきますと、左手部分は、区分@ABCが、まったく同じです。区分Eも最後の音が違う以外は、同じです。そのため、左手部分は、区分@ABCEで使用される伴奏と、区分Dの伴奏を覚えてしまえば、比較的簡単に習得することができます。
このように、楽譜の見方がわかれば、実際に練習が必要な量は半分以下に減り、またこの曲の場合、左手の伴奏のパターンが非常に限られていますので、左手を先に練習してリズムを覚えてしまい、後は右手のメロディーに注力しながら両手を合わせる練習を行えば、比較的短時間で弾けるようになることがわかってきます。
いかがでしょう。この曲を弾いてみたいと感じ始めましたでしょうか。この曲を実際に練習する際の注意点を、次のページに記述いたします。
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