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「後悔しないピアノ選び」(第1章 ピアノという楽器) |
1.5 電子ピアノについて
最近では、日本のピアノメーカーであるヤマハやカワイ、そして電子楽器で有名なローランドやコルグ、楽器メーカーではありませんがカシオも、さまざまな種類の電子ピアノを発売しています。この電子ピアノは、次々に新しいものが発売され、速いスピードで高機能化が進んでいます。最近の上位機種では、楽譜を液晶画面に表示させて、さまざまな演奏支援を行うものや、演奏結果を採点してくれる機能など、ゲーム感覚で練習ができる機能も搭載されてきています。
高度な演奏支援や練習支援機能が付いた電子ピアノ
お子様がピアノを習い始めるために、ピアノをご購入される際も、電子ピアノをご購入される方が増えており、例えば、私が今ピアノを見させていただいている子供の生徒さんでも、約半分の方は、家で電子ピアノで練習をしています。大人の生徒さんの場合は、昔買ったアップライトピアノが家にあったり、ピアノという楽器自体にこだわりを持たれていて、アップライトピアノを使用されている方のほうが多いのですが、大人になられて始めてピアノを習う初心者の方ですと、やはり電子ピアノを購入される方が多いようです。あまり海外の事情に詳しいわけではありませんが、ここまで電子ピアノの割合の多い国は、日本くらいではないでしょうか。
一般的に、アコースティックピアノ(グランドピアノやアップライトピアノなど、弦で音を出す生のピアノ)ではなく、電子ピアノを購入される一番大きな理由は、値段とピアノを弾く環境によるものです。電子ピアノですと、4万円代くらいからありますし、家の中であまり場所もとらず、何よりヘッドフォンを使用することで外部に音を出さずに練習ができますので、アパートやマンションなど集合住宅でも近所迷惑にならず、いつでも家族にも気兼ねなく弾けるというメリットがあります。その次の理由としては、録音機能で自分の演奏を確認したり、購入したMIDIの音楽を聴いて楽しむなどの電子ピアノならではの付加機能が挙げられます。
ピアノを始める初心者の方にとって、気軽に購入できる値段と、他の人に自分の弾いている音を聴かれないで練習ができることは、大きなメリットと感じると思いますし、お子様用にピアノを購入される親御さんにとっても、お子様が本当にピアノを続けてくれるのかわからないうちに、70万円以上もするピアノの購入を決心するのは容易ではありませんので、まずは電子ピアノからという事情もよく理解できます。そして、何より集合住宅での音によるトラブルや、賃貸物件での演奏禁止などの契約から、電子ピアノ以外の選択肢がない場合も多いと思います。
そのため、電子ピアノを否定するつもりはありません。ただ、電子ピアノとアコースティックピアノの違いを、よく理解された上で、購入していただきたいと考えています。多くの方は、電子ピアノとアコースティックピアノにそれほどの差はなく、どちらでも、ピアノの練習ができると考えておられるようですが、音楽の仕事をしている立場からしますと、電子ピアノは、「ピアノ」という名前が付いておりますが、本来のピアノとは別の新しい電子楽器と思えます。または、電子ピアノの進化によって、電子ピアノが本来のピアノにかなり近づいてきていても、実際に、電子ピアノで練習をしていると、本来のピアノの練習とは違う方向へ向かって行くと言った方がよいかもしれません。
私なりに分析をしてみますと、「電子ピアノとアコースティックピアノにそれほどの差はない」「電子ピアノでもピアノの練習ができる」というお考えは、以下の2つの認識の違いから生じているのではないかと思っています。
・ ピアノの音は耳で聴く
・ 楽譜通りに弾けることがピアノが弾けるということ
以下、それぞれについて説明をしていきます。
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